614話 役割
森を抜けた瞬間にゴーレムがと次々と向かってくる。
まだ遠いのに気づいたのか。【魔力反応】を持っているのか、敷地に入ると反応するどちらかだろう。
「もう、気づいたのか……。私が知っているダマスカスゴーレムではないぞ……。技術が向上したのか……?」
バルバトは知らないようだ。
じゃあ、【奴隷強化】で【魔力反応】が増えたのかもしれない。
悪いが通させてもらうぞ――。
「――――アースコントロール!」
手に地面を当て――地魔法で周囲の地形を変える。
向かってくるゴーレムに遮るように地面を動かした後、両面に頑丈な壁を創り、城まで続く一本道を創った。
これで戦闘は避けて体力と魔力を温存できる。
「じゃあ、2人とも頼んだ」
「回収したら、すぐに合流します」
「行ってきます!」
アイシスはゴーレムの方に行き、ソアレは空高く飛んで城壁に向かった。
それじゃあ、俺たちも進むか――。
「地面を操るなんて、き、聞いたことがない……。ユニークを使えてすごいのはわかっていたが……規格外の大魔導士だ……」
バルバトは驚きを隠せない。これでも一応賢者やっているので。
「レイさん、魔力の方は大丈夫ですか?」
「少ししか使っていないから大丈夫だ」
地魔法を選んだのは魔力を温存するためである。
これから膨大な魔力を使うし、ここで余計なことはしない。
「――――ホーリーランスレイン!」
無数の光の槍が城壁に向かって放たれる。ゴーレムは破壊され、法王軍は当たらないように逃げ回る。
始まったか。
「も、もう少し加減を……」
バルバトは仲間の心配しているが、ゴーレムに当てているだけだ。
ソアレの正確に当てているから問題ない。
これで妨害されずに進める。
「どういうことだ!? 地形が急に変わり、空から襲撃される! それに……スローダ隊長が人質にされているぞ!? 隊長を取り戻せ!」
やはり、相手からしたら人質に見えるか。こっちに向けて詠唱をしている。
さすがにゴーレムを倒しても魔法――遠距離攻撃のすべがあるよな。
だが――。
「――シャイニングバインド!」
「く、苦しい……み、身動きがとれねぇ……」
ソアラが次々と光の縄を出して拘束していく。
空の方を警戒していないのは隙だらけだ。
「1人辺り、レベル100くらいか。抵抗しても無駄だな」
カイセイは【鑑定】スキルで強さを見たか。
【奴隷強化】しても大勢を強化できるのはその程度か。
少々窮屈なだが、終わるまでおとなしくしていろよ。
ソアラのおかげで城門前に進み、塞いでいた鉄の門を黒色に輝く金剛の剣で切りつけて壊した。
目の前には敵が武器を構えて待機していた。
魔力反応でわかりきっていたが、目が虚ろで不気味な感じがする。
しかも、城門上の奴らより瘦せて服がボロボロなのは気のせいか?
「「「法王様のために……」」」
ゆっくりと動き始め、向かってくる。
こいつら、無理やり動かされているみたいだ。
本当の奴隷のように……。
「し、身体をボロボロにしてまで……。皆よ、やめてくれ!? 本当に身を捧げてまで王のために働くのか!? 異常だ……やめてくれ……」
バルバトが言っても声が届いていない。
仲間を捨て駒のように扱う奴は俺は許さない。
…………仕方がない、ここで使うか――。
「主よ、ここではやめろ。儂がやる――――雷刃破!」
「「「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛――――」」」
ライカが前に出て刀を地面に突くと、無数の細い雷撃が広がり――法王軍に襲いかかり、そのまま倒れて痙攣をする。
「み、皆は――」
「安心しろ、加減して痺れさているだけだ」
「よ、よかった……」
バルバトはひと安心した。
「主よ、切り札は最後にしてくれ。全員を解放する余裕なんてないぞ」
確かにライカの言う通りだ。俺が感情的になったかもしれない。ここで膨大な魔力を使ったらあとが持たないかもしれない。
こいつらは法王を倒して解放させるのが1番だな。優先はコトハとナノミだ。




