612話 次の採掘場へ
――3日が経過した。
次に向けて採掘場を出る。
騎士を500名ほど残して次に向かうのだが……隊長1人も残ってくれない……。
なぜかというと、最後まで見届けたいようです……。というかカイセイと一緒にいたいそうです……。
まとめ役がいなくてどうするんだよ……部下たちが隊長のワガママなんて聞くはずがない。
不満が――。
「前から隊長にお願いされていました。いつものことなので心配せずとも、俺たちに任せてください!」
みんな笑っていました。えぇ……、隊長の意味ないじゃん……。はじめからそのつもりか……。
隊長がいないと法王軍が…………何も起こりませんね。
みんなでワイワイしているし、抵抗することもなさそうだ。
まあ、空間魔法を使って様子を見に行くから問題はないけど。
「お前たち、おとなしくしていろよ。終わったらすぐ迎えに行く」
「「「ハッ!」」」
バルバトの発言で法王軍は敬礼をする。しっかり返事をしているし、守ってくれそうだ。
命の保証はしているし、暴動する奴なんていないと思う。
「「「――――ご武運を!」」」
みんなに敬礼をされながら採掘場を後にした。
――――◇―◇―◇――――
あれから2週間が経過した――。
残りの採掘場――2箇所ともバルバトのおかげで争うことなく終わった。
正確には最初にバルバトとソアレを送って、そのあとに向かうと、両手を挙げて降伏していた。
ソアレのおかげでもある。
俺はソアレを行かせるのは反対したが、ソアレは聞いてくれなかった。
危険ではあるが、もっとも手早く解決することは本人はわかっていた。
諦める気がなかったから、俺が折れてしまった。
成功したのはいいが、何度もつらい思いをさせてしまった。
あとは法王を倒すだけだからもう大丈夫だとは思いたい。
状態によっては後ろで待機させる。
採掘場は部下たちに任せて、法王がいるガンオスマルクに向かう。
バルバトの役目は終わったから、採掘場でおとなしくさせようと思ったが――。
「私も見届ける義務がある。今後の未来のためにもお願いだ」
一緒に行きたようです……。
たまに「ゲート」を使ってみんなの様子を見に行ったついでに置いていこうと思ったが、引いてくれなかった。
俺たちと一緒にいることは裏切り者扱いになること、加減ができなくて仲間を切る可能性があると言うと、ゆっくり頷いて覚悟しているようだ。
結局行くことになりました。
けど、バルバトはガンオスマルク――魔王城に行ったことがあり、案内役としては助かる。
順調に進んでいるところ、タイミングが悪いことが起きた。
『さっき、ティーナちゃんから連絡が来たの。話があるから来てって。多分、ソシアちゃんのことだから当分は留守になるからごめんね。法王を倒すところは見たかったけど、私がいないと不安と思うけど、頑張ってね』
娘が心配でそっち優先なようです。ティーナさんから話す時間ができたということは俺を探しても見つからないとわかったのかもしれない。
というか、俺のことを伝えたのか聞いてみると――。
『うーん、言おうとしたら、すぐ切れちゃった……。ティーナちゃんが慌てていた様子だったの……。伝えることができなくてごめんね……。今度こそ会いに行くときに言うよ』
あっちもパニック状態だから仕方ないとしか言いようがない。
まあ、無事に戻れるから心配はないけど、再会したら面倒事は回避できないが……。
『それで、みんなに私からのお願いなんだけど、この戦いが終わっても、できるだけ魔力は残してね。聖王が怪しい動きをしているから注意してね』
そう言ってシャルさんの声が途絶えた。怪しい動きか。
予想は大体ついている。その前に終わらせればいいだけだ。




