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609話 それでも魔導兵器


「俺たちで対処する。お前たちはここで待機だ」


 騎士たちは頷いたが、隊長たちは首を振る。


「ウチらはカイセイと一緒に戦うと誓ったのだ。なあに、隊長であるウチらを信用できないか?」


 アリアナが言うが、部下の傍にいないと不安になるだろ……隊長がみんなをまとめないと……。

 

「しかし――」


「私たちは大丈夫です。いつものことですので隊長を連れていってください」


 騎士たちは納得しているが、いいのかよ……。

 説得する時間もない、仕方がないか。


「わかった。危なかったら下がるように指示からそれでいいな」


 隊長たちは納得して、結晶の壁を上り、前に進む。


 カイセイはそのまま崖の上で止まることなく進み、ゴーレムの目の前にいた。


「――――断絶天斬」


 飛び込んで頭上から切り込もうとしたが、金属音が、周りに響いて切ることができなかった。


「か、硬い……」


 銅は切れたが、さすがに鉄は無理があるか。後ろに下がり、体制を整えてコアを目がけて――。


「――――轟光斬!」


 剣を光り輝かせて素早く切りつけた。

 コアに直撃し、切り込みを入れるが破壊はできなかった。

 だが、時間差でヒビが入り、コアはボロボロと砕け散り、ゴーレムは崩れていく。


 コアさえ破壊できれば上出来だ。

 奥には同等な魔力を持ったゴーレムしかいないし、このまま先陣を切って大丈夫そうだ。


「ハハハハハ! あの塊を真っ二つにできないのはまだまだだな!」


 いつもながらセイクリッドは自分と比べてはいけません。

 まだ指摘くらいなら良い方だけど、火が付くとスパルタになりますからね。


 カイセイと合流し、一本道を抜けると――崖で広く囲まれた場所に移動し、人が住む施設が整っていた。

 軍服を着た――法王軍が慌てていた。見た感じ数百はいるようだ。

 崖の方には十数ゴーレムが吞気に掘っていた。

 よほどあのゴーレムに自信があったのか。

 

「ま、ま、マジックゴーレムがやられたぞ! な、なんで魔導砲が効かないんだよ!? 敵襲だ! 採掘を中止し、魔導砲の準備しろ!」


 ゴーレムは掘るのを止め、俺たちの方に向いて、ビームを放とうする。

 全部ビームを使えるのか。さすがに一体ずつゆっくり片づけることはできないか。


 悪いが、そのビームを利用させてもらう――。



「――――エアリアル・リフレクト!」


 

 俺たちは風の球体に包まれる。

 

「チンケな魔法で私たちの魔導砲が通用するとでも――――発射!」


 ビームは球体に当たると――周りを回り、すべてを反射させてゴーレムに直撃する。


 このままコアを破壊して崩れ落ちればよかったが、後ろに倒れてしまっただけだ。

 自分を破壊するほどではないのか。

 


「な、なななななんじゃそりぁ――――!? は、早く起きろ!」


 しかし、法王軍が叫んでも起き上がることはしなかった。

 戦闘不能くらいの威力はあったのか。

 ともかく、面倒なゴーレムを排除したのは及第点だ。


「お前たちの魔導兵器は倒した。投降するなら今のうちだ!」


「まだだ! 侵入者を蹴散らせ!」


 カイセイが言っても怖気づくことなく、奥にある洞窟から次々とゴーレムが出てきた。

 そう簡単には終わらせてくれないようだ。けど、俺たちに向かってくるだけで、ビームとか放ってこない奴だ。


 俺は炎魔法(フランベルジュ)を創り、真っ二つにし――。

 

 アイシスは氷魔法(アイシクルランス)を放ちコアを狙い――。


 セイクリッドは「覇閃斬」「覇王・一閃」とか技を駆使して大暴れし――。


 カイセイは――。



「煌け光輪よ――――セイントサークル!」



 光の輪を放ち、高速してコアに直撃し、簡単に真っ二つにする。

 あれがカイセイが使う光魔法か。初めて見るが、申し分ないほどの強さだ。

 だが、少々魔力消費が激しい。詠唱のときに魔力が乱れてムラがあるのは気のせいか?


『なんで余計なことするの……? 魔力の無駄よ……』


『えっ? 余計とはどういうことですか?』


『カイセイは【無詠唱】を使えるのだけど……。なぜか知らないけど唱えてから発動するの……。唱えるからタイミングずれてせっかく溜めた魔力が漏れてまた溜め直さないといけないの……。しかも「セイントサークル」と関係ないの唱えている……』


 【無詠唱】覚えているなら唱えるなよ……普通に発動させろ……。

 関係ないの唱えているとかなんで……? こだわりがあるのか……?

 余計なことするのは命取りになる。


 あとで注意しておこう。


「なんだ、いつも戦っているゴーレムより弱いじゃないか」

「おそらく洞窟の魔導兵器は事故で埋まってもいいように型落ちのを使っているかもしれない。大地の鼓動、その目に刻め――――ロックブラスト!」

「ガハハハッ! そんじゃ、大暴れと行きますか!」


 隊長らも引きを取らずゴーレムを倒していく。このくらいなら心配しないで任せられる。



「――――ホーリーランスレイン!」



 ソアレは空から無数の光の槍を放ち、殲滅させていく。

 結構派手にやっていますね。そのおかげでゴーレムは全滅したが。


「人が飛んでいるぞ!? あ、あの翼は……まままま、まさか天使だと!? も、もうダメだ……」


 法王軍は膝をついて意気消沈した。抵抗はなさそうだな。

 ようやくソアレに気づいたか。まあ、ビームを放つゴーレムがやられてそれどころではなかったか。

 

「これでいいんだ……」


 ソアレはあまり良い顔はしない。

 もしかして、派手に魔法を使ったのは自分を認識してほしかったのか。

 天使は法王軍にとって絶望の象徴だ。気づけば争いがなくなると思ったか。


 あまり良い終わり方だ。無理やり気づかせるやり方は自分が傷つくだけだ。

 

 ソアレ自信つらいし、次は後ろで待機させた方がいいな。


 けど、おかげで無駄な血は流さなくて済んだ。ありがとう。

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