表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
610/919

604話 通常運転です

 朝からバタバタとしたが、予定通り進むことができた。


 四つ子のお守りはセイクリッド任せであるから、俺たちは安心して戦うことができる。


「しっかり説明できたし、バーミシャルさんとの信頼関係が上がったはずだ」


 役目を果たしたカイセイは満足していた。


『えぇ……、あれで説明できたと言えるの……? 最終的にほかの人にフォローされたのに、反省しないでポジティブなの……?』


 シャルさんは戸惑っていました。面倒事を回避したなら俺は何も言わない。

 カイセイだって文句を言わずに引き受けたのは助かっている。


 それはいいが――。


「ぐぬぬ……聖王様はバーミシャル様と同じ地位なのになぜだ……? 私は間違えてないはずだ……」


 ゾルダーは認めていなかった。そんなに聖王は絶対的存在なのか?


 ほかの隊長に聞いたが、愚痴しか出てこなかった。中央大陸を占拠されたときに、さらに悪化して手に負えないほどと言っている。


 生涯誓って聖王のために尽くすと言い、洗脳されている者もいる。

 その中の1人がゾルダーだということだ。

 普段は真面目で思いやりがあるのは間違いないが、聖王のことになると、ここまで豹変するとは思わなかった。


 ほかの隊長が嫌われるのも、わかる気がする。


 余計に刺激をしなければいい話だ。


「もうすぐで、ヒークバンに入りますよ」


 カイセイ曰く、湿原を移動しやすく作られた木道を渡れば中央大陸に入るようだ。


 本格的に戦地入りか。気を引き締めていかないとな。


 山に囲われた湿地に着いたが、これは酷い――周りはゴーレムが数十いて、木道は破壊されて通さないように妨げられている。


 騎士たちはその光景を見て恐怖しかなかった。


「噓だろ……これじゃあ……進めないじゃないか……」


「ほかに通るところはないのか?」


「遠回りになりますが、山を越えなければなりません……」


「ならここを進むしかないか」


「水は下腹部まで深くてゴーレムがいるなんて無理ですよ……」


「ほかに方法があるだろ? わからないのか?」


「わからないです」


 潔く言うのはどうかと思う……。

 勇者だからもっと考えてほしかった。


 仕方ない、結晶魔法を使う――。


「――――クリスタルウォール!」


 無数の結晶の壁で道を創った。


「す、すごい……、高度なユニーク魔法を使うなんて……」


「何を言っている? ユニークじゃなくても壁くらい魔法で作れるだろ?」


「ただの壁って……、あんなに作れるのはおかしいですよ!? 俺でも無理です!?」


「まあ、俺たちはこれくらいは普通だから気にするな、日が暮れるまでに移動するぞ」


「は、はい……ですが……」


 カイセイが前に指を差すと、ゴーレムが壁に向かっている。

 

「なんだ都合がいいだけじゃないか」


「のんきに言っている場合ですか!? ほらもう殴って――」


 ゴーレムは結晶の壁を殴るが、地響きは鳴るが、傷一つつかなく、拳にはヒビが入り、粉々に崩れていく。

 脆く創るわけないだろ。たかが、銅で造られたゴーレムごときで破壊されるわけない。


「「「えぇ……」」」


 周りはドン引きしているが、俺たちは通常運転だ。


『レイちゃんはやっぱりすごいね~!』


 シャルさんみたいに褒めてくれるのが一番いいけどな。


 俺たちは結晶の壁を上り、ゴーレムを魔法で倒しながら進んでいく――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ