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59話 万人受けする料理


 台所を借りて万人受けする甘めのカレーを作る。

 食材をどのように使うか説明をしないといけないからミツキさんの従業員も呼んだ。

 

「レイさん! これで足りますか?」


「ありがとうございます。大丈夫ですよ」


 使う食材や香辛料などを用意してくれた。


「これも大事ですよ! 土鍋はお米を炊くのに欠かせません!」


 アイテムボックスから土鍋を出してくれた――立派ですね……職人顔負けの品質ですよ……。

 これも欲しい。

 

「すいません、土鍋は余分にありますか? あるのであれば売ってほしいのですが」


「もちろん、あります! これはレイさんに()()()()()します!」


 プレゼント? 今、聞き馴染んだ単語が出てきたのだが……これもその旅人の影響なのか?


「プレゼントって……贈ることですよね?」


「そうですよ! レイさんは大切に使ってくれると思いますのでプレゼントします!」


 ニュアンスも合っている。やっぱり旅人の影響だな。

 ミツキさんの村って……ほぼ日本みたいな感じですな……。


「ありがとうございます。大事に使わせてもらいます」


「はい! この土鍋もレイさんが使ってくれるから大変喜ぶと思います!」


 笑顔が眩しい……そして…………尊い!?


 これが小人の力か……恐ろしい……。


 さて、作るとしますか。


 まずは、カレールウから、粉末状の各香辛料をフライパンで弱火で炒り、香りがしたらカレー粉の完成。

 別の鍋にバターを溶かして小麦粉を入れて、茶色くなるまで混ぜ、再びカレー粉を入れて馴染ませて、最後に甘味を出す為、ツリーシロップを入れてカレールウの完成。


「いい匂いですね! 香辛料をこんな使い方をするのは初めてです! ツリーシロップも入れるのは嬉しいです!」


 子どものようにはしゃいでいますね……この光景は悪くないです。

 ミツキさんはカレーは知らないみたいだ。

 旅人はカレーの作り方は教えなかったのか……醤油や味噌とか教えてたのに……。


『ずっとレイの母性が爆発している…………うん、いいことだね!』


 いいのかよ!? あっ……はい、もういいです。


 気を取り直して。


 野菜を切っていく――久々に玉ねぎ、人参、ジャガイモを使う前世で馴染みのある食材使うのは本当に嬉しい。


「この野菜を使うのは肉じゃがみたいですね!」


 肉じゃがは旅人が教えたみたいだ。

 野菜を切り終わったら、猪肉(ボア)を一口サイズに切って――鍋に油、玉ねぎ、人参、ジャガイモ、猪肉の順に炒めて、水を入れアクを取りながら煮込む――。


 その間に米を洗い――土鍋に米、水を入れて炊いていく。

 

 煮込んでいる野菜が柔らかくなったら、カレールウと隠し味に味噌を入れ、塩で味を調えて――カレーが完成した。


「おいしそうですね! 早く食べたいです!」


「もうちょっと待ってください。もう少しでお米が炊けますから」


「はい!」


 なぜだろうか……ミツキさんはもう素直な子どもにしか見えない……。

 小人族ってみんなそうなのか……。


 米もふっくらと炊き上がり――お皿に盛ってカレーライスを完成した。


「ここでみんなで食べましょう!」


 テーブルとイスを用意してくれて――みんなで食べる。


「いただきます!」


 やっぱりそこも旅人は教えたのか、礼儀正しい人だったのかな?


「おいしいです! こんなおいしいの初めて食べました!」


「美味しい!? また腕を上げたなレイ!」


「美味しいですわ……よく考えますわね……さすがレイですわ……」


 好評ですな、やっぱりカレーは番人受けする。

 従業員の方も美味しいと大好評でした。


 俺も食べてみるか久々の米を――美味しい…………もう言葉にできない……涙が止まらない……。


「どうしたのですか!? 熱かったのですか!? 水をどうぞ!」


「大丈夫ですよ……」


 やっぱり米は最高だな……長年食べていないとこうなるのか……。

 これが毎日食べられるとか待った甲斐がある……。


「甘口で美味しいです……味噌を隠し味に入れることで奥深い味になって……さすがです……」


 アイシスも甘めのカレーは好評でした。


「おかわり!」


 特にミツキさんは気に入ったのか3杯もおかわりした。

 よく食べますね……。


「おいしかったです! レシピもわかりましたので、夜に作ってみたいと思います!」


 エフィナの言う通り見て覚える人でした……。

 

 まあ、これなら少しずつ周りに広められそうだ。


「今日はいろいろとありがとうございました! また来てください! いえ、毎日来てください!」


「ハハハ……さすがに毎日は無理ですが……時間があれば来ますよ」


「わかりました! いつでも歓迎します!」


 すごい懐かれました……まあ、いろいろと購入したしそうなるか……。


『言い忘れてたけど、レイは男女関係なく、小人族に懐かれる魔力を持っているよ』


『…………はい!? なんで魔力!? 加護の影響ではなく!?』


『それは少しあるけど、レイの魔力は小人族と相性が良いみたいだからね!』


 なんだそれは……もう訳がわからない……。

 魔力の相性って……精霊のときと同じじゃん……。

 

「また来るときもいろいろとレシピを教えてもらってもいいでしょうか? もちろん、私が食材を負担するので好きなだけ使っていいですよ!」


 まあ、目的はそれだから喜んで引き受ける。


「わかりました。美味しい料理を作りますので期待してください」


「やった~! ありがとうございます!」


「あの……ご主人様……私も時間があればミツキ様のとこで商品開発してもよろしいでしょうか?」


 アイシスは何かしら火が付いたようだ。また何か企んでいるのはわかるが……。


「別にいいよ。けど、無理はしないように」


「ありがとうございます」


「ミツキさん、アイシスもいいでしょうか?」


「アイシスさんも作ってくれるのですか!? すごい嬉しいです! 大歓迎です!」


「よろしくお願いします」


「それではまたあとで」


「はい! 楽しみに待っております!」


 ミツキさんは子どものように大きく手を振って見送ってくれた。   

 今回は大収穫だったな~。

 夕食はもう決まりだな。


 ――夕食時。


 屋敷に戻り――ミツキさんにもらった土鍋で米を炊き、味噌を使い、豚汁ではなく猪肉を使うから猪汁を作った。

 ごはんを盛り、ご飯のお供――イクラをのせて、イクラ丼にして食べる――。


 もう最高でした。イクラと米は最高の組み合わせだ――それに猪汁も美味しい。

 

 調味料もあるから後でイクラの醤油漬けでも作ろう。


「良かったですね、ご主人様」


『良かったね、レイ!』


「ああ、今度から米中心でお願い」


「わかりました。あの……お菓子の方は……」


 もちろん、それは忘れてはいない。


「じゃあ、明日作るか?」


「はい! 喜んで!」


 これは当分依頼は受けないで料理に専念するパターンだな。

  

 称号に【小人族に好かれる者】【母性本能の塊】が追加された。   

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