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603話 聖国騎士に説得

 ――翌日。


 目が覚め、四つ子の――となりのテントの様子を伺うと、セイクリッドに抱きついてぐっすり眠っていた。

 疲れているだろうし、朝食ができるまでそのままにしておこう。


『カイセイに言ったよ。喜んで聖国騎士を説得してくれるって』


 喜んでとは……うまく利用されてますね。

 じゃあ、俺たちが合流したらもう説得しているってことか。


 安心して――。


「レイさん! ここにいましたか!」


 猛スピードでカイセイがこちらに向かってきますが……。


『えぇ……、なんでこっちに来るの……?』


 シャルさんは困惑しています。


「バーミシャルさんから聞きました! 蛇神族はどこですか?」


「朝から騒がしい! この子たちが怯えているではないか!」


「す、すみません!」


 セイクリッドが出てきて怒る。四つ子は後ろに隠れて涙目で怯えていた。

 空気を読んでほしいところだ……。


 はぁ……思うようにはいかないな。


「シャルさんに聞いたってことは確認しにきたのか?」


「はい、蛇神族は見たことがなかったので」


「魔王討伐――中央大陸に行っても見つけられなかったのか?」


「はい、それほど珍しい種族です。任せてください、この子たちは俺がしっかり説明します」


 珍しいのはいいが、役目を果たしてから来てくれ……。


『どうして肝心なときだけ、すぐ言わないのかしら……』


 過ぎてしまったことは仕方がない。


 朝食を済ませて騎士たちと合流した。


 やはり、四つ子を見ると、動揺する者が多かった。


「大丈夫だ、我がついている」


 四つ子を抱えたセイクリッドが言う。

 頷いてくれているし、大勢に囲まれても不安ではなさそうだ。

 

「な、なんで蛇神族の子どもがいるんだ!?」


 ゾルダーは声を荒げて言う。

 1番コイツを説得できるか問題だな。


「バーミシャル様の神託がくだされた――女神が大ごとにしている蛇神族を保護するように言われた。みんなが言いたいことはわかる。女神の言うことは絶対である」


 少々宗教的な言い方だが、「バーミシャル様の神託なら」と納得してもらえる。


「ぐぬぬぬ……反逆の種族を保護だと……。私はどちらを選べばいい……」


 ゾルダーは悩んで頭を抱えて言った。どうやらシャルさんと聖王、どちらが正しいのか混乱しているらしい。

 

 聖国騎士にとっては女神は絶対的存在だ。聖王を優先する場合ではないぞ。


「なら、報告しなければならない。勇者様、蛇神族を聖王様に会わせて許可をもらうしかない。私の部下を聖王様までお届けします。我々に預けていただけませんか?」


 なぜ面倒なことをする? いや、コイツ、納得していない。


「俺の話を聞いていないのか? 聖王の許可の前に、この子たちが良い環境に恵まれていない」


「確かに聖王様に反逆している種族は死刑は確実です。ですが、聖王様は寛大な方です、絶対に許してくれます。それまで牢屋で過ごすことになりますが、ご理解のほどよろしくお願いいたします」


 言っていることがめちゃくちゃだな。


「ふざけるでない! 罪のない子に何が死刑だ! この子は我たちで面倒を見ると決めたからな! お主の言い分は却下だ!」


「セイクリッド殿、バーミシャル様と聖王様はともに、絶対的な存在です。聖王にも会わせる権利があります」


 シャルさんの方が明らか上なのにおかしいぞ。

 コイツ、真面目なのかよくわからないが、いい加減にしろ。


「俺は反対だ。セイクリッドの言う通り、この子たちは何も悪くない。お前たちが勝手に言っていることだ。それにたとえそうだとしても罪はない。もう女神と決めた話だ、終わったらこの子たちは俺の世界に住ませる。聖王に会わせるなんて絶対にないからな」


「レイ殿、反逆者を住ませるとは正気ですか!? き、危険です! 我々に預けた方が安全で良いですよ!」


 俺たちが保護すると言っているのに、なぜ話がまとまらない……。

 この世界から蛇神族がいなくなれば、聖王にとって喜ばしいことだぞ。


「お前が言っていることは正しくないぞ。なぜ聖王に会わせないといけない? 頭がぶっ飛んでいないか?」

「聖王に会わせてなんの特になる? 無駄なことをするのではない若造」

「反逆者の種族でもこんな幼い子を聖王に会わせるとは、お前はバカなのか? 無意味なことをするな」


「なぁ……」


 ほかの隊長たちの正論に何も言い返せなかった。


「ということだ、戦に影響はない。もし、反論したら女神に逆らったと解釈していいよな? 女神は絶対にお前を許さない――天罰が下るぞ。だったら何も言うな」


「ぐぬぬぬ……」


 ゾルダーは反論してこなかった。

 このくらい脅して言わないと何をしてくるかわからないしな。

 ほかは納得しているし、とりあえずは大丈夫そうだ。 

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