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601話 隠し事

 俺が向かおうとすると、ライカも怪しいのか一緒についていく。


『あー、レイちゃんとライカちゃん、良い子は寝る時間だからテントに戻ろうね』


 やっと落ち着きを取り戻したシャルさんが急に言う。

 さては、セイクリッドと一緒に隠しているみたいだ。

 

「俺は成人しているので大丈夫です」

「儂は夜行性だから問題ない」


『いや、だからね。本当に寝たほうが……私の話を聞いて……』


 俺たちはシャルを無視して向かう――。


「肉を焼いているにおいがする」


 ライカは嗅ぎつけたようだ。それなら、あの牛肉を焼いているということか。


 俺は魔力反応でわかった――4体の小さな魔力を感じる。

 まだ幼い感じだ。肉を食べさせるのか?


 焚火をしているのが見えてきた。


「ハハハハハ! よく噛んで食べろよ!」


 近づくと――布で身体を隠した幼い子どもたちが4人? が焼けた肉を口を大きく開けて頬張っている。

 なぜこんなところに子どもが? さらに近づくと、褐色の肌で手と足はリザードマンのような鱗――赤い鱗と細長い尻尾を持っている。 

 魔物ではなさそうだが、なんだろう……ほかの種族より魔力の質が良い。 


『あー見ちゃったね……』


「ヌオォ!? 主殿、ライカ!? こ、これは!?」


 俺たちに気づくと子どもたちはセイクリッドの後ろに隠れた。


「別に怒ったりしないから、事情を話してくれ」


『私が言うね。この子たちは蛇神族(ナーガ)で、ひっそりとヒークバンで暮らしていた種族なの』


「なぜ、魔物が多く生息する大陸に……? よく住めましたね……」


『以前に言っていたグリュムの件――ヒークバンは私を崇拝してない者を追い出していましたよね? 蛇神族は唯一ヒークバンで私を崇拝していた種族なの。トンネルなど比較的安全な地に住んでいたから、逃げることもなかったの。でも、この子たちは――』



「我がちょうど見つけてな……。親と一緒にゴーレムから逃げ込んだところを……」


「おい、その親は……」


「この子らを庇って、目の前でやられてしまった……」


 子どもたちは涙を流すところ、セイクリッドは抱きしめる。

 そんなことが……最悪としか言いようがない。


「それで保護したってことか。なぜ俺たちに相談しなかった?」


『私が秘密にしてほしいとお願いしたの。蛇神族は魔王に寝返ったと言われて、裏切り者扱いされているの。もし、聖国騎士にバレたら子どもでも危ないから……。レイちゃんには言うつもりだったけど、聖国騎士と一緒にいるとね、タイミングがわからなかったの』


「でも、いずれバレますよ。保護するのはわかりましたが、そうなると蛇神族を見つけるまでですか?」


『それなんだけど……。この子たちから聞いたほうがいいかな……。ねぇ、お仲間とかはどこにいるかわかる……?』


「いない……もうみんな……いなくなった……」

 

 怯えながら答えてくれた。 

 シェルさんの声、子どもにも聞こえるようにしていたのか……。


「噓だろ……。じゃあ、ゴーレムに追われていたのは……意図的で……」


『法王の仕業だと思う……。レイちゃん……追い出すならいいけど、ここはまだエンムールだから……。しつこく追ってくるのは……』


「滅ぼすのが目的か……畜生にもほどがある……。本当にこの子たちしかいないなら、大変だ……。では俺たちが戻る前に安全な場所を探すということですか?」


「違うの……。その……お願いがあるのだけど……戻るときに一緒に連れていってほしいの……」


 …………はい? 

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