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5話 後半 氷の魔剣 

 スールさんとザインさんが来た。


「よかったレイ、心配しましたよ! 彼女に運ばれてきたから驚きました!」


 まあ確かにアイシスに運ばれて3日も寝ていれば心配もするだろう。

 それにザインさんは怪しい目でアイシスを見ている。


「そろそろ話してもいいだろう嬢ちゃん、レイには付きっきりだし、それに普通のメイドがレイを運べるわけがない、相当な手練れの者だ、いったい何者なんだ?」


「それとレイと同じ魔力を感じるのはなぜです? あとレイの魔力も増えている…」


 あっ……これ言い訳できない状況だ……察しが良すぎますよ……ザインさん……スールさん……これは素直に魔剣ですって言って大事にしないようにしないといけないな……。


「それは……」


『ご主人様、私が説明しますのでご安心ください』


 アイシスが頭の中で話しかけてきた。


『本当に大丈夫なのか……』


『はい、お任せください』


『じゃあお願い……』


 少々不安だけど頼んでみるしかない……。


「レイ様がお目覚めしたので説明いたします」


「ほう、まず嬢ちゃんはどこから来たんだ?」


「詳しくは説明できません、ですが、プレシアス大陸の辺境の場所から来ました」


「その辺境から何しに来た?」


「レイ様を捜しに来ました」


「なんだって!?」


 スールさんが驚いているが、アイシスがかなり大噓ついてる。

 本当に大丈夫なのか…しかもエフィナがクスクス笑っている……。


「なぜレイを辺境の場所から捜しに来たのだ? まったく意図がわからん」


 ザインさんは冷静だった。


「話が変わりますが、私は辺境の場所で賢者様のメイドという名の弟子でした」


「なに!?」


「14年前、賢者様の子供が生まれました。しかし辺境に賢者が居ると噂が出てきて、暗殺者が来るようになりました」


「暗殺? この大陸ではあり得ないぞ?」


 あっ……これ無理っぽいな……アイシスさんもういいですよ……。


「はい、この大陸は確かに平和です、ですがほかの大陸の刺客の可能性が大きいです」


「ほかの大陸って…まさかズイール大陸の奴らか!?」


「さようでございます。その者たちは当然、賢者様の足元にも及びません。ですが、懲りずに次から次へと来ました。そして賢者様は子どもの身の危険を感じたため、転移魔法を使われました」


「おい、転移魔法とか使える奴なんて聞いたことがないぞ。って……その賢者の子ってまさか……」


「そうです、レイ様でございます」


「おいおい……冗談だろ……」


「やっぱりレイは賢者の子だったのですね!」


 ちょっと待て、状況が一変したぞ! しかも、アイシスがドヤ顔でこちらを見ている……。


『アハハハハ! ボク、もうダメ笑いが止まらない!』


エフィナはもう堪えるのに限界だったか。


「そして半年前に賢者様はお亡くなりになりました。その亡くなる前に、レイ様の転移場所を教えてくれました。手掛かりのもと、レイ様を捜すことにしました。その途中、森の中で賢者様と同じ魔力を感知しました。それに、レイ様は何者かと苦戦していました。急いで駆けつけて、私が倒しました。それで、レイ様が気を失う前に街とギルドを教えてくださり、ここへ来ました」


『アハハハハ! アイシス! 君はいいセンスだよ!』


『ありがとうございます』


 エフィナは笑いながら褒めているけど、これ本当に大丈夫なのか……。

 するとザインさんはため息をついた。


「レイ、これは本当なのか?」


 もうアイシスの噓に乗るしかない……。


「彼女が言っていることは本当ですよ。それに彼女が来た時に懐かしさを感じました」


「だから彼女と同じ魔力なんですね! でもなぜレイの魔力が増えたのです?」


 さすがに魔力が増えたのは気になりますよね。


「おそらくですが私がレイ様に回復魔法で手当てしました。魔力が同じなので私の魔力と同調したのだと思います。それでレイ様は覚醒して私と同じ魔力になったのだと思います」


「そんなことができるのですね!」


 スールさんすごい興奮してるけど、多分そんなことはあり得ないと思います……魔力が同じなのは俺の魔剣だからですよ……。


「話はだいたいわかった……けど嬢ちゃん、別にレイを捜さなくてもよかったんじゃないのか?」


「いいえ、そんなことはありません。賢者様には恩があります。恩を返す前にお亡くなりになられたので心残りがあります。そして、賢者様は最後までレイ様を転移させたことを悔やまれていました。私はそれでレイ様を捜すことに決めました。見つけたらレイ様に一生尽くすことに決めています! それが私の賢者様への恩返しです!」


 これは壮大な大噓ですよ……。

 そして……スールさんが泣いている……すみません、これは噓なので泣かないでください……。


「噓は言ってないみたいだな」


 いいえ、まったくの大噓ですよ……一生尽くすのは本当みたいだけど。


「うぅ……レイの事を思っているのですね……」


「わかったよ嬢ちゃん、疑って悪かった」


「いえ、こちらこそレイ様を育てていただきありがとうございます」


「理由はともあれ本当ならレイを捨てた賢者は処罰されるべきだが、亡くなったのならしょうがない」

「では私が罰を受けましょうか?」


 いくらなんでもそれはダメでしょう! しかもアイシスがノリノリなんだけど!


「それはないぜ、嬢ちゃん! たとえ身内だとしても、その賢者が罰を受けなきゃ意味がないぜ! 法ではそう決まっているからな!」


「はぁ……そうですか……」


 なんでそこでため息をつくのだ!? そこはホッとするとこでしょう!?


「まあ、とにかく嬢ちゃんは悪い奴じゃないことはわかった! 今後も、よろしくな!」


「はい、こちらこそよろしくお願いします。それと名前がまだでした、アイシスと申します」


「おう、俺も名乗っていなかったな、俺はここのギルドマスターをやっているザインだ! そしてレイの育ての親!」


「何を言っているのですザイン! 私も育ての親ですよ! アイシスさん、私はスールと申します。よろしくお願いします。できれば賢者について教えてください! 興味があります!」


「わかりました。詳しいことは言えませんが可能な限りお答えします」


「おお! ありがとうございます!」


 そこはいいのかよ!? まあ、アイシスは頭の回転が早そうだしごまかせるか。


 そうして、アイシスはお辞儀をしてザインさん、スールさんと握手をした。なんとかごまかせたけれど、これからが大変だ。今後の方針を決めないといけない。


「そういえば、レイ。苦戦してた奴はいったいなんだ?」


「そうでした、あの森にオーガの異常種(ユニーク)がいました。」


「おいおい噓だろう……そんなのがいたら大ごとになるぞ! 物はあるのか?」


「倒した後に気を失ったので持ち運びできませんでした」


「それなら私が持っています」


 アイシスはレッドオーガの首を出した。


「なんだこりゃ!? 嬢ちゃんもアイテムボックス持ちかよ!」


「賢者様の弟子ですから」


 いろいろととツッコミたいけどやめておこう。


「しかし、レッドオーガかよ……昔戦ったことがあるが、Aランク5人掛かりでやっと討伐できた魔物だぞ……2人で討伐できたのが奇跡みたいなものだ……」


「アイシスが来なかったらもうダメかと思いました」


「やはり賢者の弟子だけあるな」


「恐縮です。ご主人様、胴体も持っていますので素材を換金してもよろしいでしょうか?」


「いいと思うよ。使い道がないからね」


「レッドオーガだと相当な額になるぞ……たてがみ、骨、牙、特に魔石がやばいな……」


「やっぱり魔石があるんですね」


 魔石は大型の魔物とかにある。基本的には魔道具に使ったりする。さらに、人の魔力量も少し増やすこともできる貴重な代物である。


「あとブラックウルフも30頭あります」


「そんなに狩ったのか!? はぁ……いつものことだが、むちゃしすぎだ! ランク外でブラックウルフを30頭も1人で倒すのはおかしいだろ!」


「レイ、それはさすがにむちゃしすぎです……」


「すみません……」


「まあ今回の件でレイの行った森は警戒体制を上げる。そしてレイは2週間ぐらいは狩りを禁止だ。まだ回復していないからな、今日は換金してゆっくり休めよ」


「わかりました」


「俺は仕事があるからまたあとでな。嬢ちゃん、レイをよろしくな」頼む」


「お任せください」


「私もこれで。レイ、アイシスさん、またあとで」


アイシスはお辞儀をして2人は部屋を出ていった。


「……はぁ~、一時はどうなるかと思った……」


「申し訳ございません、これくらいしなければご主人様の秘密が隠せませんので」


「まあ、ごまかせたならそれでいいよ」


「ありがとうございます。今後もこのような設定でいきますのでよろしくお願いします」


「わかったよ」


『アハハハハ! いいね! アイシス、君は最高だよ! 久しぶりに笑ったよ!』


「恐縮でございます」


 エフィナはまだ笑っている。森の中で会話できる人は、誰もいなかったから仕方がないか。

 さて、今後の3人、いや魔剣だから2人、いや人として数えよう、3人で今後のことを考えよう。

 まずは、素材の換金からだ。


 その後、称号を確認すると「賢者の末裔?」から「賢者の末裔」になっていた。

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