590話 勇者が来るまで――
食べ終わっても、シャルさんとつながったままです……。
困ったことが――。
『あら~、みんなとお風呂なんていいわね~。私も入りたいな~』
俺たちがお風呂に入っているときまでつながっています……少々口調も変わって酔っています……。
というか、俺が入るとみんな入ってくるのはなぜ?
みんな入れるからいいけどさ……。
「あの……さすがに風呂のときは勘弁してください……」
『ソシアちゃんに婿入りするから~、減るもんじゃないよ~。これもお母さんとしての務めだよ~』
もう何を言っても無駄です……。
「ハハハハハ! 裸の付き合いってこういうことを言うのだな!」
セイクリッドは【人化】して高笑いして湯船に使っているし……。
女性陣は全裸のセイクリッドが入っても大丈夫か聞くが――。
「セイクリッドだから大丈夫です」
「あやつは、欲情しないから平気だ」
「セイクリッドと入りたい……」
問題ありませんでした。
戦闘にしか興味がないセイクリッドだからいいでしょう。
ソアレは普通に背中を洗っていたし、隣でくっついて入っているから仲が良い。
俺が知らないうちに仲良くなっているのは良いことだ。
それにしてもかなりのマッチョですな。
今まで鍛えたのが物語っている。
『セイクリッドちゃん、良い身体しているね~。何かと言わないけど、いいわね~』
もう言っているようなものでしょう……。
セイクリッドみたいなガタイの良い人が好みかもしれない。
就寝の時間になると――。
『もう寝ちゃうの~? もっと話がしたいよ~』
かまってちゃんかよ……。そこは我慢してください……。
ソシアさんは母親を尊敬しているけど、相手するのに疲れないのかな?
――――◇―◇―◇――――
あれから5日が経つ。
豪邸を提供してくれたおかげで不自由なく過ごせています。
ノワッチェからお願いされることがある。また魔導兵器が来たと言われて毎日討伐をしている。
俺は【武器創造】で金の剣でコアを破壊し、倒していく。
コアが弱点なら、俺たちの世界のゴーレムと全然変わらない。
気になるのは、人工で作られているのか、コアの中にはバチバチと雷が走っていた。
普通の人なら感電するほどの強力だ。
雷には魔力が込められており、魔法で利用していることがわかった。
この世界でユニークである雷魔法だ。
相手側の雷魔法を使う魔導士を倒せば解決しそうである。
今のところ一日あたり数体しか来てないから問題はない。
「レイ殿が金を使うとは、わかっているではないか」
金好きのノワッチェから別の意味で称賛されました。
ちなみにゴールドグランドウルフは商人と分ける話になり、双方から300万ゼルを受け取った。
商店街の食材や物の価値を見に行って調べたところ、こちらの世界にいる間は余裕で暮らせるほどの金で困らない。
下手すれば数年は暮らしていけるほどである。
長くいるつもりはなく、余った金は勇者などに渡して帰ろうかと思っている。
問題が発生した――氷、雷、片方の光の魔剣しか使えない。
別の世界に行ってしまうと、つながっていた魔剣が途切れてしまい使えなくなることが判明した。。
戻れば解決するのはわかっているが、魔剣が限定されるのは少々痛手である。
しかし、スキルと魔法には影響がないからまだマシか。
2人の勇者を助けるのは十分可能だ。
問題はそれだけだが……シャルさんが用がないときに話しかけてくるのは少々困る……。
『ソシアちゃんのお婿さんと話すのは当然だよ』
だから、まだお婿さんにはなっていない……。
どなたか……この女神の暴走を止めてくれないだろうか……。
だが、ソシアさんには連絡はしっかりと取っているようだが――。
『何度も連絡しても出ないの……。。ティーナちゃんとシャーロちゃんも……。これはおかしいから直接行ってみるよ』
そう言って話しかけることが止まった。
妙だな、ティーナさんは仕方がないとして、ソシアさんとシャーロさんは冷静に天界の様子を見ることだろう。
何か事情があるかもしれない。
――――◇―◇―◇――――
――翌日。
目が覚めると、シャルさんが話しかけてきた。
『ソシアちゃんに会いに行ったけど、誰もいなかった……。下層の天使にも話しかけたけど、誰もわからないって言うの……』
いないのか? 俺たちを探しているにはおかしいぞ。
嫌なことが起きなければいいが……。
「たまたまいなかったかもしれませんよ。そのうち連絡がくると思いますよ」
『うん、そうしようと思う……。けど……ソシアちゃんに会いたかったな……』
愛娘にも会いたいですよね……。
落ち込んでいても仕方ないです。
『主殿、起きたか?』
セイクリッドから念話がくる。
念話を送ってくるということはもう城壁に行って見張りをしているみたいだ。
『ああ、起きているぞ。どうかしたか?』
『勇者と名乗る者が現れてな、そちらに一緒に向かってもよいか?』
予定より早く来てくれたか。




