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589話 落ち着いたと思ったが

 豪邸の中に入ると、ソファとテーブルとイスが設置されていて、広々とした空間である。隣はキッチンであり、魔石付きの水道とコンロが設置してある。 

 俺たちといる世界と同じ仕組みだ。

 脇にある二階に続く階段に上がると寝室と浴室がある構造になっている。


 後日、世話役が来ると言ったが、アイシスは「私がいるので問題ありません」と断った。


 俺もソアレの配慮としては賛成である。


 ゾルダーは承諾して伝えると言った。しかし、門前での見張りは絶対命令とのことで、誰かに入られても困るから俺たちは承諾した。


 やっと、落ち着いてソファに座ることができた。

 ふぅ……違う世界に飛ばされて初日でイベントがあり過ぎる……。


 ともあれソシアさんのお母さんが創った世界で本当に良かった。

 このまま戻れなかったらどうしようもなかった。


「うぅ……セレネ……」


 ソアレは落ち込んで涙を流していた。

 いつも一緒にいる妹と離ればなれになって不安だろう。


「1カ月ちょっとは辛抱だ。絶対に会える……会える……子どもたちが我慢できるか心配になってきた……」


 ライカは頭を抱えて心配していた。

 今回は大騒ぎになるのは間違いない……。

 フランカとセレネがしっかり言ってくれれば多少は大丈夫だろう……多少は……特にメアが暴走しなければいいが……。


「俺も心配になってきた……」


「誰かが天界に行って把握できればいいのですが……」


 アイシスの言うとおりだ。慌てずに対処してくれるならティーナさんに会うはずだ。


「あっ……シャルさんに伝えればよかった……。ティーナさんたちも慌てていそうだ……」


「あり得ますね」


 特にティーナさんが、大慌てなのが目に見える……。


『大丈夫だよ、ソシアちゃんにさっき連絡したよ。けど、出てくれないから困ったわ……』


 急にシャルさんから声がつながる。


「連絡したのですか?」


『そうだよ~。レイちゃんたちは私の世界で預かっているから心配しないでと言うと思ったけど、つながらないの。まだお取込み中みたいだし、また連絡するよ』


 そこはしっかりしていて助かります。

 あとは誰かがティーナさんに会えば問題ない。


「ありがとうございます。勇者の件はどうしましたか?」


『そうそう、すぐにワグナールに行くって言ってたよ。多分、東の地――忘却の大地にいるから1週間ほどには着くかもしれない』


 なんだその場所は……。修業できる場所なのか……?

 まあ、来てくれるなら問題はなさそうだ。


 それなら、その間はゆっくりできそうだ――。


 夕食の時間になった。

 ソアレの機嫌を直してもらうため、お子様ランチを作った。


 食材は俺とアイシスとライカが持っていて、食事に困ることはありません。。

 万が一の際に備えて数年分を無限収納に入れておいてよかった。

 その上、創種もあり、異世界に飛ばされても絶対に困らない。


 チートさまさまです。

 

 それは良いが……。


『おいしそう~。ただ、なぜお子様ランチなの? 夜だからお子様ディナーではないの?』

 

 シャルさんとつながったままである……。


「あの……つながったままで大丈夫ですか……?」


『ん? 特に用事がないから大丈夫だよ。最近、話し相手がいなくてしゃべりたいの』


 この女神、寂しがり屋なのか……。


「勇者とはある程度会話したりしないのですか?」


『カイセイのこと? う~ん、会話相手ではないかな。女神と勇者の関係だから連絡だけだよ』


 一応、関係を割り切っているのか。

 あくまで召喚した勇者だから親しくはしないようだ。


「そうですか、見てて食べたくなりませんか?」


『うん、食べたいよ。ただ、今日はお菓子をもらってお酒を飲んでいるから大丈夫だよ』


 酒飲んでいるのか……。この人は本当に自由だよな……。

 どうやってしっかり者のソシアさんができる……?

 不思議ですね……。


「では、作り置きのものがあるので、明日持っていきます」


『アイシスちゃん、ありがとう~。でもね、持っていかなくても大丈夫だよ。私が持っていくから』


「持っていくとは?」


『証明が必要かー。じゃあ、私の分の食事をテーブルに置いてくれる?』


 アイシスがシャルさんの分のお子様ランチをテーブルに置くと――その下に魔法陣が発動して消えてしまう。

 転移できるのか……。


『う~ん、おいしいよ~。できれば、忙しくなければ毎食作ってほしい。ね、お願い』


 味を占めてしまったか……。

 まあ、シャルさんしか頼りにできないし、機嫌を損ねないように提供はします。


 まだ付き合いは浅いのに、ここまで介入する女神は初めてだ。

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