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567話 暗闇の中で――

レイ視点に戻ります。


 意識を取り戻した……。

 暗闇に落ち続けたままで……激痛が走る……。


 魔力もなく……回復魔法と【再生】のスキルも使えない……。


 それに……どこまで落ちるのだろう……? 暗闇で底が見えない……まさか永遠に続くのか……?


 痛みと暗闇の中を永遠に落ちるのは俺には耐えられるだろうか……?


 それよりアイツはどうなった? 

 もし、俺の身体を乗っ取り、グリュムを倒すのは本当だろうか……?


 いや、魔力暴走にそんなことはできない……。

 頼む……みんなが止めることを願う……。


 では、みんながアイツを止めたら俺はどうなる?

 はたして俺の身体が無事でいられるだろうか……? 無理だ……。


 あの魔力暴走は壊れるくらい使うはずだ。

 だったら……みんなは乗っ取られたアイツを絶対に止めるはずだ。


 止めたとしても俺の意識が戻るわけがない……。

 完全に詰んだ……。このまま人生が終わるのか?


 まあいい、エフィナを助けるのが約束だった。

 約束を果たしたなら、天界に行ってゆっくりするのも悪くない。



 しかし……約束を果たしたのはいいが、なぜティーナさんは俺を選んだ?

 ただの料理人である俺なんだ?


 日本の神に愛されるなんて、ほかの人も多くいるはずだ。

 なぜそこまで溺愛するのかもわからない……。

 疑問でしかない……。


 すると、小さな光が俺の方に飛んできた。

 光が見えない暗闇の中からどうして?


 その光は俺の身体に入っていく――。

 

 ……………… 

 …………

 ……

 

 視界が変わると、周りは木々で囲まれた古びている社殿前に立っていた。


 ここは……俺が幼い頃に住んでいた地元の神社ではないか。


 なぜここに……って、魔力暴走にやられた傷が治って痛みもなかった。

 元通りになるのはありがたい。

 それよりも――複数の子どもが神社の周りを走り回って遊んでいた。

 その中に……幼い俺がいた。


 どうやらここは俺の記憶らしい。

 あの光は俺の記憶の一部ということか。


 なぜ幼い頃の記憶を見せる?


 戻ることができないな……。

 この記憶を見ないと戻れないのか?


 まあいい、どうせ暗闇の中にいるよりはマシだ。


 思い出に浸ろうではないか。


 この記憶は、11歳の夏休みの記憶だ。

 地元の神社で友だちとよく遊んでいたな。

 友だちと遊んで本当に楽しかった。そう、遊んでいるときは――。


 夕日が沈み、みんなが帰っていき、俺だけとなった。そのまま1人で社殿の段差に座った。

 当時は両親が共働きで家に帰っても誰もいない。俺は一人っ子だ。


 家に帰ってもやることないから、お腹が空くまで神社にいた。

 別に家に帰ればゲームで遊んだりできたが、この頃の俺は1人でいることに退屈を感じていた。


 友だちは帰れば家族がいる。食卓を囲み温かい食事が出る。

 それに比べて俺は誰もいなく、1人寂しくコンビニの弁当を食べる。

 それが児童期のほとんどだった。だから家に帰るのが嫌で神社でただボーっとするのがよかった。


 まあ、何もかも嫌だった時期では間違いなかった。

 でも、その時期が終わる出来事があった。


「きゅあ!?」


 森の中から突然少女の叫び声がした。驚く俺の姿がそこにあった。

 そう、彼女が現れるまでは――。


 俺は薄暗い森の中を怯えながら歩いていた。少女がしりもちをついたと確認できたら、近づいた。


 そう、彼女との出会いで……えっ……彼女は……そうだ、思い出した――。

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