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559話 賛否


 思い当たる節がある。

 外に出たいとか言っていたし我慢の限界だったか。


『念話は通じないの?』


『全然ダメ……。応答ないよ……』


『別に捜さなくていいんじゃない? エメロッテがほとんど監禁状態だったから、外に出たかったと思うよ。そこまで心配する必要ある?』


『必要があるから言っているの……。主ちゃんを一人にしたら危ない……私の勘がそう言っているの……。なんでアイシスは黙って報告しなかったの……』


『言い訳させてください。私はご主人様優先でございます。寝室いなかったときに察しました。少しだけでも外の空気を吸ったほうがストレスを緩和すると思って報告しませんでした。ご主人様は子どもではありません。そのうち帰ってくると思います。では私は送られてきたイカを解体をはじめます』


 アイシスもそこまで心配はしていない。

 まあ……エメロッテが過保護だったのがいけないけど。


『そうです……。もう少し自由にさせれば脱走なんて考えはしませんこと……。ですが、主様が心配です……。ワタクシは捜しますよ……。フフフフ……主様とかくれんぼは楽しいですこと……』


 キングクラーケンを領地に送っていたメアの姿がなかった。

 最後の笑いはおそらく、独り占めしようとしているな……。

 うん、絶対ありえる。


『わかった。セイレーンたちのケアをしてから捜すよ。少し待ってね』


 リフィリアは優先するべきことを終えてからか、あの子もそこまで大事にはしていない。


 ボクは……とりあえず領地に戻って確認でもしよう――。


 ――屋敷の庭に移動すると、エメロッテはルチルとマイヤとフランカが揉めていた。


「エメロッテうるさい! ご主人は外に出たかっただけだ! 捜さなくていい! アタシはみんなと遊びたい!」

「恩人様は自由になりたかっただけ……。捜すのめんどくさい……」

「そこまで心配しなくていいんじゃないか? 心配するのはいいけどよ、ダンナのことだ、気分転換させてくれ。だからおとなしく待っていろよ」


 あまりにしつこく念話で伝えていたのか、猛抗議していた。

 さすがに強要するのはよくない。


『『いません!』』


 ソアレとセレネが慌てて念話で伝える。

 あの双子は協力していたか。


 ほかにも――。


「ダメだ見つからんぞ。主のにおいなんてしないぞ」

「主殿はどこにもいないぞ」

『見渡してもどこにもおらんのじゃ』


 ライカとセイクリッドとシエルが来て報告しに来た。

 えぇ……三方にも協力させるとか……ちょっと……。


 これ以上ほかの子を巻き込ませるのはよくない。

 注意しないと――。


「エメロッテ、いい加減にして、さすがのボクも怒る――」


 その瞬間、身体がゾクッと震える……。えっ……? 今のなに……?

 魔剣たちはボクより震えが止まらない。

 嫌な予感がする……。


「おい……今のって……ダンナだよな……? 繋がっていた糸が切れた感覚はなんだよ……?」


「切れた感覚? ボクにはそんな感じはしなかったけど?」


「アタシもフランカと同じ……。ご主人……何かあったの……?」


「ウチも……」


 ルチルとマイヤまで……いったい何が……?

 

「あ、主ちゃんが危ない……、みんな、お願い……捜して……」


 エメロッテは真っ青になって言うのは本当に危ない。

 もう穏やかではない。


「レイに何があったかわかる?」


「わからない……。けど、早く捜さないと命の危険性が……」


「わかった。早く見つけよう」


「おいおい、どうしたみんな集まって? 少しみんな慌てている様子だが何かあったのか?」


 ヴェンゲルが勘づいたのか様子を見に来てくれた。

 レイが危ないのは仕方がない、協力をお願いしよう。


「実は――」


「なんでもないよ~。みんなして大きなイカを送られてきたから、どうするか悩んでいたの~」


「ああ、あのキングクラーケンか? 確かにあの数は悩むよなー」


「だから気にしないで~。悪いけど~、解体の手伝いお願いしてもいい~?」


「わかったよ、なんだ俺の思い違いか――」


 ヴェンゲルは何事もなく去ってしまう。

 

「言わなくていいの? みんなに協力したほうがいいのではないの?」


「今は違うと思う……。もし、私たち以外の子が捜したらダメな気がする……」


 本当かわからないけど、エメロッテの勘を頼りにするか。

 けど、その勘は当たらないでほしい……レイが安全であることが1番だ――。

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