557話 からかいに――
エフィナ視点になります。
王城の庭に着いてソウタを探す。
すると、騎士たちがボクたちを見て鼻の下を長くしている。
まったく、これだから男は……。
まあ、ボクたちがナイスバディだから視線がいくのはしょうがない。
ボクたちって罪な乙女だね~。
おっ、いたいた精霊たちとイチャついているね~。
さっそくからかう。
「やあ~、みんな、元気にしていた~?」
声をかけるとソウタたちは棒立ちだった。
あれ? おかしいなー、声でわかると思ったけど、反応が薄いな。
もうちょっと驚いてもいいのに。
けど、ソウタはボクの視線――胸をガン見している。
はぁ……、自分でも言うのはあれだけど、ボクは顔に自信がある美少女だけど、胸を優先するとはね……。
顔を見て話してほしいなー。少しだけと思ったけど予定変更しよ――。
「なにその反応、ひどいな~。長年の付き合いなのにもう忘れたの? あんなに愛し合っていた仲なのに~ひどいよ~」
ボクは顔を隠して泣いている演技をすると、精霊たちと騎士は憎悪むき出しにしてソウタをにらみつける。
よしよし、引っかかったね。
「身に覚えはないぞ。そもそもお前は誰だよ!?」
「まあ……、なんと酷いことを言うのです……? ワタクシの前で見せつけていたことを覚えていなのですか……? ああ、わかりました……過去の女はどうでもいいことを忘れていました……。むっつりなお兄さんはそういう人間ってことを忘れていました……」
「だから知らないって!?」
メアもえげつないことをするね~。
周りの憎悪を増大にさせるとはさすが、闇の魔剣だね~。
これ以上やったらかわいそうだからネタばらしないと。
「えぇ~、本当に忘れたの~? ボクだよボク――エフィナだよ。まったく~美少女の顔くらい忘れないでよ」
「お前、エフィナなのか!? 身体を大丈夫なのか!?」
「ご覧の通り、ボクは大丈夫だよ。レイが頑張ったおかげでね」
「そうか……本当によかったな……」
「なにしんみりしているのさ、君にはそんな余裕はないと思うよ」
周りの騎士は武器を構えて臨戦態勢である。
だけど精霊たちは――。
「「「ま、まけた……」」」
飛ぶのをやめて床について落ち込む。
そんなにボクのスタイルがうらやましいのかな?
まあ、大きくなるように頑張って努力してくれたまえ。
「お前、あとで覚えてろよ!」
「なんのことかな~? ボクをわからなかった罰だよ~」
「「「精霊使い……許さない……」」」
我慢の限界で襲いかかり、ソウタは逃げる。
ノルマ達成だ。ソウタはこうでなくちゃ。
「フフフフフ……久しぶり見て満足ですこと……」
メアも満足してなによりだ。
次は王様にも挨拶しないとね。今後、会うことが多くなるし今のうちにしておかなくちゃね。
リンナにも挨拶しないと――。
『大変、セイレーンたちが無数のクラーケンに襲われてケガしている! 私、戦闘で手が離せなくて困っているの! エメロッテお願いできる?』
リフィリアから念話がきた。
念話で伝えてくるほど、緊急事態だね。じゃあ、ボクも応援に行こう。
念話で伝えて、王様の挨拶はあとにしよう。
「メア、行くよ」
「名残惜しいですけど、仕方がありませんこと……」
城をあとにして島に移動する――。
おお、派手にやっているね。
浜辺には4体のクラーケ……キングクラーケンだ……。侵入して手伝いに来ている小人と先王と大妃が戦闘していた。
あの大型だと【創種】で創った魔物除けの花が効かないかー。
緊急なのも頷ける。
ちょうどいい食材だ。確かレイの記憶でイカはタウリンが豊富で疲労回復効果があったはずだ。
今、レイは疲れているからお土産としてはいいかも。
「フフフフフ……活きのよいイカですね……。これは主様に食べさせれば……」
メアも同じようなことを考えていた。
「けど、「ダークホール」は使わないでよ。領地に直送したらアイシスが怒るよ」
「それはできません……。主様に新鮮――生で食べさせたいのです……。活きがよくないとお腹を壊します……」
ダメだ、レイのことでいっぱいで暴走している。
ここはボクが説得しないと――。
「いや、疲労している人に生で食べさせるほうがお腹壊すと思うよ。ほら、レイの記憶で体調を崩している人には適切な食事を提供させるという考えでしょ? 温かい食事――イカメシならきっと喜ぶよ。だから新鮮でなくても大丈夫」
「そうでした……。主様の体調がすぐれていないことを忘れていました……。なら、新鮮にお届けしたほうが――」
「それはいいって! ここで締めたって変わりはないでしょ! さぁ、早くやるよ!」
「仕方がありません――――ダークチェーン……」
ふぅ……なんとか言うことを聞いて4体のキングクラーケンを闇の鎖で胴体を縛ってくれた。
少しくらいは素直に言うこと聞いてくれないかな……。一応、ボクも創った魔剣なんだから――。




