556話 魔力暴走②
あれだけ与えても魔力は全然変わらない……。
本当に自然消滅するのか……?
それに……身体がだるい……。
魔法を使いすぎただるさだぞ……。
消費が激しい【混合魔法】を使っても大丈夫なのにおかしい。
これじゃあ俺が一方的不利ではないか……。
弱体化してアイツから時間を稼ぐのにハンデがあるとはかなりのハードだ……。
「だいぶ疲れがきているな。降参するなら痛くしないぞ」
「誰が降参するか……。早く終わらせてみんなのもとに帰る……」
「帰るだと? どうやって? ああ、言い忘れたが、俺を倒せると思うなよ。なぜなら――ここは俺が創った空間だからな! その意味がわかるか? お前はすでに俺の支配下にいるってことだ!」
「この空間はエフィナが創ったやつと同じだ……。自分で創ったかのように言うな……」
「口減らずめ……。最後のチャンスなのに拒否するとは頭がおかしい……」
「それはお前だ……。いい加減消滅しろ……魔力暴走……」
「誰が魔力暴走だ! 俺はレイ・アマガセだ――――エクスプロージョン・ノヴァ!」
大きな炎の球体を目の前に落とし――広範囲で大爆発する。
自分も巻き込まれるのにコイツはバカなのか!?
マズい、急いで無魔法を使う――。
「――――アブソリュート・プロテクション!」
身体に絶対防壁――魔力をコーティングさせる。
爆風にのみ込まれて吹き飛んでしまう――。
…………ふぅ、なんとか軽傷済んだ……。
節々が痛い……血が出るとか……ここはどういう原理だ……?
魔力暴走の精神世界なら血が出ないはずだ……。
それに……あの魔法で真っ白い空間に穴が開いて周りは黒い部分が目立つ……。
所詮、魔力暴走が創った空間だ……。エフィナと違いムラがある……。
アイツは――。
「――――炎晶乱華!」
すでに目の前にいた……。【隠密】で気配を消していたか……。わからなかったぞ……。
急いで【武器創造】で黒色に輝く剛金の剣を創り――炎の魔剣と結晶の魔剣で怒り狂った剣技を必死に防ぐ。
力は強いが、怒り任せで剣を振っているだけだ。
乱れ大きく、魔剣を使っても持ちこたえることができる。
「また俺の知らない魔法を――ふざけるな!」
「なぜそこまでムキになる? お前だってオリジナル魔法を発動できるだろ? いや、できるわけがないか。わかったぞ、お前は――」
「これ以上言うな!」
さらに怒り狂い、剣を振ってきた。なんとなくわかってきた。魔力暴走の正体が。
まあ、わかったことで、倒すのは変わらない。
ここまで激情するとは俺にはなれない。大振り過ぎて隙だらけだ――セイクリッド、力を貸してもらうぞ――。
「――――斬滅連覇!」
2刀の連撃を繰り返し、相手を押す――。
「なっ、なんでお前がその技を……」
「何度も見ているからできるに決まっているだろ――」
「グアァ!?」
身体を切るつけることができてそのまま押しのけ――吹っ飛ばす。
まだだ――剣から黒色に輝く剛金の大剣に持ち替え――。
「――――覇閃斬!」
地面を叩きつけ、斬撃を発生させ、追い打ちをかける。
「あり得ない! 魔剣を持ってもなぜ!? グアァァ!?」
直撃し、また吹っ飛んでいく。
「経験の差だ。これで終わりにしてやる――――グラビティブレイク!」
「――――ふざけるなぁぁぁ!? グアァァァァ!?」
風と闇と空間の【混合魔法】でアイツの周囲は黒い球体に包み込まれ。
俺は手を握ると球体は縮小してアイツともども消えていく。
終わった……。さすがに限界だ……。
イチかバチか大勝負に出たがうまくいった……。
あの魔力暴走に苦戦するとは……いやなめすぎたか……。
元はと言えば俺の――――えっ……?
背後から反応が――。
「グハァ!?」
背後から炎の魔剣を刺されて腹部を突き破られる――貫通された……。
激痛と熱さが……。な、なんで……生きている……? しかも無傷……?
治癒龍の魔剣で回復できないほどの消滅させる魔法だぞ……。
焼けるようなにおいが……血が蒸発しているのか……?
「残念だったな。わかり合えると思ったのにな。お前は用済みだ。俺の中で一生さまよっていればいいさ」
力が入らない……ちくしょう……前に前にと押されてしまい……穴が空いた場所に……。
「じゃあな、哀れな俺……」
剣を抜けるとそのまま穴に落ちてしまう……。
光がなくなり暗闇の中に入る……。
意識がなくなる……ダメだ……保たないとアイツが暴走してしまう……。
なんとか……なん……と……か……。




