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543話 ほかに提案


 領地を散策するのだが、なかなか良い場所がない。

 やっぱり辺境伯に相談しないといけないか。


「レイ様、何を探しているのですか?」


 邪魔をしないように黙っていた。シェルビーが口を開いた。

 別に隠すつもりではないしな。


「万が一、不利の状況になったときのために緊急用の道穴を作ろうと思ってな。敵わない奴と戦っても無駄死するだけだ。生き残る選択をしてほしい」


「なんと!? 最悪なことを考えて穴を作ろうとするのですね! さすがです!」


「まあ、これも辺境伯から許可をもらわないといけないけどな」


「では、お父様に相談しましょう!」


 シェルビーは俺とメアの手をつなぎ、引っ張りながら辺境伯がいる屋敷へ――。


「フフフ……せっかちですこと……。そんなに焦らなくても逃げませんよ……」


 善は急げってことだ。

 屋敷の前には辺境伯と冒険者のお偉いさんたちがいた。


「俺は天使を戦争への参加は反対だ!」


 …………ヤーワレさん、まだ揉めていたのか……。しかも辺境伯を交えて……。

 

 まあ、ちょうどいい、ヤーワレさんの問題も少しは解決しよう。


「ヤーワレさん、辺境伯に大事な話があって来ました。代わってもいいですか?」


「レイ君、俺も重要な話をしている。すまないが、そのあとにしてくれ!」


 ダメだ、暴走している相手にまともな判断ができない……。

 ん? メアがシェルビーの耳元で囁いているぞ。


「ヤーワレ様、レイ様は領地全体の話があります。ヤーワレ様と同じような考えでございます。どうか、どうか……」


「ヌオォォォォォ――――!?」


 シェルビーが涙目でお願いすると、鼻血を大量に出して昇天し、倒れてしまった……。

 おい、気絶はしていないよな……? これから話すっていうのにそこまで刺激は強くないはずだ。


「フフフフフフ……良い演技でした……」


「ありがとうございます」


 おい、シェルビーを使って遊ぶのではない……。


「助かった……。君たちが来なければ止められなかった……。それで話とはいったいなんだい?」


 結果オーライでいいのかな……?

 話が進まなかったことだし、大目に見てやる。


 俺の考えをみんなに伝えると、辺境伯とデムズさんは驚いていた。


「そんなことが可能なのか!?」


「お前の孫……そんな発想できるのか……」


「レイらしい発想だな。けどよ、魔物を繫殖させるのはいいが、大量に発生したらこっちにも被害が及ぶぞ」

 

「ヴェンゲルさんは知っていると思いますが、チヨメの【創種】で魔物除けの花を創って周りの蒔けば大丈夫ですよ。あと地魔法(アースウォール)で念入りに塞げば問題ありません」


「なるほどな、そういう手があったか。じゃあ、問題ない」


「なに簡単に理解している!? どうやるかわからないが、今のができるならいい。だが問題なのが、避難用の穴だ! 海岸まで魔法で掘るってどういうことだ!? 魔法で掘れる冒険者なんて1人もいないぞ! 普通に掘るとしても半年以上かかってしまう距離だ! それになんで海岸なんだ? まさか泳いでプレシアス大陸に避難しろというのではないよな?」


 デムズさんはには無茶に聞こえるか。

 まあ、そのはずだ。話で聞いたが本当のようだ。

 ズイールでは魔法を使って活動している冒険者はあまりいないようだ。

 魔法が使える者は優遇され貴族の護衛にされることが多く、金もそれなりにもらっているとのこと。

 

 ズイールの冒険者稼業は安くて底辺と言われ、魔法を使える者には人気のない職と言われる。

 聞いたときはどれだけ冒険者をバカにしているのか腹が立った。


 これも廃止しようとする帝王の思惑かもしれない。


 デムズさんの言うとおりではある。ここから海岸なんて100㎞以上はあるし、そこを選んだにもしっかり理由もある。

 適当に言っているわけではないからな。事前にヴェンゲルさんとヤーワレさんには話している。


「デムズ、心配するな。レイと嬢ちゃんが滞在するまで完成させる。海岸に選んだのは船を用意するからアスタリカまで避難しろということだ。文句はないだろ?」


 船はセイレーンの件で証拠として残しておいた船を活用させてもらう。

 まさか避難用に活用するのは皮肉なことだ。

 

「ハハハ……あり得ない……。では本当なのか作業しているとこを見るぞ」


 疑うのも無理もない。まあ、見学くらいならいいか。


「それで、ヤーワレさん、若い冒険者を戦争の参加に反対しているのですよね? 本人の意思で戦うのなら止めることはできませんよ。ただ、本当に厳しい場合になったら、優先して避難させるのは良いとは思います。辺境伯、もし、不利な状況になったら若者を優先して避難させてくれませんか?」


「もちろんだとも、これから未来のある若い子は優先して避難させる」


「だそうです。それでよろしいでしょうか?」


「グヌヌヌ……」


 頭を抱えて悩んでいた。

 話は聞いていたみたいだから、とりあえずは良い方向でまとまりそうだ。


「アマガセ子爵殿、そこまで私たちのことを考えているとは……。その件、ぜひお願いしたい。本当にありがとう……」


 俺はこれくらいしかできない。

 辺境伯に許可ももらったことだし、いつでもできるようになった。

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