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531話 順調に――


 ソウタの問題を解決して王様とアンバーと話をするため、城中に入り、客間に案内される。

 用意されたテーブルにつくと、さっそく――俺は今回あった出来事を話すと、笑顔で頷いて聞いてくれた。

 だが、「ドミベック」のことを言うと、笑顔が消えた。


「ドミベック商会って……クレメス辺境伯に支援しているはず……。何かの間違いだよね……?」


 かなり動揺していた。はい……? 支援している……? 俺は証拠として契約書を渡すと、顔が真っ青になる。


「情報が洩れている……。辺境伯が危ない……ジェストはいるかい……?」


 慌てて王様は外で待機していたジェストを呼んで、クレメス辺境伯に伝えるように指示をする。

 スパイかよ……辺境伯側が大変な状況になったと思ったらそういうことだったのか……。

 帝王に完全に踊らされている……。

 王様は落ち着かせようと、ハーブティーを飲み、ひと呼吸する。


「ふぅ……、ありがとうレイ君……君のおかげで情報を阻止できるよ……」


「それはいいのですが……大丈夫ですか……?」


「大丈夫なわけがなかろう! スパイを気づかないなんて、致命的だぞ! これだと振り出しではないか!」


「魔王さんの言うとおりだよ……。本当なら辺境伯が裏で指揮していることが報告されている……。もし、内戦が失敗したら反逆罪で捕まってしまうよ……」


 辺境伯は冒険者の人質にされていることになっている……。

 もう隠蔽なんてできない。


「そんなことより、支援はどのくらいだ? まさか全般とか言わないでくれよな?」


「そ、そのとおりです……。食料はもちろんのこと……武具や生活用品と……」


「はぁ~、最悪なことが的中しても嬉しくはないぞ……。今後はどうなることやら……」


 アンバーは呆れながら言う。


 全部かよ……。アンバーの言うとおり振り出しだな……。

 別ルートで支援してもらい、体制を整えるしかなさそうだ。


「クレメス辺境伯の報告が来ないかぎり、何もできません……。魔王さん……午後の会議は中止でお願いします……。いろいろと考えさせてください……。フレリット君とコナーズ君に言わないと……」


 王様にとって予想もしなかったことだろう。

 これで振り出しで終わればいいが、マイナスだったら――いや、そういう考えはよくない。


 気づいたことに喜ぶべきだ。

 これで帝王に踊らされることはない。


「わかった。気をしっかりな。オレはレイの領地で待機しているから連絡しろよ」


「はい……。レイ君、本当にありがとう……」


「いえいえ……、ほかに船を証拠として持ってきたのですが、いりますか?」


「この契約書で十分だよ……。ほかはレイ君が好きなように扱って……」


 いいのか……。

 俺には不要で処分してもいいが、とりあえず何かあったときのために保管はしておく。


 頭を抱えた王様をあとにして俺とアンバーは部屋から出る。


「はぁ~、いつになったら戦争ができる……」


 アンバーため息ばっかりだ。


「絶対に強行はするなよ……」


「わかっておるわ! オレは条約は絶対だ。ディカルドがオーケー出すまで動かんぞ!」


 そこは守ってくれるみたいだ。

 しかし、ドミベック商会がスパイだったのは悲劇でしかない……。


 どこまで情報が洩れた? 王様と繋がっている情報だけは避けたいものだが……。


 報告を待つしかないか。 

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