530話 仲直り
「わかった。けど、陛下は会議があるから会うとしたらそのあとになるぞ」
「えぇ~、そうなの~。う~ん、まあ、いいや~それまで待っているよ~」
「その時間、暇だと思うから、ソウタと遊んでくれないか? この3名がソウタと会いたくないと言ってその代わりに相手をしてくれないか?」
「あのお兄さんと~?」
エクレールはソウタの精霊に向いてニヤリとする。
「お兄さんと一緒にいるの好きだから~いいよ~。ち・な・みに~、好きなことしてもいいよね~?」
「ああ、いいぞ。エクレールが満足するまで好きにしていいぞ」
「やった~、お兄さんと好きなことできる~。あの子たちよりも満足させてあげる~。あんなことして~こんなことして~」
再び向いて色っぽい顔をする。
いったい何を考えている……。いやいやまさか……。
当然、真っ青で身体を震えさせている。
だが、煽られても何も言い返してこない。
ここまで固いとは……。
本当にエクレールがやましいことをするぞ。
「はぁ~、お前さんたち、ソウタに会いたいと素直に言わんのか? これ以上、意地を張っても何も変わらんぞ。また好みの女が現れたどうする?」
「「「い、いや!」」」
アンバーが呆れながら言うと、声を出した。
我慢の限界ようだ。
「なら、会うだけ会ってみろ」
頷いて、返したが下を向いてあまり乗り気ではなかった。
気まずいと思うが、少しは変化はあるだろう。
精霊たちも近くに寄り、俺は空間魔法を使って移動する――。
――城の庭に移動すると、王様は笑顔で、騎士たちは整列して敬礼をして待っていた。
その中に騎士の鎧を着たソウタもいる。なかなか様になっているじゃないか。
「うん、来たね。君たちが、コナーズ君とタユタさんだね。ようこそ、僕のお城へ」
「は、はじめまして、国王陛下! この度は――」
「いいよいいよ、大変だったね。その前に泊まる部屋の案内するね。午後に話しよう」
後ろで待機していたメイドはコナーズとタユタを城の中を案内する。
それはいいが……。
「「「う、うつくしい……」」」
タユタ見た尻追い組は鼻の下を伸ばしていた……。
しまった……尻追いがデレデレするほどの良いもの持っていることを忘れていた……。
ちょっと不安――いや、かなり不安です……。
「陛下~、会いに来たよ~」
エクレールは王様の駆け寄り顔に抱きつく。
「久しぶりだねエクレール。悪いけど、これから会議があるからいい子で待ってね」
「わかっているよ~。じゃあ、それまでに~お兄さんと遊ぶ~」
「ソウタ君と? ほう……ソウタ君以外は解散していいよ」
騎士たち――尻追い組は満面な笑みで解散してソウタは呆然としている。
尻追い組はまたやらかしたと思って嬉しそうですな。
「それで、ソウタ君の精霊がいるってことは、ソウタ君に会いに来たの?」
その発言で精霊たちは動揺する。
王様は早とちりしないで、察したのか。
「ソウタ君も何か言ってあげなよ。せっかく会いに来たのだからさ」
「えっ……、は、はい……。3人とも……その…………」
ソウタはそのあとの言葉が続かない。
「はぁ……まだ早すぎたのかな……?」
王様が強引に言ったのがマズいと思ったか。
さすがにまだ早いか。だが、修羅場がないだけでもマシなほうだ。
まあ、会っただけでも進展がある。このままゆっくりと――。
「寂しい思いをさせてごめん! これからはもっと反省をする! 今とは言わないが、前のように一緒にいてほしい!」
大声で頭を下げた。
まさか謝るとは思わなかった。
精霊たちは――。
「バカ……、ずっと寂しかったのよ……」
「うぅ……、もう離さない……」
「も……もっと大事にしてください……」
涙を流して駆け寄り抱き着いた。
なんだ素直になったじゃないか。
「世話が焼けるビジネスパートナーだな。オレのおかげでよりを戻したんだから戦争が終わったらオレの大陸に貢献しろよ」
アンバーにとってそれが大事ですな……。
戦争が終わってもソウタは大変だ。
「うんうん、よかったよかった。とりあえず精霊と仲直りになったのは喜ばしいことだ。戦争の準備は順調だ」
ですよね……。
精霊も参加すればどんなに強いことやら……。
この2人、腹黒いですよ……。
「む~、ケチ~、せっかく好きにできると思ったのに~。まあ、いいや~久々のお城だから散歩しよ~」
マイペースのエクレールが空気を読むとは。
「まさか、ソウタたちを思ってやったのか?」
「ん~? なんのこと~?」
ただの気まぐれのようでした……。
まあ、よりを戻したならよしとしますか。
ん? ソウタたちの魔力がきれいに輝いている。
何かあるのか? いや、長い間離れていたから嬉しいかもしれない。
俺の見間違いだ。




