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529話 上からの話


 集会場にはみんな、集まって夕食――ちらし寿司を食べていた。

 その中にコナーズとタユタはアンバーとヴェンゲルさんと一緒に戸惑いながら食事をしていた。


 いきなりグランドマスターと魔王と一緒は緊張するよな。

 ヴェンゲルさんはともかく、アンバーなんてズイールの宿敵なのに……。


「俺の領地で収穫した食材は口に合うか?」


「子爵殿、美味しくいただいております。私が知らない料理や食材があるなんて驚いています。ズイールではこんな新鮮なもの味わえないです。

世界はまだまだ広いことを実感しました。大変勉強になります」


「そうか、タユタは人が作る料理は大丈夫か?」


「美味しいですよ。魚と海藻しかほとんど食べていませんでしたが、食べやすいです」


 オーロラみたいにすんなり受け入れてくれたか。

 やはりセイレーンは雑食みたいだ。

 

「なるほど、ちらし寿司は大丈夫と」


 遠くでカーリーが紙にメモをしていた。

 さっそく、参考にしていますね。勉強熱心だ。


 とりあえず、この領地でも馴染んでいけそうだな。


「レイよ、こやつは明後日ディカルドと話をする。もちろん、帝王の息子(フレリット)と一緒に話すつもりだ。お前さんも一緒に参加してもらうがいいか?」


 もう日程が決まったのか。

 まあ、情報を握っているならそうなるか。


「わかった」


「俺からも――陛下に相談したら、コナーズはズイールから亡命をした形になった。亡命者は1週間、上で監視しないといけない。王城で預からせてもらうぞ」


 勝手に亡命して、許可が下りるまで自由に行動は無理だよな。

 

「わかりました。コナーズ、少しの間、タユタと離れることになるがいいな?」


「はい、掟と理解しております。こんな私でも待遇が良くて感謝してもしきれないです。ズイールでは考えられません」


 ズイールはどのくらいずさんか知らないが、よほど酷いらしいな。

 まあ、内戦が起きている時点でおかしいけど。


「あ、あの……私……コナーズと一緒について行ってもよろしいですか……? 無理の承知の上とは思っています……」


 せっかく、一緒になって離れるのは嫌なのかもしれない。

 さすがに無理だな。


 ヴェンゲルさんは腕を組んで悩んでいた。


「悪いが嬢ちゃん、上の判断だ。俺が決めることはできない。寂しくなるが、我慢してくれ」


 普通ならそうですな、タユタは下を向いて落ち込む。


「だったら、オレが説得しよう。別に夫婦で一緒にいたって変わりはないだろう? ただお前さんは夫と一緒に監視下に置かれて窮屈な日々を送るけどな」


「それでもコナーズとずっといたいです」


「だそうだ、ヴェンゲル」


「はぁ~、俺は止めませんよ。魔王さん、陛下にしっかり言ってくださいよ」


「決まりだな、報告を待て」


「「あ、ありがとうございます!」」


 これ……アンバーが口を挟んでいいのかな……?

 なんかアンバーなら断れそうにないな……。


 夕食後、アンバーは王様に連絡してタユタも一緒にいても良いと許可をもらった。

 魔王さまさまですね……。

 

 夕食が終わり、セレネとソアレから報告があった。

 2人はソシアさんから賊が勇者召喚の魔法陣の件で天界に戻って話をしたらしい。


 落ち着いたら話を聞こうと思ったが、さすが双子の天使だ。

 報連相(ホウレンソウ)を徹底している。


 聞いた話だと、いきなり孤島から小さい勇者召喚の魔法陣の反応があり、ソシアさんは阻止してしたのは事実だった。空間魔法――「ゲート」を使えなくして申し訳ないと言っていた。


 まあ、今回は偶然重なったのは仕方ない。

 だからあの魔法陣を魔力を受けつけないようにしていたのか。


 それと、なんで賊が魔法陣を作成できたのか聞いてみたら――。


「愚か者と繋がりがあるなら何らかの情報を得て、遊び感覚で作成されたと思う。まったく……いい迷惑だ……」


 と、呆れながら言ったらしい。

 それしか考えられないか……。本当にはた迷惑な奴らだ……。

 


 ――――◇―◇―◇――――



 ――2日後。



 王城に行く日になった。


 アンバーとコナーズとタユタは俺の屋敷前で待っていた。


 俺は屋敷に出て3方の元へ――。


「悪いな、待たせて」


「来たか、じゃあ、移動頼むぞ」


「わかった、その前に――どうした俺たちに何か用か?」


 ソウタの精霊3組が屋敷に植えている木の後ろで、俺たちを見ている。

 だいだいはわかっている。


「もしかして、ソウタに会いたいのか?」


「ち、違うわよ!」

「ち、違う……」

「ち、違います!」


 首を振って否定するが、本当は会いたいようだ。

 素直ではないな。


 精霊たちとよりを戻さないと、今後、お互いのためにならないしな。

 

「お前たちが来ればソウタは喜ぶぞ」


「そ、そんなことないわよ!? どうせあの女の方がいいに決まっているわ!」

「うぅ……どうせ……ボクよりあの女が好き……」

「絶対にあり得ません! 辛いですけど、これが現実です!」


 かなり重症だな。この機会と思ったが、また今度にするか。


「あれ~? みんな何しているの~?」


 たまたま通りすがるエクレールが向かってきた。


「これから王城に行くけど」


「王城に行くの~? ウチも連れてって~陛下に会いたい~」


 本当に自由だな……。まあ、王城ならスカーレットさんに言わなくても大丈夫だ。

 

 いや、エクレールが行くなら都合がいい。すまないが、利用させてもらう。

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