527話 まだまだやることがあるが……
厨房にいるカーリーに相談したところ――。
「わかりました。準備をしますので移動のほうお願いします」
あっさりと、承諾してくれた。
「急で悪いな、できるだけ環境を整えるよ」
「とんでもございません。お礼を言いたいのは私の方です。指名してくださり、ありがとうございます」
なぜか喜んでいました。
「そんなに嬉しいのか……?」
「はい、セイレーンの方に食――料理を広める機会です。料理人としての血が騒ぎます」
心の中で闘志を燃やしていますね……。
俺も元料理人だが、そこまでのバイタリティはないぞ……。
いや、長年、料理をしていたら何を求めているか変わるよな。
カーリーは料理を愛している――料理人としての限界突破をしている……。
俺はみんなの料理任せで作っていなかったしな……その心を忘れていた……。
元料理人としてカーリーを見習わないといけない。
俺も時間があれば料理を再開しよう。
「さすが、オレの城で料理長をしただけのことはある。その心を忘れずに精進してくれ」
「はい、魔王様」
アンバーが料理長にしただけのことはあるな。
戻ってきたらカーリーにまだ教えていない料理を教えよう。
カーリーとの相談が終わり、次はホーツの元へ――。
「シルキーがそのようなことを……」
説明したら涙を流していた……。
かなり心配のようですな……。
「嫌なら戻すぞ……」
「違います……。シルキーがここまで成長するとは思いませんでした……」
喜んでいたのか……。
あれだけ恥ずかしがり屋だった妹がほかに気にかけるのは予想外か。
兄とって妹の急成長は喜ばしいことですね。
「じゃあ、許可することでいいよな?」
「もちろんです。ですが、僕もたまに様子を見に行きたいです」
まあ、多少の心配はあるよな。
「わかった、行くときは声をかけるよ」
ホーツとの承諾を得て、もう昼となった。…………眠い。
睡魔に襲われているが王様に報告だ……。
「レイよ、お前さんは休んでくれ。オレがディカルドに言う」
「いいのか……じゃあ、お言葉に甘えて、頼む……」
「任せてくれ、お疲れさん」
アンバーに頼み、俺は寝室にいき、ベッドで眠りつく――。
…………ふと目を覚ました。
寝室ではなく真っ白な空間――エフィナと会える場所にいた。
寝ていただけなの意識がここにくるとは…………エフィナはどこだ!?
寝ぼけている意識をはっきりさせて周りを見渡した。
いない……、嫌な予感しかしない……。
俺はエフィナを捜しに走る――。
ただ視界は真っ白だけでエフィナの姿が見えない。
ちくしょう……【魔力感知】で反応しろよ……。
俺はエフィナを無事を確認したいだけだ……。
頼むから反応してくれ……。
………………。
…………。
……。
エフィナを捜してどのくらい経つ?
数分? 数十分? 何時間? それとも数日?
真っ白な視界で感覚が狂っている……。
そもそもここはエフィナの空間だ。時間の概念があるのか……?
まさか迷子になったわけなのか? それは違う、いつでも戻れるような感覚はある。
強制に戻らないかぎりはここの空間にいられる。
問題なのが、力が抜けている感じはある。
ほかに確かめてたら魔法とスキルが使えないことだ。
魔剣を出そうとしても反応がない。スキルもその同様に。
【魔力感知】のスキルが反応しないわけだ……。
まあ、魔物が出るわけではないから使えなくても問題はない。
だったら見つけないかぎり、俺はここは出ない。
どれだけ経過しようが、エフィナの安否を確認するまで絶対に出ない。




