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523話 セイレーンと接触した理由


 コナーズは、ズイール大陸の中心都市――カテナッハに住んでいる貴族でしがない作家という。何も書けずに悩んでいてプレシアス海域を回る豪華客船に乗って息抜きをした。後ほど、プレシアス側から許可をもらっていない違法客船だと知った。

 知らずに日頃の疲れを取っていたら、魔物――クラーケンに襲撃され船は壊滅され海に落ちて気を失う。


 目を覚ますと、セイレーンに助けられ、セイレーンが住む島に放流されたことがわかった。

 みんなは偏見もなく、フレンドリーな感じで普通に仲良くなり、島に馴染んでしまう。頭の娘――タユタに恋に落ちて婚約までしてしまう。

 舟を作り、また戻るといって途中までセイレーンに送ってもらいズイール大陸に帰っていく。


 タユタと一緒に暮らすための準備――資金を稼ぎために、セイレーンと暮らした小説で出すと、とても好評で一躍人気の作家になった。

 そのお金でタユタ――セイレーンと暮らせる環境を整えて迎える準備ができた。

 

 作家活動で知り合いになったバメジムザハ・ドミベック――ドミベック商会は大型の船を持っているとわかり、頼んでみたところ、セイレーンとビジネスをやりたいと言い、ズイール大陸に移住させてくれるならとの条件で船を出すと言う。

 コナーズはみんなが豊かに幸せに暮らせるならと受け入れた。

 そして、タユタのお迎えとみんなの説得でセイレーンの故郷に向かったという。


 ところが、島につくと、乗組員が豹変して今に至る。

 

 まさか頼んだのが奴隷商とはな……皮肉なことだ。


「お前、奴隷商と知って頼んだのか……?」


「奴隷商……? ドミベック商会は周りから評判の良いズイール一の商会で……奴隷商登録していないと聞いている……。あの傭兵が裏切って愚行したのかと……」


 なるほど、表向きは普通の商会か。


「これを見てくれ――」


 俺は無限収納から指示をしていた親玉――ゴーゼムの契約書を見せるとコナーズは顔を青ざめて手を振えさせ契約書を地面に落とす。


「噓だ……。なんだこの契約書は……まるで違法の奴隷商じゃないか……。奴隷商でも勝手に奴隷にすることは許されない……なんであの商会が……」


「奴隷の規則はわからないが、裏ではクズいことをしているのは事実だ。それと、告発しても商会が罰せられないのは確かだ」


「どうしてだ……? 証拠があるなら確実に裁かれる。私はこれを持ってすぐに告発を――」


「無理だ。ちゃんと訳もあるぞ――」


 俺はコナーズにこれまでの経緯を教えた。驚きの真実に頭を抱える。


「そ、そんな……王族と手を組んでいたなんて……あの大陸は腐っていたのか……」


「冒険者ギルドと対立している時点でおかしくはなかったのか?」


「対立している噂は聞いていた……。けど、私が住んでいる都市は冒険者ギルドはなく、わからなかった……」


 中心都市なのにギルドがないのはどうかと思う。

 内戦に巻き込まれてなかったか。


「ギルドがなければ護衛とかどうしていた?」


「傭兵に頼むのが一般だ。それが普通の環境だよ」


 冒険者がいなくても傭兵に頼れば問題ないよな。


「ちなみにあの傭兵どもは悪趣味な石を全員付けているのか?」


「あれはドミベック商会だけが扱っている。聖なる石と言っていた……。長期契約するならもらえるとか……」


 完全に黒だな、禁忌野郎とグルなのは確定した。

 戦争が終わったら探して地獄に落としてやる……。


「話はだいたいわかった。それで、お前はどうしたい? 責任を取ると言っても具体的に何をしたい? ズイール大陸にセイレーンはもう連れていけないぞ。お前も帰ってもドミベック商会から目をつけられていられないしな」


「この島を復興させて……みんなを豊かな暮らしをさせたい……。もう二度と悲劇が起こらないように努力もしたい……」


「ふざけるなぁ!? お前の勝手な判断でめちゃくちゃにされて、何が復興だ! 反吐が出る!」


 また頭の息子はコナーズを殴りかかろうと暴れる。

 もう感情的になって説得は無理だな。


「ごもっともだ……。だが、私はそれでも責任を取る……」


「だったら、お前の顔なんて見たくない! 二度と現れるな! 妹の婚約も破棄だ!」


「兄さん! 私はコナーズと一緒にいたいの! だったらコナーズと一緒に出る! はじめからそうだったからいいわ!」


「ふざけるなぁ! 許されると思うか!? お前は俺と一緒にいろ! 次期、頭になる俺の命令だ!」


 そっか、頭の息子だからあとを継ぐのか。

 もう身内の問題だから俺が突っかかる必要はない。


「「「レイちゃん……」」」


 オーロラとリヴァとシルキーが俺に目で訴えてきてる……。

 はぁ……しょうがない……。わかりましたよ、俺が解決するよ――。


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