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508話 強制送還


 領地に戻り、ヴェンゲルさんは魔道具(通信機)で王様に報告する。

 俺は報告が決まり次第、待機している。


 長くなりそうだからフランカ――鍛冶を手伝っているチヨメを見に行った。

 工房は暑く、チヨメは上着を脱いでさらしのまま金槌で武具を叩いて作っていた。

 これを尻追い組に見せたら大変だろうな……。


 それはいいとして、手際よく作っているからさすが【鍛冶師】を持っていることだけはある。

 周りと馴染んでいて心配はなさそうだ。

 安心して武具制作をお願いできる。

 

 そろそろ話が終わったと思い、通信機がある書斎に行く。

 

 そう思っていたら……まだ話していた。


「できるだけお願いします。では――」


 ようやく終わった。ヴェンゲルさんは俺に気づくと――。


「ちょうどいい、陛下から報告だ――嬢ちゃんを狙ったバカ騎士は明日、強制送還だ。急遽、信頼できる騎士を送る話になった」


 やっぱり尻追い組は戻ることになりましたか。

 これで尻追い組の問題は解決しそうだ。


「ソウタの処遇はどうなりましたか?」


「アイツは2日後に判決が下される。謁見の間でな……。レイと鬼人の嬢ちゃんも来るように言われている」


 謁見の間で言うとかただ事ではない……。というか俺もですか……。


「わかりました。チヨメには俺から言います」


「よろしく頼むわ。はぁ……やっと休むことができる……」


 大きくため息をついて部屋から出ていった。

 ふぅ……俺も疲れた……昨日と今日で騒動とかやめてほしいものだ。

 まあ、この件で終わることを願う。



 ――――◇―◇―◇――――



 ――2日後。



 

 ソウタの処遇が決まる日となった。

 

 これが終われば領地も落ち着く。

 昨日は尻追い組が強制送還され、まともな騎士が来てくれて何事もなく安心した。


 さて、ソウタを迎えに、謹慎で使用している丸太小屋の前へ――なんでみんな集まっている?

 もう面白いことなんてないぞ……。


「おい……早く出て来いよ! テメェ……陛下を待たせるきか!」


 ヴェンゲルさん大声で怒鳴るとゆっくりドアを開けて出て…………なんで干からびている……?

 みんなと接触は禁止だったはずだ……。

 

「まあ、むっつりなお兄さん……。朝までオネエさんとお熱くなって……。謹慎されても懲りないですこと……」


 メアがクスクス笑って言う。

 はい? トリニッチさんにも接触禁止だぞ。

 やたら肌艶が良いトリニッチさんにみんな振り向く。


「ごめんなさい……。丸太小屋に入ったことは謝るわ……。メアちゃんがソウタちゃんが寂しいと言われて……ダメだとわかっていてもつい……」


 いつもどおりの展開でした……。

 とりあえず見張りをしていた騎士に聞いてみる。


「トリニッチさんを中に入らせたのか?」


「も、申し訳ございません……。何者かにやられて身動きが取れない状況でした……。ただ、意識ははっきりとしていて中では男の悲鳴――ソウタさんの声が聞こえていました……。身体が動けるようになっても恐ろしくて見ることができませんでした……」


 真っ青になりながら涙目に言う。

 …………何かと言わないが触れないでおこう。


 これだけは言っておく、見なくて正解だと思います。


「わかった。今回は許す。トリニッチさんも事前に言ってください。面会は許しますよ」


「ごめんなさい……。今後、気をつけるわ……。けど……あんな夜……もう過ごせないかも……」


 トリニッチさんは赤くしながら言うと。男の騎士たちは尻を隠す。

 良い思い出になってよかったですね……。


「テメェ……謁見前に人肌を求めるな!? ぜってぇ許さねぇ……」


 あぁ……ヴェンゲルさんに余計に刺激してしまった……。

 けど、暴力は振るわなかったのは偉いと思う。

 まあ、謁見前にやってしまったらソウタの処遇が軽くなるかもしれないしな。


「ああああああ……ああ……ああああああ……」


 ソウタが何か訴えている。このままだと謁見どころではないから、少し効果を抑えている真っ赤な栄養剤とポーションを飲ませた。


「もう嫌だ……」


 嘆いているが、過ぎたことはしょうがない。割り切って違う自分に目覚めてください。

 騎士2人に両腕をつかまれて逃げることはできなくなった。


「フフフフフフフ……これから最高のショーが始まりますこと……」


 もしかしたら今日で最後かもしれませんよ……。

 なぜかメアは謁見の間に入る許可をもらっている……。

 まあ、だいたい予想はつくけど……。


 気を取り直して俺たちは空間魔法を使い、王都へ移動する――。

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