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500話 遺伝するのか……


 小人が住んでいた村に移動した。


 一瞬の出来事でチヨメは驚いた。特殊の魔法と説明して納得してくれた。


 (ゴミ)どものせいで瓦礫で散乱したが、今は撤去されて周りはきれいになった。

 残っているのは倉庫と神社である。


 その光景にチヨメはただ呆然とする。


「本当なら活気があるところを見せたかったんだが、すまん……」


「謝らないでください。今でもよい場所ですよ。それよりも……」


 チヨメは【アイテムボックス】から刀を取り出して鞘からゆっくりと抜く。

 刃は少し水色の光沢があり、ミスリルの使っているのがわかる。


 まさか刀を使って戦うのか。

 

 気づいたか、近くに強力な魔物の反応があった。

 まだ村の中には入っていないが、荒らされては困る。


「少し行ってきます」


 チヨメは真っ先に魔物の反応がある方へ走っていく。


 かなり強力だが、大丈夫なのか? 

 俺たちも後を追いかける――。


 本当に大丈夫なのか……? 遠くでもはっきりとわかる図体のデカいサイクロプスだぞ……。

 ライカも心配で慌てていますよ。


「おい、儂らも戦うから急いで行くなよ!」


「大丈夫です。すぐ終わりますので――」


 チヨメは止まることなく、勢いよく飛び――軽々とサイクロプスの頭上に、そして、両手を使い真っ二つにする。

 えぇ……Sランクの魔物を気づかないうちに倒した……。

 こんなあっさりと倒すなんて相当鍛えているな……。

 というか、あのくらい強くなければ、あの海域を舟では渡れないし、1人で旅なんてできない。


 心配していたライカは予想外の強さに口を開けてポカンとしている。


「これでよし。また来たら大変です。少し待ってください」


 武器を納めて、片手を出すと――手のひらから光り輝いて、大きな種が山盛りになって出てきた。

 はい? これ……【創種】だよな……? スキルって遺伝子するのか……?

 

「魔物除けの種を創りました。お墓参りに周りに植えましょう」


「大変ありがたいのだが……簡単にもらっていいものなのか……?」


「ご心配なく、このスキルを知っているお方にしか分けませんよ。知っているとしたらお父さんの故郷の人くらいですので」


 そこは自覚しているみたいだ。父親の故郷って、やはり小人以外でも分けたのか。

 まあ、何かしら理由があって分けたなら深入りはしない。


 定期的に様子を見て魔物を倒していたが、限度があった。

 この種があれば、安心して村内を守ることができる。

 ありがたく使わていただきます。


「さすがチトセの娘だ! 顔を舐めさせてくれ! いや、舐めるぞ!」


「それだけはやめて!?」


「今はやめろ。種蒔きが優先だ。おとなしくしていろ」


 俺は暴走寸前のライカを取り押さえる。

 まったく、舌を出して襲いかかろうとするなよ……。

 本当に「いぬっころ」になってどうする……。


 ライカが落ち着きを取り戻し、周囲に種蒔きをする。


 蒔くと言っても土に植えないで落とすだけだ。

 植えなくても咲くように創ったようだ。


 創造ってなんでもありだな……。

 俺も人のことは言えないが……。


 だいたい1時間くらいで終わり、お墓参りをする。

 

 建てられてる墓に一つ一つ、線香をあげて、拝む。


「亡くなった子も種で世話になった。その娘が来て天国で喜んでいるぞ」


「私は何もしていません。ただ……お母さんと再会して一緒に見守っていればなと思います」


 再会か……。もうチトセはここの天界にはいない。

 日本の天界で両親と会っているはずだ。


 それを言っていいことなのか。わからない……

 その時が来るまで言わないようにする。


「仮にだ。天国に行ったらチトセに会いたいか?」


 まさかライカが遠回しで話すとは……。


「もちろん会いたいですよ。だけど、お母さんに天国に行って会えるかわからないです。最後まで甘えていましたので……。そんな私に呆れていますよ。「私を忘れるくらいの最高のパートナーと一緒になって幸せに暮らせ」とか笑顔で言って永眠しました。余計なお節介ですけどね……」


 少し寂しそうに言う。天国関係なく本当は会いたいだろうな。

 落ち着いたらティーナさんに相談でもしよう。多少のワガママは聞いてくれるはずだ。


「そうかそうか、チトセはそう言うところはお節介だからな。呆れていても娘のことだから心配しているぞ」


「ハハハ、そうですね。ライカさん、よろしければお母さんと一緒にいたときのことを話してくれませんか?」


「いいだろう! 長くなるぞ、領地に戻ってから話をしようではないか」


 ライカとの初対面はあまりよい印象ではなかったが、2人ともチトセのことが好きだから、すぐに打ち解けたみたいだ。

 

 少し変なことはあったが、一件落着だな。

 墓参りも終わり、領地に帰宅する――。

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