48話 後半 異常種擬き
後半はアイシス視点になります。
ご主人様の「アイスフィールド」で周り一面に冷気が広がり――これで私とご主人様の領域になる。
相手は異常種擬きのミノタウロス……ご主人様は魔剣を使っても良いと言っていましたが、周りには人がいる……。
ここで魔剣を使っては面倒な事が起きるに違いない――ここは私のプライドにかけて魔剣を使わず【武器創造・氷】のスキルを使うことにする。
これだけでも十分にあの異常種擬きを倒せる。
「ブモォォォォォォ――――!」
相手が斧を振ってくる――それを【武器創造・氷】で創造した氷を付与した銀剣で受け流す――少し重いですが……【身体強化】で魔力を多めに使えば問題ない範囲です。
ミノタウロスはなりふり構わず斧をぶん回している――それを剣で受け流したり、躱したりして氷の領域を活用しながら徐々に相手の体力を奪う――。
ですが……おかしいことに、手が凍っているはずなのに、平常でいること……効いていない?
「ブモォォォォォォ――――!」
ご主人様が相手をしているミノタウロスが雄叫びをあげて――凍っている箇所が溶けた……。
氷耐性でもある? いえ、生半可な氷ではダメってことですね……だったら徹底的にやるまで。
魔法を使う――。
「――――アイシクルニードル・レイン」
無数の氷の針でミノタウロスを囲み――放つ――。
「ブモォォォ――!」
防ごうともせず仁王立ちでいる。
皮膚が硬いのか魔力で覆われているのか全然傷がつかない……だけど軟らかい箇所は絶対にあるはず。
もう一度、魔力を多めに――。
「――――アイシクルニードル・レイン」
再び氷の針を放つ――。
「ブモォ!」
斧を持っている右腕、左足、腹部に傷がついた――ここを確実に狙うしかありません。
創造した剣を解除して――再び【武器創造・氷】で氷を付与した銀の細剣を創造する――。
ミノタウロスの左足に狙いを定める――。
「――――刺氷」
「ビモォォォ――――!?」
細剣で足を貫く――やはりここは軟らかいですね。
だとすると傷がついた箇所は魔力があまりいきわたってないことになる。
ミノタウロスは怒り狂って斧を一心不乱に振る――さすがに細剣では受け流すことはできないから――躱す。
足に深手を負い動きが鈍くなっている――これならこちらの有利な方向へ進む。
後ろに下がって魔法を使う――。
「――――アイシクルランス」
鋭い氷の槍を腹部を狙い――放つ――。
しかし……斧で防がれる――けど足を負傷しているからか、後ろによろける。
問題はあの邪魔な斧をなんとかしないといけませんね……。
細剣に魔力を込め――再びミノタウロスに近づき斧を躱しながら――隙ができたら、すかさず右腕を突く――。
「――――刺氷連撃」
「ビモォォォォォォ――――!」
右腕を細剣で繰り返し突く――。
ミノタウロスはそれが痛かったのか左手で右腕を抑える――次第に息が荒くなり始めた。
これは好機ですね――その隙に背後に回り、そのまま「刺氷」で突く――。
「ビモォォォ!」
背後は硬いのか突くのが浅かった――ですがこれだけで十分、細剣に氷の魔力を込める――。
「――――氷波」
氷が外がダメならば中に通せば良いことです――細剣を刺したまま離れ――。
ミノタウロスは背中からジワジワと凍っていく――だけど背中だけしか凍らない。
動きは止まっているが――もしかすると全体が凍らないように抵抗しているかもしれない。
しぶといですね……。
だけどこれで終わり――。
【武器創造・氷】で氷を付与した銀の大鎌を創造する――あの硬さは剣では通らないから大鎌で切るしかない……。
「まずは腕からいきますよ――歯を食いしばってください――」
大鎌を振り上げ――。
「――――豪氷華」
「ビモォォォォォォ――――」
右腕を切り落とし続けて左腕も切り落とす。
そして腹部に――。
「――――氷旋華」
「ビモォォォォォォ! モォ……」
腹部に深い傷を負わせ――ミノタウロスは凍っていき――仕留めた。
さすがに異常種擬きとあって……魔力を半分以上消費してしまいました……。
ご主人様の方も終わったみたいですね……。
できればこの後に甘い物を食べて魔力を回復したいものです……。




