493話 黒幕について②
アマーニが去っていく姿を見て双子は大喜びだった。
「助かったよ、急なところ呼び出して」
「「大丈夫です!」」
「そうか、もう、大丈夫だから引き続き遊んで――」
「「私も行きます!」」
まさか天界に行きたいのか。
まだ1日も経ってないが、行きたいなら別に構わない。
「わかった、一緒に行こう」
「ご主人様、私も行きます」
アイシスも行くこととなり、社殿に祀っている女神像の前で拝み、視界が変わる――。
いつものところに着くと、シャーロさんが目の前にいた。
「「シャーロ様!」」
双子は喜んでシャーロさんに駆け寄ると、頭をなでられる。
「よく頑張ったね……。地上ではやっていけそう……?」
「「はい!」」
「そう……これからレイたちと大事な話があるから……遊んできて……」
「「は~い!」」
双子は翼を広げて飛んでこの場を離れた。
そしてシャーロさんはアンバーを見て腕を組む。
「で……、言いたいことはあるでしょう……?」
「何もないぞ! オレの判断は間違ってない!」
「そう……。じゃあ、いいや……次からは気をつけて……」
ティーナさんみたいにご立腹と思ったが、許してくれるみたいだ。
アンバーのやっていたことは理解してくれるようだ。
「それはいいとして……レイ……言いたいことがあるでしょう……?」
「はい、その前にティーナさんとソシアさんは来ないのですか?」
「ティーナは疲れて家で寝ている……。ソシアは急いで勇者召喚の阻止のため、ゲートの確認をしている……」
ティーナさん、無理して地上に降りたしな、疲れて当然か。それに、ソシアさんが危ないと言っていたのはやはり勇者召喚のゲートが危ないことのようだ。
「そうですか、では――「グリュム」とはいったい何者なんです? 俺の考えだと、禁忌を使う元凶でこの世界を破壊する愚か者ですか?」
俺の発言でシャーロさんはため息をつく。
「破滅ね……。破滅ならまだ生温いほうだよ……」
破滅が生温い……? それ以上に酷いのか……。
「レイの言っていることはあながち間違っていない……。でも……これしか答えられない……」
「わかりました……」
「ほら、オレの言ったとおり同じになったろう?」
元凶というだけで十分な収穫だ。
グリュムは何かしらで復活してまた世界を破滅をもたらそうとする。
今は魔王を倒すことを目的としている帝国と繋がり、利用している可能性がある。
それで世界の滅亡を企んでいるかもしれない。
あくまで俺の考えだ。もし、そうだとしても、なんのために世界を滅亡させる?
この世界に恨みでもあるのか? 考えれば考えるほど、わからない……。
じゃあ……エフィナは……?
わからなくなってきた……思うような考えではない……それだとエフィナの存在が……。
ダメだ……一から考え直しだ……。
「レイ……あなたには関係ない……。私たちの問題……。だからじっとして待ってね……」
「私たちの協力は必要ないのですか?」
「魔剣もダメ……。領地でのんびり暮らして……女神の命令だから……」
よほど、俺たちを関わらせたくないのか……。
そこまで言うのならおとなしく待つ。
「もし、問題が解決したら話してくれますか?」
「うん……約束する……」
真実は終わってからじゃないとダメか。
それまで気長に待つとするか。
「わかりました。では戻ります」
「レイ……戻る前に――」
すると、シャーロさんが俺に抱きついて、大粒の涙を流す……。
「エフィナちゃん……大丈夫……。エフィナちゃんは強い子……絶対に大丈夫……ゆっくり休んでね……」
心配しないはずがない……。
もしかして関わらせたくないのは俺が無駄に力を使わせたくないのかもしれない。
そうすればエフィナは意識が確実に戻る可能性はある。
俺だけの身体ではない……。エフィナの命を繋ぐためにできるかぎり力を使わない。




