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492話 黒幕について①


 屋敷を出ると、空高く小人を持ち上げて飛んでいるセレネを見た。

 仲がよろしいことで……。それにしても高すぎだろう……。

 もう少し低く飛んでくれ……。

 あっ、ソアレも空高く飛んでいき、持ち上げていた子はナゴミだった。


 病み上がりでなのに大丈夫なのか……?

 エメロッテに確認すると――。


「気絶していただけだから大丈夫だよ~」


 エメロッテが言うのなら大丈夫か。

 禁忌野郎が何もしてこなかったのが奇跡に近い。

 まあ、奴も切羽詰まっていたからだとは思うが、次はない。


 次来たら本当にケリをつけないといけない……。



 双子の確認ができたことだし、屋敷に戻り、アンバーを書斎に呼ぶ。


「こんな堅苦しいところに呼んでどうした? いつもどおりお茶を飲んで話さないのか?」


「アンバー、「グリュム」って知っているか? 禁忌野郎の言葉から出た」


 俺の発言で真顔になる。

 やっぱり知っているな。


「知っているなら話してくれ」


「すまんがレイ、オレの口から話すことはできない。女神との約束をしている」


「じゃあ、話さないなら、女神に聞く」


「言っても曖昧な返答だぞ。これだけは言っておく――盟友たちが関わるような相手ではない。ここからはオレたちの問題になる。なんとかするから終わるまで待ってくれないか?」


「もし、そいつが領地を襲撃してもか?」


「その前に絶対止める。だからおとなしく待ってくれ」


 情報が聞けなかった。

 これ以上しつこく聞いても同じ返答だからやめる。


「わかった。じゃあ、女神に聞く」


「オレの話を聞かなかったか?」


「ダメもとで聞くだけだ。悪いが、アンバーだけでは納得いかない」


「はぁ~、しょうがない……。オレもついてに行く……レイだけだと心配だからな」


 深くため息をついて、呆れていた。

 別に聞くだけだから心配もなにもないのだが。


 屋敷を出て、女神像がある神社に移動する――。


 鳥居をくぐると、先客がいました……社殿に設置した女神像前で呆然と立っている肌艶が良いアマーニだ……。

 もう嫌な予感しかない……。


 すると、アマーニは俺たちに気づいて駆け足で寄ってきた。


「賢者レイ様! どういうことですか!? なぜ、ミスティーナ様の容姿が違うのではありませんか!? もっと美しい容姿ですよ! ミスティーナ様に失礼です! 作り直してください! そして珍妙な建物に女神様の像が置いているなんておかしいです! なぜ教会を建てないのですか!?」


 面倒くさい……。これが本来の姿なのに……。

 このタイミングはやめてくれ……。

  

「落ち着け、たかが――」


「たかがですって!? 司教代表として言います! この崇拝の仕方は間違っています! 司教権限で今すぐ立て直して教会と本来の姿であるミスティーナ様を像を設置させます!」


 アンバーが仲裁に入ろうとしたが、一方的に言われる。


「コイツ……面倒くさい……」


 本音がだだ洩れですよ……。

 昨日といい暴走しすぎだ……。これでは間違った信仰ではないか……。


 しょうがない、今日も最終手段を使うしかない。


 遊んでいるところ申し訳ないが双子とアイシスを来るように念話で言う。


 おっ来たか、すると、双子が鳥居のところで降りて一礼して入る。

 礼儀正しいですな。


「ちょうどいい、では女神様を知っている天使に聞きます。違うなら認めてすべて直します」


「いいでしょう。当然、守護天使様は絶対に違うと言います」


 いつから守護天使になった? もう聞くと面倒だからいいや。

 双子はアマーニに気づくと、魔王にしがみつく。 


「「こ、こわい……」」


「ああ……守護天使様……いつ見ても美しい……」


「ソアレ、セレネよ、よい子だからこやつを見てはいけないぞ……」


「「うん……」」


 拝んでいるアマーニが危ないと思ったのかアンバーは双子を後ろを振り向かせて見えないようさせる。

 うん、良い判断です。


 さて、本題に入るか――。

 

「ソアレ、セレネ、社殿に祀っている像は誰だかわかるか?」


「「ティーナ様! ソシア様! シャーロ様! ライカちゃん!」」


 笑顔で答えてくれました。

 まさか、いつの間にか設置されていたライカ像まで言うとは……。いや俺の言い方が悪かっただけだ。


 噓偽りない返答でアマーニはキョトンと立っている。

 数分が経つと、我に返り身体を震えさせ――。


「そ、そそそ……そんなことは、あ、ありません……。守護天使様……この像はミスティーナ様のそのものではあ、ありませんよね……」


「「ティーナ様だよ……」」


「あ、ありえません……。そ、そうです……何かの間違いです……」


 まだ現実を受け止めないのか。

 しょうがない、アイシスも来てくれたことだし、現実を見させよう――。


「これは紛れもなく女神ミスティーナ様です」


「どうしてです……? 昨日のミスティーナ様を見てわからないのですか……?」


「それは今の姿です。では女神様は幼い頃、今と同じ姿をしていると思いますか?」


 アイシスの発言でアマーニは口を大きく開けたままだった。


「察したとおり、この祀ってある女神像は幼い頃の姿です。昨日わかったと思いますが、賢者は深い繋がりがあります。そう、幼い頃の女神様と会っています。もう、おわかりいただけたでしょうか? アマーニ様、もし、この像を否定するのであれば女神様の幼い姿を否定――」


「イヤァァァァ!? それ以上言わないでください! ミスティーナ様、どうかお許しください! 私はいつも忠実な信徒でございます!」


 膝をついて泣きながら頭を下げた……。

 おお、効果覿面ですね。


「ちなみにですが、この建物は女神様がとても気に入っていた――」


「ごめんなさい!? もう二度と珍妙とは言いません! お許しを――」


 耐えられなくなったのか、勢いよく逃げて神社を去ってしまう。

 ちょっとやりすぎた感があるが、これくらい言わないと懲りずに難癖してくるだろうしな。


 これで面倒な人がいなくなって、安心して拝むことができる。

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