489話 治癒龍の魔剣の準備
この回はエメロッテ視点になります。
主ちゃんとティーナちゃんが出ていった頃、私たちは準備をしていた。
子どもたちは危ないから先王ちゃんと大妃ちゃんのところに避難させ、アンバーちゃん、グランドマスターちゃんにお願いして戦う人を集会場に集めた。
そのとき、主ちゃんから念話がきた――。
お互い情報を交換してすぐに話が終わった。
「おいおい、竜人の姉ちゃん、見張りまで呼んで大丈夫なのか……? 強いとはいえ、レイ、セイクリッド、モリオン、ロード、マイヤ、ナゴミだけを行かせるのはちょっと無謀な気がする……」
「ヴェンゲルよ、エメロッテに考えがある。少し待て」
主ちゃんの情報では禁忌のから生み出されたスケルトンは普通の武器や魔法は通用しないと言っていた。
【結晶】、【光】、【浄化】でしか倒すことができない。もう準備はできているけど、もう1人来ていない……。
「フフフフフフ……大変お待たせいたしました……」
ようやく、メアちゃんがソウタちゃんを迎えに戻ってきた。
だけど、もう1人いる……なんで司祭ちゃんも呼ぶの……?
「メアちゃん、関係ない人を呼ばないで」
「フフフフフフ……どうしても司祭さんは行きたいと言って止めることができませんでした……」
「あ、あの、無理を承知の上でわかっています! 私は聖騎士様の役に立ちたいのです! 私は回復魔法を使えます! どうかお願いします!
頭を下げながらアマーニちゃんは言う。
いまさら、戻ってとは言えないわね……。
「しょうがないわね……。許可するからあなたはここで待機して、怪我人が出たら治療をお願い」
「あ、ありがとうございます!」
「よかったな、アマーニ、一緒に頑張ろうな」
「はい、聖騎士様!」
スケベちゃんとアマーニちゃんはみんなの前でイチャイチャし始める。
「テメェ……そんな余裕があるのか……」
「あらお兄さん、私が近くにいるのに大胆なことをするわね……」
「お兄さん、終わったらお仕置きね」
「ソータのバカ……」
「主のバカ……」
「ソウタ様のバカ……」
「そんなに女神ミスティーナ信仰の司祭がいいのね……」
「まったく……大バカ者め……」
「「「精霊使い……」」」
みんな冷たい視線を送っているけど、気づいていない。
こんなときに自分らの世界に入れないで。
「それ以上はダメよ、みんな準備はいい? これから戦う相手は異常よ、普通では切れないから今から魔法で対向させるようにするわ。みんな、武器を取り出して――ルチルちゃんお願い」
少し予定が狂ったけど、問題はないわ。
終わった後はスケベちゃんが大変なことになるだけ。
ルチルちゃんは結晶魔法を使う――。
「――――クリスタルエンチャント!」
取り出した子の武器は輝きを放ち――結晶を付与した。
これで禁忌の生み出した物と戦える。
「武器が壊れたら絶対に撤退して、光魔法が使える子は援護をお願い、使えない子は後ろで待機いいわね?」
「だそうだ、魔王軍は王国騎士と連携を取り、撃退しろ!」
「俺たちは魔王軍と王国騎士の邪魔にならないように暴れろよ!」
「「「――――オオオォォォ!」」」
私とアンバーちゃん、グランドマスターちゃんが言うと、みんな雄叫びを上げて答え、行動を開始した――。
「じゃあ、アタシは先に行くね!」
「儂も行ってくるぞ!」
ルチルちゃんとライカちゃんも行った。
この2人が前線に出ればもう心配はいらない。
「アタイたちはお留守番か」
「仕方がありません、私たちが残らないと領地内を守れませんから」
「フフフ……ワタクシ前では足手まといになりますので……。今回はおとなしくしていますこと……」
「私はマナの大樹を見てくるね」
ほかの子は待機するようにお願いした。
領地は安全だけど、禁忌の愚か者が何かしてくる可能性は十分にある。
用心深くしないといけない。
私は【魔力感知】で周囲を把握する――。
うん、みんな順調に戦っていて、敵がどんどん数が減っている。
この調子なら無事に終わりそう。
だが、主ちゃんのところから嫌で不吉な声が聞えた。
ここまで届くのはどういうことなの……?
みんなも聞こえて一瞬だけ固まった。
そして、大きなスケルトンが十数体、現れて領地を囲んでいる。
さすがにみんなで対処できそうにないわ……。
「あのデカブツを呼んでバカがさらにバカにならないのか? しょうがない、オレも行くとするか」
「久しぶりに俺も大暴れするか。竜人の姉ちゃん、移動頼むわ」
やっぱり倒せる人がかぎられるから、アンバーちゃんとグランドマスターちゃんは動くよね。
私もその1人だけど。
「任せて――――ゲート!」
空間魔法を使い、私たちは大きなスケルトンの近くに移動する――。




