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488話 司祭の暴走


「『マイヤ、双子の天使が司祭から狙われて危ない、助けてくれないか?』」


「『わかった……どうすればいいの……?』」


 よし、話を聞いてくれた。

 天使と仲良くしていたマイヤなら助けてくれるか。


 マイヤにやることを言い――承諾して行動を開始する。


「さあ……私に神託を……」


 アマーニがしつこく追い詰めていた、そのときだった――領外から大きな光の柱が現れる。


「あ、あああああああの光は……ミスティーナ様!?」


 光の柱に気づいたアマーニは、双子を後にして走っていく。

 よし、ティーナさんと思い込んでいる。

 まさか光だけでわかってしまうとは、この人恐ろしい……。


 アマーニを追いかけたいが、疲れていて無理だ……。


「「救世主様!」」


 再び双子が俺を抱えて飛んでくれる。


「ありがとう……」


「「どういたしまして!」」


 これでアマーニを追うことができる。

 あっ、気になったみんなもついて来ている……。

 まあ、いいか。


「ああああああああ! やっぱりミスティーナ様だったのですね!」


 ティーナさんに【擬態】したマイヤが光魔法(ライト)を使って、自分を照らして輝きを放っているようにしている。

 演出に凝っていますね……。これはメアから教わったと思う。

 しかし……胸を盛りすぎではないのか……?

 アマーニが涙を流して拝んでティーナさんと認識しているならいいか。


「ミスティーナ様……ああ……いつ見ても美しい……」


「フフフ……それはどうも。あの子たちはどこかしら?」


「「ティーナ様、ここです!」」


 双子は大きな声で返事をする。

 まさか合わせてくれるとは意外だ。


 まあ、念話は全員に聞こえるようにしていたから、空気を読んでくれたか。


「元気で良いですね……。2人とも地上の生活には慣れましたか?」


「「はい!」」


「ミスティーナ様! このお方――使者様はミスティーナ様の神託をくだすために地上に降りたのですね!」


「アマーニ、それは違います。この双子の天使は地上を知るために降ろしました」


「地上を知るために……? それはなぜですか……?」


「この子たちはまだ幼いのです。地上での生活を学べば成長すると判断しました。そう……この子たちのために……」


「そうなのですね!? ああ……私は使者様と思い違いをしてしまって……申し訳ございません……」


「フフフ、わかればいいのです。過ちは誰にでもあります」


 順調に話がまとまってきているこのまま――。


「ああ……ありがとうございます……。ですが……天使様は、なぜ私たち――信徒に預けてくれないのですか……? よろしければ私たちにお預けすることはできないでしょうか……?」


 おい、食い下がるな、いい加減、理解してその身を引け……。

 さすがのマイヤも言い訳できない……。


「『マイヤ、私に振ってください。なんとかしますので』」


「『わかった……頼んだ……』」


 良いタイミングで念話でアイシスが言う。

 相変わらずさすがです。


「私より、賢者の弟子――アイシスに聞いたほうが早いです。お願いしますね」


「僭越ながら私から説明いたします――この双子の天使は私の師である賢者様が預かっていました。ミスティーナ様が信頼できるお方と認識しており、賢者様も喜んで引き受けたと言っていました。賢者様は女神様と1番深い繋がりがありますので――仮に信徒に預けていれば、隔離されると思い、双子は成長の妨げになるとわかっていたのです。ミスティーナ様は双子に美しい世界を見てもらうために自然と共に暮らしている賢者様を選んだのです」


 その発言でアマーニが青ざめる。うん、預かったら絶対に隔離するな。

 アイシス、よく言い回すことができましたね……。


「アマーニ……わかってくれますでしょうか……?」


「はい……十分に理解できました……」


「今は賢者がいない代わりに息子であるレイ・アマガセに頼みました。司教――アマーニ、あなたのやることはこの子を縛ることではありません。わかっていますね?」


「はい、私の役目は信仰を広めて皆を平和にさせることです!」


「そうです。今も変わらずその意思を続けてください。では――」


 そう言ってマイヤは「ゲート」を使ってこの場を離れた。

 ふぅ……一時はどうなるかと思ったが、なんとか暴走を止めた。


「ということです。わかってくれましたか?」


「はい……十分と……情報を整理したいので泊まってもよろしいでしょうか……?」


 まあ、夜中だし、いろいろと刺激を受けたから仕方がない。

 今日は泊めておくか。

 それはいいが、この場にいたみんなにも言い訳しないとな……。

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