487話 黒幕
やっと双子は泣き止み、落ち着きを取り戻した。
「グリュム」っていう存在はどのくらい恐ろしいかわからないが、禁忌野郎に教えた元凶――黒幕かもしれない。
じゃあ、帝王と何かしら関係があるのか? 恐ろしい存在と繋がっていれば女神たちがすぐ把握できるはずだ。
まだ憶測ではあるが、ズイール大陸のどこかに隠れているのかもしれない。
まあ、禁忌の黒幕なら絶対に倒さないといけないのは確か……だ……。
「「救世主様!?」」
さすがに魔力を使い過ぎたか、力が抜けて倒れてしまった……。
まだ意識はあるから、マシのほうだ。
「まいったな……「ゲート」で領地に戻れない……」
「「私が運びます!」」
「いいのか……? じゃあ、無理のない範囲で頼むよ……」
「「はい!」」
双子は気持ちよく返事をして片方の腕を背負って翼を広げて飛んでいく。
すると、ステータスが浮ぶ――。
【名前】ソアレ
【性別】女 【種族】魔剣(天使)
【称号】双光の魔剣 レイの魔剣 女神に仕える天使
【加護】双光剣の加護 ミスティーナの加護
ソシアの加護 シャーロの加護
【スキル】武器創造・光 断罪 魔力解放
豪力 身体強化 魔力制御 第六感
魔力変換 混合魔法 情報共有
器用 人化 アイテムボックス 浄化
無詠唱 掃除人 隠蔽 隠密
【魔法】光魔法 火魔法 水魔法 風魔法
空間魔法 回復魔法
【名前】セレネ
【性別】女 【種族】魔剣(天使)
【称号】双光の魔剣 レイの魔剣 女神に仕える天使
【加護】双光剣の加護 ミスティーナの加護
ソシアの加護 シャーロの加護
【スキル】武器創造・光 断罪 魔力解放
豪力 身体強化 魔力制御 第六感
魔力変換 混合魔法 情報共有
器用 人化 アイテムボックス 浄化
無詠唱 掃除人 隠蔽 隠密
【魔法】光魔法 氷魔法 雷魔法 闇魔法
時魔法 回復魔法
…………強すぎます……。ティーナさんの言ってたとおりですね……。
【豪力】を使えるのか……見かけによりませんな……。
あとは庭園の整備をしているから【掃除人】は覚えているのか。
スキルは同じだが、意外に魔法は光以外違う――双子といえど、適正は違うみたいだ。
「「救世主様! 見えてきました!」」
そう考えていると領地に戻ってきた。
さて、ここからが問題だ。とりあえずアイシスに念話をして――。
「『主ちゃん、言い忘れたけど~。ソアレちゃんとセレネちゃんを隠したほうがいいよ~』」
「『なんでだ? もうすぐ集会場の方に――』」
下の方で勢いよく猛ダッシュして集会場来たのは……。
「ああ……なんという神々しさ……。まさかミスティーナ様の使者様にお会いできるとは……」
アマーニが双子を見て拝んでいる…………なんで司祭がいるんだ!?
「『見つけちゃったみたいね……。ソウタちゃんを緊急事態だから呼んだのだけど……一緒に来てしまったのよ……。頑張って言い訳してね……』」
そういうことかよ……。このタイミングで一番言い訳が面倒な人がいるのはやめてほしい……。
あっ、アイシスも駆け寄って来る。よし、これならごまかすことができる。
俺たちが降りると鼻息を荒く興奮して近寄ってくる。
「「こ、こわい……」」
双子は俺の後ろに隠れる。
やっぱり知らない人だとダメみたいだ。
というか興奮しながらだから余計か……。
「賢者レイ様……使者様とはどういう関係ですか……?」
「それは……」
「私が説明いたします――」
「どうして私に教えてくれないのですか!? 使者様と一緒にいるのでしたら早く言ってください!」
アイシスを無視して俺に顔を近づけて言う……。
本当に面倒くさい……。双子も困惑しているぞ……。
「わ~い、双子ちゃんだぁ~!」
双子に気づいたルチルも駆け寄ってきた。
「「あっ、ルチルちゃんだ!」」
双子はルチルに気づいて喜びながら翼を広げて飛んで近寄る。
「使者様、どこへ行くのです!?」
当然、アマーニには双子を追う。
「わ~い! また会った!」
「「これから一緒に住むことになったからよろしくね!」」
「一緒に暮らすの!? やった~!」
ん? 事前にわかっていると思うが、ワザと演技しているのか?
「使者様……どうして私を無視するのです……。私はミスティーナ様の信徒ですよ……なぜです……」
「「こわい……」」
ああ、双子が答えないと終わらないようだ……。
「コラ! 双子ちゃんが嫌がっているでしょ! 少し離れて!」
「私は使者様にミスティーナ様の神託を聞きたいだけです!」
「わけがわからない! 双子ちゃんはこの世界を楽しむために来たんだぞ! 女神関係ない!」
「そ、そんなはずは……。使者様……本当なのですか……?」
アマーニの問いにゆっくりと頷く。
ようやくわかったか。
ルチルが怒らなければもっと面倒くさいことになっていた。
「いえ……そんなはずは……あなた方は使者様のはず……。そうです使者様なのです……」
おい、そこは素直に認めろ……。
なぜか歪んでいるのは気のせいか……?
「さあ……使者様……神託をください……」
ダメだ、暴走している……。
しょうがない、最終手段を使うしかないか――。




