485話 双光の魔剣
とりあえず地面において確かめる。
魔剣は輝き始め――姿が変わる。
…………天界で会っている双子じゃないか……。
満面な笑みで俺を見ています……。
「なんであなたたちが魔剣になっているのよ!?」
ティーナさんの仕業ではないのか?
「「シャーロ様に救世主様を助けてって言われて来ました!」」
ん? なんでシャーロさんが?
「はぁ……シャーロ、余計なことするんじゃないわよ……」
「シャーロ様はティーナ様の力だけだと、救世主様は一年以上は昏睡するって言ってました!」
「私たちを呼ぶことで救世主様の負担が軽減すると言っていました!」
えぇ……今回、そんなにやばかったのか……。
いや、魔剣を2本創るから予想以上の負荷があったのかもしれない。
天界と現界の時間が違うから双子に説得して頼んだみたいだ。
「ティーナちゃん……話が違うよ……。全力で主ちゃんを助けるって言ったよね……?」
エメロッテが真顔になって【龍圧】を使い、ティーナさんを睨みつける。
「ひぃ!? やめて!? 私だって予想できないもの! 【龍圧】だけはやめて!」
当然だが、震えが止まらなかった。
「まあ、結果として俺は無事だから大目に見てくれ……」
「主ちゃんが言うのだったらやめるよ~」
俺の言うことを聞いてくれて【龍圧】止める。いつものように切り替えてくれて助かります。
まあ、半分俺が悪いが……。
それにしても双子は、あれだけ強力な【龍圧】に怯えることなく笑顔のままだった。
「なんともないのか?」
「「平気です!」」
マジか……。
「この子たちは見た目は小さいけど、とても強いわよ……。もし戦ったらソシアとシャーロと一緒じゃないと止められないわ……」
そんなに強いのか!?
どうしてシャーロさんが送ったのかわかりました……。
魔剣が強力なのも納得です……。
「「救世主様! 名前をください!」」
「え? 名前なんてないのか?」
「言っとくけど、私たちが暮らしている天使の半数は名前なんてないわよ。双子もその中にいるわ」
そういえばティーナさんが名で呼んでいなかったな。
「なんで女神様が名前を付けないのですか?」
「難しい話ね。人みたいに勝手に名前を付けるわけではないわ。この子たちを尊重して付けなかったって解釈して」
まあ、あっち側の事情があるならしょうがないか。
いつもものことだし問題はない。だが――。
「本当にいいのか? ティーナさん、この子がいないと不便ではないのですか?」
「もちろんよ! 庭の手入れ、家の掃除とかしてくれるからこの子がいないと大不便よ!」
完全に召使いですな……。
「シャーロ様からこの世界を楽しんで行ってと言ってくれました。戻る気はありません!」
「あと、ソシア様からここで学ぶことがいっぱいあるから、私たちが成長できると言ってくれました。戻る気はありません!」
「はぁ~、シャーロ……ソシア……なんで勝手に決めるの……。仕方がないわね……この子たちの代わりにほかの天使にお願いするわ……。私も許可するわよ……」
「「ありがとうございます!」」
なんだかんだティーナさんも許可をもらった。
というか、せめて家の掃除くらいは自分でしてください……。
「姉と妹はどっちなんだ?」
「私が姉です!」
「私が妹です!」
「じゃあ、君たちの名前――姉はソアレと妹がセレネだ。これからよろしく」
「わ~い、今日から私はソアレだぁ~!」
「わ~い、今日から私はセレネだぁ~!」
双子は翼を広げて飛んで喜んでいる。
気に入ってなによりです。
左手で使っていた魔剣――ポニーテールで発育がよろしいのがソアレで、
右手で使っていた魔剣――ツインテールで下半身がムチっとしてしるのがセレネだ。
さて、次に問題なのが、みんなにどう説明すればいいだろう……。
翼を隠すことはできないし、見た目はごまかしようがない……。
いろいろ設定を考えて双子が現れたとごまかすしかないか。




