484話 禁忌を使う者⑤
「力ですか? 禁忌を倒す力ですか?」
「そうよ! こんな奴に私たちの世界を汚されてたまるもんですか! 女神権限により特別に力を与えるわよ! その力で魔剣を創りなさい!」
あの禁忌野郎はこの世を害す存在と判断したか。
なら、その力で禁忌を切る魔剣を全力で創る。
「ナにヒトりゴとを言っテいル!」
「よそ見している余裕あるの? ――――クリスタルブレス!」
エメロッテは龍と結晶の【混合魔法】を使い――結晶を吐き、禁忌野郎を狙うが、再びドラゴンゾンビが前に出て、口から黒い靄のブレスを吐く。
だが、ドラゴンゾンビは押し負けて直撃し、結晶化になって動きが鈍っていた。
結晶魔法なんて覚えていなかったはず。まさか急遽【魔力変化】を使って覚えたか。
「ワたシノ最高けッサクがァ!? ふザケるなァァァァ! ――――クワァァァァ」
禁忌野郎は再び発狂をして、今度は2体のドラゴンゾンビと数百体のスケルトンを現れる。
「私でもさすがにもたないわ……。ティーナちゃん早くして!」
「わかっているわよ! あの奇声、本当に気が散って嫌になるわ。レイ、準備はいい?」
「はい、お願いします」
「レイ・アマガセよ、女神権限により諸悪する者の排除を命令する!」
ティーナさんは両手で俺の手を握りしめると、温かな光が身体中に流れる。
魔力もほとんど回復してスキル――【断罪】を覚えた。
「さぁ、今度はあなたの力を見せてちょうだい!」
全身光輝いて軽い、これなら負荷がある魔剣を創っても大丈夫だ。
俺はこの力で使い創造をする――。
禁忌を消滅させる魔剣を――。
一刀では足りない、それなら二刀創ればいい――。
俺は両手から光の球体を出して再び創造をする――。
属性はもちろん光だ! 禁忌を消滅させる双子の魔剣だ――。
すると、光の球体はさらに輝きを増し、頭に魔剣が浮ぶ――。
なぜだろうか、この魔剣を知っている感じがする……。
それに創造しやすい。
今はそんなのはどうでもいい――。
「来い、――――双光の魔剣!」
光に包まれ、輝きが収まると、両手には天使の翼の形をした鍔に、黄金色をした刃の魔剣を持っていた。
頭には光魔法上級の獲得が浮ぶ。
これで十分に戦うことができる。
すると、ドラゴンゾンビとスケルトンが後退りして怯えている。
そうか、怯えるほど危険な魔剣と認識しているのか。
怯えている暇なんてないぞ。
「エメロッテ、下がってくれ、特大の魔法がいくぞ――」
「わかったすぐ戻る」
エメロッテは急いで俺たちの元に戻る。
光魔法で一掃してやる――。
「――――ジャッジメント!」
「「「――――ギャァァァァ!?」」」
相手は頭上に極大な光――裁きの光が降り下り、飲み込まれていく。
光が消えると、禁忌野郎以外はボロボロと塵のように消え去る。
「なんダコのヒカりハ!? いタイ、いタイ、いタイ!?」
禁忌野郎は骨にヒビが割れて、あまりの痛さに地面に倒れてもがいていた。
痛いに決まっている。【断罪】スキルでこれまでやってきた行い――罰を与えいるのだからな。
「覚悟はできているか……?」
「ふザケるなァァァァ! イイ気にナるなヨ! ――――クワァァァァ」
奇声をあげドラゴンゾンビを呼ぼうとするが、何も反応はない。
「なゼだ!? なゼ、最高けッサクが来ナい!?」
ここ周辺はもう裁きの光で【浄化】されている。
もう禁忌は使えない。
「ク、クるナ!?」
逃がすわけないだろ……。
光魔法を使う――。
「――――ホーリーチェーン!」
地面から4本の聖なる鎖を出し――手足を巻きつけ拘束する。
「イダい!? ハナせ!」
「――――ホーリーランス!」
「――――グギャァァァァ!?」
再び光魔法で聖なる槍を放ち、腹部に突き刺さる。
まだ終わりではない……。腕を切って、次に足だ……そのあとは――。
俺が冷血なことを考えていると2刀の魔剣がブルブルと震えていた。
ああ、完全に感情がむき出しになっていたか。
「ごめんよ、すぐに終わらせる――」
この双子に免じて禁忌野郎は一瞬の痛みだけにする。
だが、地獄でも宇宙の塵でも――どこに行っても、【断罪】で痛みを一生残るようにする。
「――――ヤ、やメロォォォォ!」
禁忌野郎に近づき、二刀振るう――。
「――――光翼刃!」
「――――ギエェェェェ!?」
禁忌野郎は全身を切りつけられ、あまりの痛さに発狂して、塵になり消滅した。
ふぅ……本当に終わった……。
これでみんなの仇が取れた……。落ち着いて平和に暮らせる……。
「レイ、やったわね!」
「お疲れ~主ちゃん」
ティーナさんとエメロッテが駆け寄ってくる。
さて、みんなに報告しないとな。
その前に――。
「無事に終わったから、【人化】してくれ」
『『はい、救世主様!』』
ちょっと待て、この声……双子の天使じゃないか……。
なんで魔剣になった……?




