480話 禁忌を使う者①
雑魚を切り続けて禁忌野郎を探すがどこにも見当たらない。
【魔力感知】しても雑魚しか反応がない。
近くにいるはずだが、どこに隠れている?
「本当におかしいわよ……。この世あってはならない魔法を多く使ってもなんともならないの……?」
エフィナは使い続けると朽ち果てるか廃人になるかと言っていたが、奴には関係ない。
なんらかの手を使って大丈夫かもしれない。
「ひぃ!? 今度は大きいのがいるわよ!?」
地面から出てきたのは全長5mのあるスケルトンが数体が現れる。
所詮、図体をデカくしただけだ。結晶魔法を使う――。
「――クリスタルバレット!」
結晶の弾丸が頭部に直撃し、怯んでいるうちに切りかかり消滅する。
結晶の魔剣と水の魔剣があるかぎり苦戦はしない。
しかし、さらに大型なスケルトンが増え続けている。
早く禁忌野郎を見つけないと――。
「『主ちゃん、準備が整ったわ。禁忌に対抗できる子を行かせたから安心して』」
エメロッテから念話がきた。
「『助かる。子どもたちの避難は?』」
「『アイシスちゃんとライカちゃんがゲートを使って島に移動させたから安心して』」
そこまで終わったのか、さすがだ。
「『わかった、これで安心して戦える』」
「『主ちゃん、禁忌の愚か者が近くにいるから気をつけて』」
「『近くにいるのか?』」
「『そうだよ、龍魔法で確認したら見つけたよ。主ちゃんも確認して』」
なるほど、だったら龍魔法を使う――。
「――――ドラゴンサーチ!」
地面に手を当て、魔力の糸が周りに広がる。
すると、大木の後ろ――地面の下に反応があった。
いた……コイツで間違いない……。
隠れているとはいいご身分だな……。
再び結晶魔法を使う――。
「――――クリスタルクラスター!」
尖った複数の柱状の結晶は反応がある地面を突き破ると――禍々しい黒い靄が飛んで躱す。
そして俺の前に変化する。
黒いロープを着た顔が腐敗している男の姿になった。
ようやく、出たな禁忌野郎……。
「なのよアイツ……アンデッドでもなんでもないわ…。この世に絶対存在してはいけない得体の知れない者よ……」
ティーナさんは顔が真っ青になり硬直する。
そんなのはどうでもいい……倒すだけだ……。
「ククク……私の位置を正確に把握しているとは、あなたはいったい何者ですか?」
「黙れ――――刹那……」
俺は禁忌野郎の背後に近づき、結晶の魔剣で首を切る。
いとも簡単に切りことができ、地面に首が落ちてあっけなく終わった。
しゃべる余裕があるとはなめすぎだ――。
「おやおや、あなたも皆さんと同じでせっかちですね……」
禁忌野郎は再び黒い靄になり、後ろに下がって、また人の姿に、首は元通りになった。
「ククク……変った剣を使ってますが、無駄ですよ……私に通用――」
「――――羅刹……」
「――――ギャァァァァ!?」
すぐさま、近づき胴体に切りかかるが躱されて切り込みしか入れなかった。
チィ、水の魔剣に感づいたか……。
そのまま真っ二つされれば楽になったものの……。
「なんだ……もう片方の剣は……私に傷をつけただと……。私は神に近い身体を手に入れたのに……」
「何が神だ……? 剣で切られて悲鳴をあげているただの哀れな愚か者にしか見えない……」
「なんと不愉快な……。セイレーンとリヴァイアサンを迎えに行こうとしても中には入れない……。私の最高傑作が1人の人間によってめちゃくちゃにされる……。私の計画が台無しではないか……」
「黙れ愚か者――――アクアマリン……」
「――――ギャァァァァ!? し、身体がぁぁぁ――」
俺は水と結晶の【混合魔法】を使い――水色の結晶の塊を落とすと、周囲は霧雨が発生し、禁忌野郎の身体は煙が出て【浄化】されていく。
チィ、思ったよりしぶとい……。
スケルトンなら一瞬で消滅するがコイツはダメか……。
まあ、いい……このまま切られて――。
「――――ふ、ふざけるなぁぁぁ!」
俺が近づくと、後ろに振り向いて黒い靄になって逃げ去る。
なんだ、弱点があるとただの小物でしかない。
逃がすわけないだろ――。




