479話 禁忌の集団
エメロッテにみんなに指示させるように頼み、俺とティーナさんは空間魔法を使い、敵の手前――平地に移動する。
敵は黒い靄を纏った剣と盾を持った全身黒色のスケルトンだった。
禁忌野郎はどこだ? スケルトンだけで大きな反応がない。
絶対どこかいるはずだ。しらみつぶしか……。
「なんなのよこれ……あり得ないわ……」
ティーナさんは震えが止まらなかった。
そして身体が半透明になっていた。
あまりの恐怖で意思が保てなく、現界できる状態ではなくなったか。
「無理しないでください。もう限界でしたら天界に戻ってください」
「だ、大丈夫よ、これくらい! 嫌でも引き返さないわ!」
そう言うと、我慢して元の状態になって、震えを止めた。
ティーナさんも許せないのはわかる。
だが、無理してついてくる必要はあるのか疑問である。
それよりも、あの雑魚を倒して少しは落ち着かせよう。
所詮、黒い靄を纏っただけの雑魚だ。
結晶と風の【混合魔法】使う――。
「――――クリスタルサイクロン!」
結晶が入った暴風を巻き起こし、周囲の敵を飲み込んでいく――。
そして、結晶の粒に削られて、跡形もなくなる。
暴風が止むと、敵はいなく、掃除は完了した。
ここにいないなら別の場所に移動だ。
そのときだった、地面から禍々しい反応――黒い靄が発生して、スケルトンの姿に変わっていく。
量産できるのか……。それも最初にいた数より多い。
すると、1体のスケルトンが俺に向かってくる。
はやい、すかさず【武器創造】で黄金に輝く金剛の剣で防ぐ。
コイツ、骨だけなのに力があるぞ……。ミノタウロスほどの威力はある。
俺が剣を素早く振ると、余裕で盾で防いでくる。
しかも何度も防ぐ……なんだコイツは……。
まるで騎士と戦っているみたいだ。
だったら、盾ごと切ればいいだけだ――。
「――――斬破!」
盾ごと真っ二つにし、胴体が崩れていく。
おかしい、手ごたえがなかった……。
切り倒したスケルトンは黒い靄にの姿になり、スケルトン――元の姿に戻る。
普通の剣は効かないのか……。本当に厄介だ。
次々と向かってきて、魔法を発動する余裕がない。
だったら――水の魔剣に持ち替えて切っていく。
軽々と真っ二つにでき、スケルトンは消滅する。
手ごたえは十分にあった。
さすが、【浄化】ができる魔剣だ。
力が弱くなってもマイヤなら余裕で切れる。
向かってくる相手を切り続け、魔法が発動させるタイミングを見計らう。
しかし、切っても増え続けるばかりでキリがない……。
コイツら俺が魔法を発動させないように隙を与えさせないぞ……。
ここまで知能があるのか……。
幸いなことにティーナさんは襲われていないのがまだ救いだ。
相手は見えていないようだ。
このまま増やされたら押されるだけだ。
いったん、後ろに下がり、距離を置いて向かってくる前に魔剣で地面を叩く――。
「――――水流覇!」
前方に激流を出し、スケルトンは流されていき、大半は浄化されて消滅をする。
これで魔法が使える。スケルトンはが発生する前に結晶と光の【混合魔法】を使う――。
「――――レインボークリスタル!」
虹色に輝く結晶を落とし、周囲は光が放たれる。
残りのスケルトンは光に包まれて消滅し、黒い靄は発生しなくなった。
やっぱり、結晶と光魔法は有効である。
そうなると、ルチルとマイヤは前線で十分戦える。
「す、すごいわ! これなら禁忌そのものを倒せるわ!」
さっきまで怯えていたティーナさんは確信したのか、大喜びだ。
しかし、「レインボークリスタル」を解除できない。
元凶である禁忌野郎を倒さないと意味がない。
ここから魔力消費の戦いでもある。早く見つけないと……。
これはルチルに設置をお願いさせたほうがいいな。
指示をしているエメロッテにお願いをして、場所を変えて禁忌野郎を探す――。




