477話 魔剣の弱体化
ティーナさんが唐突に言う。
思い当たる節がある。邪石でパワーアップしたフォレストキングを炎の魔剣だけの力では太刀打ちできないなかった。
【魔力解放】を使って普通に切ることができた。
ただ、魔剣は魔力が増えているのは変わりはない、切れ味が悪くなった感じだ。
「確かに普通に扱えない感じはあります。原因は……エフィナですか?」
「そうよ、魔剣はレイだけと繋がっているように思うけど、エフィナの魔力で創っているから繋がっているのも同然よ」
そうなるか……。じゃあ全員が――いや、ルチルとライカはエフィナの魔力で創っていないから別だ。
ルチルはフォレストキングの根っこを普通に切っていた。
全員がそうではない。
「あれ~、そうなの~? 私はなんともないよ~」
「あなたは規格外なだけよ! レイとエフィナと繋がっていなくても自立できるほどにね! 魔王と一緒よ!」
エメロッテはそんなにチートなのか……。
まあ、治癒させる魔剣だから弱く――切れ味が悪くなっても変わりはない。
「えぇ~、私~、主ちゃんが今世が終わったら、一緒に天界に行きたいのに~。ということは~エフィナちゃんがもし、この世にいなくなったら~ほかの子は――」
「いなくなるなんて言わないで!? 何で不吉なことをヘラヘラと言えるのよ!?」
ティーナさんは激怒する。
考えたくない発言ではあるが、俺も気になるところだ。
「仮の話だよ~。本気にしないで~ティーナちゃんはどう思うの~?」
「わからないわよ……。わかったとしても言いたくない……」
下を向いて涙を流した。わからないと言っているが噓のようだ。
魔剣がかなり危ない状態になるとわかっているかもしれない……。
「泣いてまで思いつめないで~、最悪のことを考えていると思うけど、心配しないで~。私はもうわかっているわ~。エフィナちゃんがいなくなってもみんな消滅はしないよ~。さらに弱くなるだけだと思うよ~」
俺もエメロッテと同じ考えだと思う。
仮にそうだとしてもなってほしくない……。
「それでも……エフィナが……エフィナだけが……」
「まだ消えたわけじゃないよ、主ちゃんの中で寝ているからそんなに心配しないで~。危なかった私が言うから~」
「そうね……。エフィナはまだいるわ……。絶対に消えさせないわ……」
みんな同じ気持ちだ。どんなことがあろうと俺は絶対に元に戻すと誓った。
「だから安心して天界で見守ってね~。ところで~言いに来たのはそれだけ~?」
「あなた、いろいろと言わせておいて、なんなのそれだけって!? はぁ……あなたといると疲れるわ……」
エメロッテのペースで調子が狂わせられてますね……。
俺もちょっと疲れました……。
「だから、それだけなの~?」
「はぁ……それだけではないわ……。魔剣が弱くなっているから下手に強い敵と戦わないでほしい……。今、帝国に行っても何か起こるかわからない不気味な状況だから行かないでほしいのよ……」
なるほど、力が発揮できないから控えろってことか。
禁忌野郎のこともあるし、それは無理な話だ。
でも結晶の魔剣と雷の魔剣なら問題ない。
もちろん、ソシアさんの約束で帝国に攻めに行かない。
「わかりました。できるだけ控えます」
「よろしい、これは女神命令だからしっかり守ってちょうだい」
「~ん? ティーナちゃんの話、みんなに言っても大丈夫じゃない~? みんな気づいているかもしれないし~」
「なに言っているのよ、あなたは!? 魔剣たちを傷つけないためにレイだけに話して内緒にしようとしていたのよ!? あなたは気遣いというものはないの!?」
内緒にしてもそのうちわかるけどな……。
まあ、そこがティーナさんの優しさである。
「気遣いしているならごめんね~。それで~この話が終わったなら天界に戻るの~?」
「勝手に戻る前提で話をしないで!? そんなに私が嫌いなの!?」
かなりティーナさんにはきつい態度を取っている。
エメロッテにしては珍しい。
「違うよ~。ソシアちゃんとシャーロちゃんだけでは大変だから、心配しているのよ~」
「お気遣いどうも。けど、その必要はないわ、レイがどこにも行かないように監視するわ」
…………戻らないかよ!?




