476話 女神の重要な話
ティーナさんが周りに見えなくても今回は屋敷内で朝食を食べるのだが――。
「アイシス、おかわりちょうだい」
ティーナさんも一緒に食べている……。
しかも、シフォンケーキを3ホールぺろりと食べて……。
「あらあら~そんなに食べたら太るよ~。散歩してもカロリー消費できないよ~」
「あなたに言われたくないわよ!? 私より多く食べてよく言えるわね!?」
エメロッテは山盛りのご飯を5杯目です。俺から見たらどっちもどっちだ。
「私はいつもどおりよ~。私は太らないから安心してね~。ティーナちゃんは女神だからぽっちゃり体型になると周りの視線が冷たくなるから心配しているのよ~」
「大きなお世話よ!?」
なぜかティーナさんには皮肉なことを言うな……。
初対面なのに恨みでもあるのか?
ティーナさん、顔を膨らしてまたおかわりするのではありません……。
エメロッテの思うつぼです。
食べ終わると、ティーナさんは腹を抱えて動きづらそうだ。
「少し休憩しましょうか……?」
「いいえ、散歩するわよ!」
なんで、そんなむきになる?
俺の意見を通すことなく、外に出て散歩をする。
周りは俺に気づくと挨拶するが、ティーナさんには反応しなく、本当に見えていないようだ。
ただ、シエルに会うと――目をこすってティーナさんを見る。
「加護持ちは見えるわ。シエル、ほかの人には見えないから内緒にして」
そう言うと頷いた。
やっぱり加護があると見えるようなっているのか。
もし司教――アマーニがここにいたら大興奮して面倒なことが起きていた。
まあ、今後来る予定はないから問題はない。
ひと通り周りを散歩すると――。
「ねぇ、外で話がしたい。誰もいないところでね。できればあなた、なしでお願い」
真剣な表情で言う。
エメロッテなしとは、かなり重要みたいです。
「えぇ~、それはできないよ~。私も聞くと義務はあるよ~」
「ダメったらダメよ、レイと――」
その瞬間、【龍圧】を使う――。
「ひぃ!? やめてちょうだい! わかった、わかったから!」
「わかればいいのよ~」
完全に脅していますね……。
そんなに気になるのか……。
結局、エメロッテも一緒に領外――誰もいない平地に移動する。
「ここなら、大丈夫そうね。レイ、これから話すことはとても大事だからしっかり聞いて」
「わかりました」
「よろしい、まず一つ目は――ソシアが勇者召喚を阻止しているけど、帝国が召喚させようとしている愚か者が強くなったせいか、ギリギリ耐えているところよ。ソシアは慌てて阻止――追加の魔法陣を構築しているわ」
マジか……。帝国も諦めが悪い……。そこまでして勇者を召喚したいのか……。
「まさか強力な邪石をつけて召喚しようとしているのですか……?」
「その可能性は十分あるわ、急に強くなったのはおかしいわ」
やはり邪石があるかぎり安心はできないか。
だったらあの禁忌野郎――元凶を倒せば解決するはずだ。
「ソシアさんは大丈夫ですか?」
「ちょっと無茶をしているけど、休むことができる範囲だから安心して」
それを聞いて安心した。
だったら早く、禁忌野郎を倒して楽をさせたい。
「次に2つ目――メデアコットの占拠争いで帝国側の勢いが増して、反乱している者は一時撤退をしているわ」
噓だろう……情報ではもう占拠できる寸前だったぞ……。
「まさかそれも……」
「邪石よ……」
禁忌野郎がいるかぎり、うまく事を運べない……。
あいつが領地来る前に帝国に行って倒したほうが手っ取り早い……。
「レイ、焦る気持ちはわかるけど、我慢して、まだ様子を見て……ソシアの約束よ……」
「わかりました……」
俺が帝国を責めたら面倒事になるのは間違い。
ここは我慢だ、ソシアさんと約束は守る。
「2つの話を聞いたけど~、別にみんなに話してもいいことだけど~、どうして~?」
確かにエメロッテの言うとおり、ティーナさんが見える相手に聞いても大丈夫な内容だ。
「3つ目が一番大事な話よ、本当はあなたに聞いてほしくはない話よ……」
ティーナさんがいったん、深呼吸をして――。
「レイ、前より魔剣が弱くなっているの気づかない?」




