475話 女神の訪問
アンバーのほうに向くと目を逸らす。
涙目になっているのですが……何か言われたみたいです……。
わかりました……会うなと言った張本人だから怒られましたね……。
「レイ……ここに私が来たのはわかるよね……?」
「はい……。しかし、どうやってここに……?」
「ここは私が信仰が多い大陸よ……。少しインチキなことして、ここに来たわよ……」
力を使ってまで来るとは我慢の限界でしたね……。
申し訳ないです……。
すると、ティーナさんは涙を流して俺に抱きつく――。
「もう……エフィナのバカ……。消えかけるまで無茶して……次やったら承知しないから……」
心配するのは当然だ。あのとき俺がもっと力があればエフィナが無茶しなかった。
後悔しかない……。本当にエフィナを元に戻せられるのか……?
「ティーナちゃん~、辛いのはみんな一緒だから~そろそろ離れてくれない~?」
エメロッテ……ちょっと空気を読んでください……。
ティーナさんがはらわたが煮えくり返るほど、魔力を出しているのですよ……。
「あなた……女神に対して、ちゃん付けとはなによ……。エフィナが創った魔剣でも許さないわよ……」
そっちですか……。
エメロッテはニコニコ笑っているが【龍圧】を使った。
「ひぃ!?」
さすがの女神でも震えが止まらなかった。
そこまでする必要があるのか……?
「そう言われても~。主ちゃんが危なかったのよ~。主ちゃんが不安で不安で止めたのよ~。一番辛いのは主ちゃんだよ~。魔力暴走したらエフィナちゃんは無事では済ませられないよ~。元も子もないから~、たとえ女神でも絶対止めるよ~。主ちゃんの状態がわからないなんて~よく女神をやっているね~」
俺を気を遣って言ったのか。
しかし……女神を煽るような発言は控えてください……。
「わかった……。わかったわよ……離れるから……その【威圧】……やめてくれない……」
「【龍圧】だよ~。わかればいいのよ~」
エメロッテは【龍圧】をやめると、ティーナは鼻息を荒くして床に崩れて落ちていく。
かなり我慢していましたね。
「大丈夫ですか……?」
「へ、平気よ……。この【威圧】……天界なら余裕で耐えられるわよ……。天界では女神の威厳を見せつけてやるわよ……」
まあ、ここに来るのはかなりの力が要りますよね……。
いや、女神がプライド高くてどうする……。そこは寛大な心を――。
「そうなの~? それは楽しみね~」
だから余計にケンカを売るのはやめてください……。
お互い不気味に笑っています……。
「2人とも怖い……」
アンバーはもう限界で震えて涙を流した。
ティーナさんに怒られ、エメロッテのとどめの【龍圧】で耐えきれませよね……。
「覚悟してちょうだい……。レイ、話がしたいわ。外に行きましょう。散歩がしたいわ」
「それはいいのですが、女神が外に出てはマズイのでは……? 勘の鋭い人はわかりますよ……」
「私の姿は加護持ちしか見えないから心配はいらないわ」
それなら問題ないさそうだ。
「わかりました。では外へ――」
「じゃあ、私も行こうかしら~」
「なんで、あなたが来るわけ? 2人きりで話がしたい――」
再び【龍圧】を使った。
「わ、わかったから、やめなさい!」
「うんうん、わかればいいよ~。また主ちゃんを不安にさせるなんて許さないからね~」
エメロッテは過保護ですね……。もう大丈夫なのに……。
というか魔力暴走するほど不安ではなかったぞ。
本当に心配性だな。
「あの……オレも……」
「魔王……まだ私は許していないわよ……。まだ説教が必要のようね……」
「え、遠慮します」
アンバーはダメみたいですな。
俺と女神に気を遣っての判断だから悪気はない……。
それくらいで許してください……。
「その前に~、主ちゃんは朝食を食べてね~」
「はぁ~、この魔剣、マイペース過ぎるわ……。誰かさんと同じでいい性格している……」
ティーナさんの知り合いでエメロッテに似た女神? がいるのか……。ちょっと考えにくいな……。




