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474話 噓も方便


「トリニッチさん、あなたの魅力的な裸を見せびらかすとソウタが悲しみますよ。最近、俺に魅力過ぎて誰にも渡さないと言っていました……」


「えっ、ソウタちゃんが!?」


 俺の発言で急に立ち上がる。

 顔が近い……。けど、しっかり反応したならよし。


「そうです……。愛し合っている仲ではないのですか……? 愛した女性? の身体を誰にも見せたくないはずです……」


「うぅ……ソウタちゃんが……そんなにワタシを……。やだ……ワタシ……やっとソウタちゃんを振り向かせられたのね……」


 膝をついて両手で顔を隠して涙を流す。

 ああ……涙を流すほどですか……。

 噓をついて申し訳ないです……。

 ちょっと確認だけでもしよう。


「最近、ソウタから求めていることはないですか……?」


「そ、そうね……。「もっとくれ、身体が疼いている」と言っているわ……。レイちゃんの言うとおりだわ……」


 それは中二病をこじらせているだけです……。

 まあ、求めている感じではありそうだ。

 

「ですので、ソウタのために自分を大切にしてください……」


「わかったわ、ワタシの軽率な行動でソウタちゃんの関係を失いたくないわ――ちょっと、レイちゃん見ないで~」


 急に顔を赤くして身体を隠す。

 いまさら何を言っている……。

 あっ、身体が輝いて元の姿に戻った。


「いや~、男の身体に戻っても見ないで~」


 意識してしまったのか、入浴場出ていく。

 これで尻追い組は諦めるだろう。



 ――――◇―◇―◇――――


 

 あれから日にちが経つ――。


 尻追い組は――。


「「「勘弁してください!」」」


 ハードな訓練で日に日にやせ細ってしまう。

 さすがに休暇がなしで続けるのは厳しいです。

 まあ、明日でファイスさんは王都に戻るから我慢だ。


 そのファイスさんは――。


「毎日見ても、美しい……」


 相変わらずロードを見てメロメロでした……。

 意外だったのは遠くで見ているだけで消極的だった。


 滞在中、積極的に攻めてものにするにしようと思っていたが、慎重でした。

 尻追い組と違っていろいろと考えているようだ。


 その恋に王様は気になるようでヴェンゲルさんに毎日、報告させ――。


『えぇ~、何も起きなかったの~。もっと積極的にいってよ~』


 残念がっていました……。

 楽しんでいますね……。


 

 ――翌日。



 ファイスさんが王都に戻る日となった。


 集会場で騎士たちは敬礼をして見送る。

 尻追い組は戻る直前までしごかれて身体を震えながら敬礼する。


「皆よ、このバカ者たちをしっかり見張ってくれ」


「「「ハッ!」」」


「良い返事だ。帰る前に――」


 ファイスさんはお茶をしているロードに近づいて敬礼する。


「いつか、あなたを射止めてみせる! 私が来るまで考えてくれないか?」


「えっ……? は、はぁ……」


 最後の最後に攻めましたね……。

 けど急なことでロードは言葉がでなかった。

 

 ロードは母性はあるが、恋愛はまだわからないみたいだ。

 俺がはっきり言うように言ったが曖昧な返事をする。


 しょうがない、ロードのペースに任せるしかない。

 

「では、失礼する!」


 こうしてファイスさんはアイシスが空間魔法で送り戻っていく。

 

「ハハハハハ! 騎士団長に好かれるとはな! 次来たら大変だな!」


 セイクリッドは高笑いして他人事ように言う。


「仲間が告白されてもいいのか?」


「そやつは小物ではないから、問題ない。もし弱かったら話は別だ」

 

 やはり強さ基準ですね……。


「やっと……解放された……」

「うぅ……毎日が地獄だった……」

「やっと休める……」


 尻追い組は泣き崩れて倒れた。

 

「まったく……しょうがない奴らだ……。3日くらい休みを与えるぞ。それまでに元に戻せよ」


「は、はい……」


 さすがに厳しいヴェンゲルさんでも休ませるか。

 そのあとはセイクリッドとモリオンの地獄訓練に耐えられないしな。


「テメェも休みだ。感謝しろよ」


 ソウタも休みにするのは意外です。

 

「いいだろう……。やっと……やっとだ……俺は終焉から生き延びた……。だが、まだもの足りない……まだ足りん……」


 ようやく中二病の薬に頼ることがなくなって良かったですね。

 しかし、毎日飲んでいたが身体は大丈夫なのか?

 

 エメロッテは問題ないとは言っていたが。


「あら~、今日からお休みなのかしら~? じゃあ、ワ・タ・シと今からお熱くなりましょう~」


「もっと、もっとだ……」


 ソウタはトリニッチさんに担がれてその場を離れる。

 昼間なのでほどほどにしてください。


 ――夕食の時間になってもソウタとトリニッチさんは来なかった。


 ――次の日。朝食の時間に――。


「ああああああああ……ああ……」


 干からびているソウタと肌艶の良いトリニッチさんは席に座る。

 …………ソウタ……よく耐えたな……。



 ――――◇―◇―◇――――

 


 ――翌日。



「――――レイ……」

 


 ん? 誰かが起こしている……。



「――――レイ……」



 ティーナさんの声だ……。

 これは夢か……?

 最近会っていないから夢でも声が聞こえるようになったか……。


「レイ起きなさい!」


 ティーナさんの大声で目を覚ますと――。


 仁王立ちをしているティーナさんがいた……。

 えっ? 寝室にいる……なんで?


 いや、マイヤの可能性は…………ない……正真正銘の本物のティーナさんだ……。

 

「なに寝ぼけているの! しっかりしなさい!」


 おい、一緒にいるアンバー、この状況を説明してくれ……。

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