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47話 王都前の静けさ


 商都を出て7日が経過した。


 警戒する魔物もいなく、長閑な街道を進んでいる。

 

 あれからブレンダは氷魔法の練習をしている。

 時間がある時に両手で風の球体を起こして、そこに冷たい風をイメージをさせる。

 商都に出て5日後には――。


「お兄ちゃん、さわってみて!」


 触ると少しだけだが、涼しいくらいの風の球体が起こせるようになった。

 正直驚いている。あの短期間でここまで成果が出るとは思わなかった……。

 もしかすると、ブレンダに氷魔法の適性があるのか?


 それにしても、商都から離れてから強い魔物が現れないのが珍しかった。

 王都に着くまでこのままでいてほしいところ。


「3時間くらいで王都に着きますので、ここで休憩にしましょう」


 あと3時間で着くのか。いろいろとあったけど、無事に到着できそうでよかった。

 王都は3日滞在する予定だ。時間もあるから買い物もできるし楽しみだ。


 休憩をしながらお茶を飲んでいるとブレンダが――。


「もう王都に着くの……もうちょっとお兄ちゃんといたい……」


 まあ、寂しくはなるか……。


「ブレンダ、別にもう会えないわけではないから大丈夫だよ。時間があればいつでも会えるから」


「本当に? カルムから出ないの?」


「依頼がなければカルムにいるから大丈夫だよ。もし、どこか住むとしたらミランドさんに連絡はするから」


「わかった! 次会った時はいっぱい魔法教えてね!」


「ああ、もちろんだ!」


 機嫌を取り直したからよかった。

 次会うのはいつになるかわからないけど、ブレンダの成長が楽しみだ。


 休憩を終えて馬車に乗り、王都へ向かう――。


 

 ――2時間後。



 【魔力感知】で強い反応が出た……強いのが2つあり、ほかにも……複数反応がある……。

 これは……2つの反応と戦っている感じだな。反応からして王都に向かう街道にある……助太刀に行った方がよさそうだな。

 

「セバスチャン、街道沿いに魔物の反応があったから行ってくる」


「わかりました……街道沿いですか……」


「どうした? 何かマズいのか?」


「多分ですが……商人が襲われている可能性がありますね……」


「確かに強い反応以外にも人の魔力反応があるから護衛が戦っている可能性があるな」 


「そうですね……ぼっちゃま、気をつけてください」


「ああ、わかった」


 馬車から出ようとするとアイシスが――。


「ご主人様、私も行きます」


 少し慌てた様子だ……今回の魔物はヤバいのか?

 それでも馬車にいないとブレンダ達を守れなくなる……。 


「それはダメだここで待機だ、ブレンダ達を守ってくれ」 


「ですが……恐らく今回は強い魔物が2体います……私も行かないと……」


『ボクもアイシスを連れていった方がいいと思う……デスキングクラブより厄介な気がする……』


 そこまでヤバいのか? だが……。


「ぼっちゃま、私たちは大丈夫です。アイシス様もお連れください。危ない時は逃げますのでご安心ください」


「いいのか? 護衛がいなくなるのだぞ?」


「ある程度の魔物でしたら私とジョナサンで対処できますので大丈夫です」


 ジョナサンさんが頷いた……それでも不安なのだが……すると精霊が胸を張る。

 ここは任してと顔する。


『精霊に馬車の護衛を頼んでおいたよ! 彼女がいれば問題ないから!」


 エフィナが精霊を説得したのか……これなら大丈夫だな。


「わかった、アイシス行くぞ。早めに倒して安全確保だ」


「かしこまりました。では行ってきます」


「お兄ちゃん、お姉ちゃん気をつけて!」


 精霊に馬車を任せて、俺とアイシスは魔力反応がある場所へ向かう――。


 段々と魔が濃くなっている……これは確かに厄介だな。

 デスキングクラブ並の濃さだ……。


 2体の魔物の姿が見えた――それに人影もある。

 これは戦っている。


「ブモォォォォォォ――――!」


 魔物は雄叫びをあげる。遠くでも響くが戦闘中の人は大丈夫なのか……。


 やっと近くまで来た。コイツは……強靭な筋肉に角があり、牛の顔立ち……Aランクのミノタウロスだ。

 全長は4~5mくらいでドデカい斧を持っている――2頭のミノタウロスと戦闘してるのは男性の重戦士(タンク)と女性の剣士だ。

 血を流し、怪我もしている……。

 その後ろに馬車と3人の人がいる。

 2人はロープを着ていて魔法で援護をしている――女性魔法使いと男性回復士(ヒーラー)だな。

 その後ろの男性1人は気絶をしている――多分商人だ。

 先ほどの雄叫びで気絶したのかもしれない。

 どう見ても苦戦を強いられて感じだ。


「どうしますか、ご主人様?」


「1頭のミノタウロス、相手にできるか?」


「問題ありません」


「決まりだな。危なかったら魔剣を使うが、まずは相手の攻撃を封じて助けないとな」


「承知いたしました」


 俺とアイシスは魔力を込め――。


 

「「――アイスバインド」」


 ミノタウロスの足と斧を持っている手を凍らせた。


「ここは引き受ける! 早く体制を整えろ!」


 その声で重戦士が反応したが――。


「それはダメだ! お前たちはコイツに近づいては危険だ!」


 危険? それはわかっているが――ミノタウロスは凍らせた箇所を軽々と砕く――。


「ブモォォォォォォ――――!」 


 なに!? そして2頭同時に俺たちの方へと来る――。

 斧を振りかざしてそれを後ろに避ける――早いが避けられるから問題はない――。


 重戦士の人が慌てて――。


「まともに戦ってはダメだ! そのミノタウロスは…………異常種(ユニーク)(もど)きだ!」


 異常種擬き? 振りかざした斧を避けてそのまま地面に叩きつけ――地響きとともに、大きなヒビが入った。


 コイツはヤバいな……。

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