472話 ユニコーンの水浴び場
領外で魔王軍の訓練を見ているアンバーに――。
「ユニコーンたちをライカが所有している島に行かせてあげたいのだがいいか?」
さすがに無断で伝説の存在を勝手に行かせるわけにはいかない。
魔王であるアンバーの許可が必要だ。
「急にどうした? 奴らに何か問題があったのか?」
「僕が説明します――」
ホーツが説明すると、納得する。
「オレはいいが、問題はあの夫婦だ……。ユニコーンと聞いて興奮するだろう……」
先王と大妃ですよね……シエル――ブルーワイバーンが珍しくて振り回されたしな……。
まあ、振り回されるほどの数ではないし大丈夫だとは思う。
「そこまで心配しなくてもいいような気がするが……。行ってみないとわからないぞ」
「レイが行くと言うなら止めはしないが、あそこには海水しかないぞ。ユニコーンは真水じゃないと満足できないぞ」
「水魔法を使えるから問題ない。島の空いているところに水浴び場を作れば解決するだろ?」
「できるならいいぞ。じゃあオレも行く、あの夫婦に対応しないといけないしな」
アンバーがいればあの2人の暴走を止めてくれるはずだ。
「わかった、ホーツ、水を浴びたい――特に女性を呼んできてくれないか?」
「はい、わかりました」
それじゃあ、ライカを連れていくか。
どこに設置いいか一緒に考えないいけない。
最近、島の様子を見に行っていなかったしな。
ライカに念話をして、集会場で待つことになった。
ホーツと女性数十名のが来た。
あとはライカ――。
「「「わ~い島だ~!」」」
「すまん、どうしてもこの子らが行きたくてな……」
小人、100人以上が行きたいようです……。
小人たちも最近行けない状況だったしな、島は安全だからいいか。
俺たちは空間魔法を使い――ライカの島へ移動する。
浜辺に移動すると、小人たちは真っ先に服を脱いで海に入って遊ぶ。
「遠くに行くなよ~」
「「「は~い!」」」
ライカが大声で言うと気持ちよく返事をする。
「さて、儂らは――」
「「――――ハハハハハハ!」」
高笑いしながら先王と大妃が向かってきます……。
「相変わらず元気だな……。久しぶりだな、シグルド、テラス」
「魔王さん、久しぶり! みんなも久しぶり! 最近来なくて寂しかったよ~」
「そのわりにはヘラヘラしていてるのはなぜだ……?」
「ハハハ! いつものことだよ~。今日はいっぱい連れてきてどうしたの? いや、この子たち人――獣人ではなさそうだけど」
もう見抜かれたか。さすが先王と言いたい。
「はぁ……もうばれてしまったか……。わからないままで済ませようと思ったが、そうはいかないか……。その鋭さだけは褒めてやる……」
「ハハハ、魔王さんに褒められた! その感じだと訳がありそうみたいだね!」
「ああ、実はな――」
アンバーが訳を話すと――。
「ユニコーンだったの! いや~死ぬ前に見たかったけど、お目にかかるのは光栄だよ~」
「できれば元の姿になって~、お願い~」
2人はホーツをペタペタと触り、もう暴走している……。
「あの……困ります……」
「おい、お前さんたちに見せびらかし来たのではないぞ。いいからおとなしくしていろ」
「「は~い!」」
小人みたいに気持ちよく挨拶はするな……。
素直でよろしいことで……。
気を取り直してライカと相談して畑から少し離れた――雑草が生えた凸凹した地形に決まった。
俺は地魔法で雑草を取り除き、周りを耕して平地させる。
次に土でも濁らないようにプール状の形にして固め、水魔法で満タンまで入れて完成だ。
温かくしようと思ったがここは季節関係なく暖かいから水のままでいいことになった。
ユニコーンたちは服を脱いでゆっくり水の中に入って落ち着いた。
「ありがとうございます。これでみんなも周りを気にせずに入れると思います。僕が【浄水】しますので安心してください」
一応、浄水の石を持ってきたが、ホーツがいるなら問題はないか。
とりあえず水浴び場は確保できた。小屋が完成するまで視線が気になる者はここで活用させる。
「僕も水遊びしたくなってきたな~」
「私もよ~」
「ここではやめろよ。海に行って小人と一緒に遊んでいろ……」
「「は~い!」」
先王と大妃は俺たちがいるの関係なく、その場で服を脱いで全裸で海に行った……。
風格がないのはどうしてですか……?
まあ、王の努めでいろいろと大変だったから今では開放的になったと思っておこう。
これで問題は解決した。
あとは時間を決めないといけない。
空間魔法で毎回移動するのは大変だからな。




