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469話 騎士団長、参戦


 ファイスさんはバテている尻追い組を見てため息をつく。

  

「情けない……ソウタ殿だけしか動いていないではないか」


「おっ、来たか。それじゃあ頼むわ。セイクリッド、モリオンは下がってくれないか?」


「ハハハハハ、わかったぞ!」

「もう終わりか。仕方ない」


 ヴェンゲルさんが言うと、セイクリッドとモリオンは武器を納めて後ろに下がる。

 突然のことで尻追い組は疑問視する。

 そしてファイスさんがいることに気づくと青ざめる。


「「「だ、団長!?」」」


「ようやく気づいたか……。お前たち……レイ殿の領地に来て訛ってるのではないか……?」


 魔力が漏れていますね。

 先ほど抑えていたがもう我慢の限界ようです。


「「「ひぃぃぃぃ――――!?」」」


「今から領外1000周だ! 終わるまで飯は抜きだ!」 


「は、はい!」


 尻追い組はすぐに立ち上がり走っていき、その後ろにファイスさんに監視としてついていく。

 領外1000周って……かなり距離がありますよ……。

 把握していないのに大きく言いますね。

 

「はぁ……。やっと終わった……」


 ソウタはホッとして地面に倒れて大の字になった。


「はぁ? 誰が休んでいいといった……? テメェも行くんだよ……」


「えっ……だって俺はもう――」


「だってじゃねぇ! 早く走ってこい!」


「えぇ……」


 結局ソウタも走っていく。

 ヴェンゲルさんはまだ許さないようだ。


 まあ、ドンマイと言いようがない。頑張って走り切ってくれ。




 ――――◇―◇―◇――――




 ――翌日。



 朝食頃に戻ってきた――。


 ソウタと尻追い組は干からびて倒れ込む。

 

「まだまだ甘いぞ! 飯を食べたら素振り1万回だ!」


 一緒に走っていたファイスさんは平然と言ってイスに座って朝食を食べる。

 かなりのスパルタですね。

 まだセイクリッドとモリオンと訓練したほうが天国だと思う。


 これを1週間とはなかなかにハードだ。

 はたしてどのくらい成長するか楽しみだ。


「あの人たち大丈夫かな……?」


 ロードは心配そうに言う。


「フフフフフ……いつものことですので気にしないでください……」


「そうなの? それならいいけど……。追い込まれているのにやり続けるなんて理解できない。人って複雑ね……」


 優しいロードには理解できないようだ。

 というかメア、適当に受け流すな。


「休んでいる暇はないぞ! 早く飯を食って――」


 急にファイスさんは俺たちが食べているところじっと見ている。

 どうした? 何かあったのか?


「美しい……」


 美しい? 真顔で駆け足でこちらに向かってくるのですが……。


「お食事中失礼する。君はなんて言う名前なんだ……?」


「えっ、私? 私はロードだよ……」


「なんと美しい名前だ……」


「あ、ありがとう……」


 ロードは突然話しかけられて困惑している。

 えぇ……ファイスさん……ロードに惚れてしまったようです……。


「おい、ファイス、この件の被害者である美女の元デスナイトだぞ。なにナンパしてんだよ」


「なんと、この美しい女性が!? 申し訳ない、あまりにも美しすぎてつい――だが、心配はいらない。私があの愚部下から絶対に守ってみせる! 安心してくれ!」


「そ、それは……どうも……」


「では失礼する!」


 そう言って自分が座っている席に戻り、ロードをジロジロ見ながら食べる。

 もう気になってしょうがないですね……。


「ファイスまで魅入られてしまったか……。面倒なことが起きなければいいが……」


 ヴェンゲルさんは心配そうに言う。

 その面倒事がもうすでに――。


「だ、団長が狙っているだと!?」

「だ、団長、早まらないでください!」

「やめてください団長、俺の婚期が遅くなる!」


 尻追い組は頭を抱えてパニック状態です。

 

「フフフフフ……むっつりなお兄さんほどではありませんが、これはこれで面白い展開になりました……」


 メアさん、良かったですね……。


「ロード、嫌なら早く断ったほうがいいぞ……」


「まだ大丈夫、少し戸惑っただけ……」


 まだって、このまま様子を見るようです。

 もし無理なら俺から言うしかないか。

 

 その後、やる気満々なファイスさんは落ち込んでいる尻追い組と一緒に素振りを開始した。

 

「気合がたらん! もっと全身を使って振れ!」


「「「は、はい……」」」


 どん底に落ちたような顔をしている。

 まったく、はじめから叶わない恋だぞ……なにをいまさら……。


 まあ、これでロードを諦めるならそれはそれでいいが。


「なんでまた俺も……」


 ソウタはブツブツと文句を言いながら強制参加される。

 もう諦めろ、連帯責任だから尻追い組が成長するまで参加してくれ。


「テメェはしゃべるな!」

「元はと言えばお前のせいだぞ!」

「お前がへましなければ、こんなことにはならなかったぞ!」


 八つ当たりされていますが頑張ってくれ。

 さすがにかわいそうだから夕飯はソウタの好きな料理を出そう。

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