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46話 商都を出る


 ブレンダとルルナの魔法の練習が終わり、夕食前に大浴場に入りゆっくりと湯船に浸る……。


「練習した後のお風呂は気持ちいね!」


「……うん」


 昨日と変わらずブレンダとルルナが入って来る……。

 もう何言っても無理だからこのままでいる。

 ルルナはこちらに来て顔を赤くしながら――。


「レイさん……今日はありがとうございました……」


「別に大したことはしてないからいいって」


「ですが……もっと教えてほしかったです……1日だけでは物足りないです……」


「と言われてもな……明日グロワールを出るからごめんな……」


「それは……わかっています……」


 しょんぼりしている……これはしょうがない。時間があれば自分で教えられることは可能な限り教えるがそうもいかない……。


「じゃあ、学校が休みの時に俺を訪ねればいつでも教えるよ。まあ、学校で学ぶから教えることはないと思うけど」


「本当ですか!? そのときはお願いします! 絶対に行きますから約束ですよ!」


「ああ、わかった。約束するよ」


 急に態度が変わったな。ルルナはどこまで本気なのかわからないけど、本当に訪ねて来るならしっかり教えるしかない。


『この子、学校にいかないでレイに弟子入りすればいいのに』


 またエフィナが突拍子のないことを言う……。


『ルルナを弟子にするとか、そんなことを言う?』


『ボクが気に入ったからね! 教え甲斐がありそう!』


 なんだそれ!? 気に入ったとかあるのか!?

 ……もうエフィナが考えていることがわからなくなってきた……この話はやめておこう……。


 ――大浴場から出て、メイドが夕食ができたとの事で、食堂に向かう――。


 今回もビュッフェスタイルでアイシスに頼んだカニとイクラのチーズブルスケッタが置いてある。

 本当にありがたい。食べてみると味が染み込んでいてプチプチとした食感で美味しい。

 自分はねっとりしたイクラが好きだが久々に食べるとこれもまた美味しい。あとは1日寝かせば俺の好みのねっとりとしたイクラが完成しそうだな。

 楽しみだ。


「何これ!? この珍味、美味しすぎじゃない!? 酒を持ってきてちょうだい! これは飲まないといけないわ!」


「まさかオレンジサーモンの卵がこんなに美味しくなるとは……私もお酒を貰うよ」


「不思議な食感でおいしい!」


「これは……おいしいです……」


 意外に好評ですぐなくなった――これはグロワールで広まりそうだな。

 それにサーリトさんはアイシスにイクラのレシピを聞いている。

 アイシスに作り方教えていないのだが……。


『それボクが教えたよ!』


 やっぱりエフィナが教えたか……今後イクラを作るのに助かるけど。



 ――――◇―◇―◇――――


 

 ――翌日。


 屋敷の庭でサーリトさん達が見送りをしてくれる。


「ルルナちゃん今度は学校でね!」


「うん、学校で会おうね……」


「本当ならルルナも一緒に王都に連れていってやりたいけど、まだ準備してないから残念だよ。セバスチャン、ミランドによろしく頼むよ」


「かしこまりました」


「レイ君、アイシスさん、お世話になったね。こちらがもてなすはずだったけど逆にもてなされて申し訳ない」


「いいですよ。こちらも楽しかったので大丈夫ですよ」


「それは良かった。今度来るときは気軽に来ていいからね。いつでも歓迎するよ」


「ありがとうございます」


「では、そろそろ行きますので馬車にお乗りください」


 馬車に乗り、ブレンダは窓際で手を振る――。


「それじゃあね!」


 サーリトさん達の姿が見えなくなるまで手を振った。

 さて、商都に出る前にリリノアさんをギルドまで送らないといけない。


「レイ、あそこの店主の様子見に行かないの?」


 リリノアさんはイクラが気になるのかな?


「見に行きたいですけど、寄り道していいのか――」


「まだ時間に余裕がありますので行きましょうか?」


 時間があるなら寄るか。 


「いいのなら頼むよ」

  

「かしこまりました」


 ――再びオレンジサーモンを売っている店主の店に行くと。

 店主がこちらに気づいて慌てた様子で――。


「ありがとうございました!」


 いきなり頭を下げてくれた……。


「あんなにオレンジサーモンの卵が美味しいとは恐れ入りました……これに気づかない僕がバカでした!」


 大袈裟だな……。


「当たり前でしょ! 氷迅の魔導士を舐めるんじゃないわよ!」


 そこでリリノアさんが威張るのだよ!? 何もしてないだろう!?


「はい! これも魔導士様のおかげでございます!」


「いや、もういいよ……それじゃあ周りにその美味しさを広めればいいよ……」


「もちろんでございます!」


「よかったね、お兄ちゃん! わたしもまたあれを食べたい!」


 ブレンダも虜になってしまったか。まだあるからいいか。


「じゃあ昼食にパンとチーズと一緒に食べようか」


「やった!」


「それじゃあ、店主。ワタシはあれを定期的に購入するから早く作ってちょうだいね」


「ギルドマスターが買ってくれる……わかりました! 今すぐ作りますのでお待ちしております!」


 店主に火が付いたようですね……店主は店の中に入り、作業を始めた。


 これならここの特産品にもなりそうだな。


 リリノアさんをギルドに送る――。


「レイ、ありがとね! 暇なときは遊びに来てね! その前に私がカルムに行くと思うけど」


「ハハ、そうですか……」


「それとブレンダは学校頑張ってね!」


「うん! 頑張る!」


「それじゃあね! さて、仕事の前にザインちゃんに報告しなきゃ!」


 それは……仕事の後にしてください……。


 こうして商都を離れ、王都に向かう――。  

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