458話 大木狩り
――翌日。
朝食を食べ終えて、エメロッテ、セイクリッドでトレント討伐に行く。
「いつでも大丈夫よ~。このために【隠密】を覚えたからね~」
エメロッテは逃げるトレントのために【魔力変換】で【隠密】を覚えてくれた。
普通なら魔力をほとんどもっていかれて休まないといけないが、エメロッテは5分の1くらいで済んだ。
本当に規格外です……。
「ハハハ! モリオンよ、見張りは頼んだぞ!」
「オレも参加したかったがしょうがない。明日は変わってくれよ」
モリオンも楽しい雑魚狩りすると思って参加したかったらしい。
一緒に参加してもいいが、万が一のことを考えてここの見張りをお願いした。
「もちろんだ! だが、今日で狩りつくして明日は少ないと思うがな!」
さすがに少なくさせるかわからないが、できるだけ狩るつもりだ。
「気をつけてね。夢中になって夜遅くまで狩らないでね」
「ハハハ! 前の我とは違うぞ! 夕飯前には帰ってくる!」
「それじゃあ、行動開始だ――」
手分けしてトレントらしき魔力を目指して森の中に入る――。
連日、霧で覆われていたが今日は狩り日和である。
視界に阻まれることなく思う存分動ける。
――十数分後。
ばれそうな距離になったから【隠密】を使う。
よし、相手は動いていない、このまま距離を詰める。
――見えてきた。
のんきに毒キノコを食べているトレントだ。
俺は【武器創造】で黄金に輝く金剛の短剣を創り、背後に近づいて真っ二つにする。
エメロッテを創ったことでさらに【武器創造】はオリハルコンまで創ることができた。
さすが切れ味がよくインチキです。
まずは1体倒した。【隠密】を使うとこんなにもあっけない。
だが感知している数――数十体といる。とりあえず感知している敵を最低限狩るとしますか。
――17体目を倒したらトレント全体が慌てて動き始める。
急に仲間の魔力が感知できなく焦っているようだ。
見えない敵にどこに逃げればいいか混乱もしている。
いまさら気づいても遅い、おとなしく薪に――。
その瞬間、大きな反応が出た。
トレントの十倍ほどの魔力がある。
その反応の方にトレントは向かっていく。
俺も大きな反応の方に向かう――。
見つけた大きな川――渓流を軽々とせき止めている10mはある巨木――フォレストキング? と群がっているトレントだ。
大きすぎないか……なぜ渓流に止まっている?
それよりもトレントがフォレストキングらしき魔物の前に列になって並んでいる。
そして大きな口を開けてトレントをバリバリと捕食する。
共食いをするのか……なんのために……。
気のせいだろうかトレントを捕食するたびに大きくなっている。
いや、気のせいではなかった。渓流の水が吸収されて急激に成長する。
すべて食べ終わると2倍の大きさになっていた。
こんな成長の仕方があるのか……?
こいつもユニークで間違いはないようだ。
「『主ちゃん~、大きなトレントの近くにいるけど大丈夫~? 私も行こうか~?』」
エメロッテから念話がきた。
さすがにここまで大きなフォレストキング? になると心配するよな。
「『大丈夫だ、1人で対処できる。自分に専念してくれ』」
「『わかった~。5分で倒せなかったら向かうね~』」
えぇ……5分で終わらせなかったら来るのかよ……。
ただの巨木を切るだけだから余裕ではあるが。
すると、再び大きく口を開け呼吸し、毒粉を吐き散らす。
こいつも吐くのかよ……。周囲にいた魔物たちは次々毒にやられて倒れていく。
このまま吐き出されると小屋まで届いてしまう。
「『1分経ったよ~』」
あの……エメロッテさん……そう急かさないでください……。
今から終わらせるので……。
気を取り直して炎の魔法を使う――。
「――――フランベルジュ・クレイモア!」
豪炎を纏う両手剣を創り、【飛行】で空高く飛び、頭上目がけて振り下ろす――。
「――――烈焔斬!」
身体全部を真っ二つにし、燃え上がり炭焼きになった。
灰になるくらいの威力でやったが、燃えにくかった。
まあ、渓流で水分を含んでいるいたせいもあるか。
倒したならよしとよう。
「『3分58秒で終わったね~』」
正確に計っていたのかよ……。
「ハハハハハ! 手遅れだったか! 残念だ!」
セイクリッドは高笑いしながら来た。
あれだけ図体デカいと討伐したいですよね……。
さて、残りのトレントを狩りに行くか。




