456話 トレントに影響
456話
その後、手掛かりはなく山菜を採りみんなのところへ戻った。
気づけば夕日が沈む時間だった。
「遅いよ、もう少しで捜しに行くところだったよ」
デスナイトに心配されました。
「ちょっと珍しいトレントがいてな、遅くなった」
「珍しいトレント?」
「ああ、毒粉を吐くトレントがいた。ここら辺では普通なのか?」
「毒粉……? あのトレントね。1年前から急に現れたわ。あれ毒粉だったんだ。吐かれても何も影響ないから気にしなかったけど」
デスナイトはアンデッドだから毒なんて効きませんよね……。
1年前って、邪石付きのフェンリルが現れた時期と一緒になる。
まさかトレントに影響しているのか?
もしあるのだとしたらそっちを優先しようとは思う。
「そうなのか……。お前が大丈夫でもフェンリルが危ないぞ」
「心配ないわ。あの子は絶対ここを離れない、もしそのトレントがここに来ても私が倒すからね」
「それもそうか、心配無用だったな」
「ええ、夕食の準備をするから採ってきた山菜は私が料理するわ」
「採ってきた山菜は~私が天ぷらにしようと思ったの~」
「てんぷら? その料理興味があるわ。私にも教えてちょうだい」
「いいよ~」
夕食はエメロッテとデスナイトにお願いして天ぷらを作ってもらい美味しくいただいた。
夕食後、セイクリッドと今日の出来事を話した――。
「ふむ……まさか邪石が光ったとはな……穏やかではないようだ……。ユニークのトレントも気になる……」
「ルチルたちの近くにいたと思うが、何か変わりはなかったか?」
「仲良く遊んで何も起こってはおらんぞ。だが、気になる所がある――ここにトレントが数体やって来てな、それもフェンリルに向かっているように見えた。もちろん我が倒したがな」
やっぱり影響があるのか?
「ちなみにトレントだけか? ここにいるボアとホーンラビットとかは向かったりはしなかったか?」
「弱すぎるから逆に逃げていたぞ。食われると思って必死に逃げていた」
まあ、普通ならそうだよな。
あの邪石トレントだけ引き寄せるのか?
「ユニークの件も調べたいしな……。明日はフェンリルの様子優先して見るか……」
「あ~そのことなんだけど~。私がフェンリルちゃんの様子を見るから大丈夫よ~。主ちゃんはユニークをお願いね~」
「わかった、よろしく頼む」
「じゃあ我が主殿と行動をしようではないか。ではモリオンにも話して周りの見張りをお願いさせる」
明日の予定が決まり、早めに就寝する。
――――◇―◇―◇――――
――翌日。
朝を迎えて、リビングに向かうとエメロッテとデスナイトが料理していた。
朝食を作ってくれるのはありがたいが……朝からトンカツですか……。
昨日の天ぷらに使った油がもったいないから無駄なく使うのは素晴らしいことだが、朝から揚げ物はやめてください……。
「ハハハハハ! 朝からトンカツは良いな! 出かけるのにちょうどいい!」
胃もたれ知らずのセイクリッドが羨ましいです……。
「出かけるの?」
「そうだ、主殿にユニークのトレントがいると話を気になってな、我も倒したくなった」
「相変わらず魔物と戦うのは好きだね。気をつけてね」
「ハハハ! 気をつけて行くぞ!」
量を少なめにして何とか胃もたれせず出かけることができた。
セイクリッドと一緒に空間魔法で山菜を取った場所で移動した。
またここに来たのは毒キノコが生えていてユニーク遭遇する可能性があるからだ。
「ここに例のトレントがいたのか。もし向かって来るなら切ってもよいか?」
「ああ、かまわない。観察対象でなくなるからな」
「なら問答無用に切る。しかし……トレントの反応がない……」
セイクリッドもわかったか。ここ周辺にトレントは一切なかった。
さすがに都合が良すぎるか。だが、ここはいなくてもかなり遠くにトレントらしき魔力を感じる。
「こっちだ」
俺たちはさらに奥の方に進みトレントを探す――。




