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452話 優しいデスナイト


 ハーブティーを飲みながらデスナイト組の雑談を聞いていた。

 

「しっかりご飯は食べてる?」

「無茶はしていない?」

「ちゃんと寝ている?」


 もう二方の心配しかしていませんでした。

 完全に親ですね……。


「「ハハハ、問題ない!」」


 っと高笑いして返している。

 傍からだと適当に答えているように見えます。

 

「そういえば、もう一人の友と再会したことがあるか? 情報があるならほしい」


 もう1体の弓役のデスナイトか。確かに情報があれば保護しないといけない。

 

「5年前だけど、会ったことあるよ。地図を手にしてズイール大陸を旅すると言って別れたわ」


 デスナイトが地図を持ってズイール大陸へ旅ですか……。

 これはこれで想像つきません……。


「あやつは旅が好きだろうからしょうがない。しかしズイール大陸か……時期が悪いな……」 


 さすがに内戦中の大陸の捜索は無理だ。

 

「内戦が終わって、ある程度落ち着いたら捜しに行くか?」


「おお、それは良い案だ! 休暇を要請して捜しに行こうと思ったが、ありがたい!」


 俺の領地に有休申請とかないぞ……。騒動が終わったらいくらでも休んでいいぞ……。

 いったい誰が吹き込んだ?


「とにかく、仲間が紛争に巻き込まれなければいいが」 


「その心配はないだろう! あやつは逃げ足が速く、【隠密】のスキルで身を隠せる。簡単に見つからない」


 弓役が【隠密】を覚えているとは最高の組み合わせですね。

 敵に回したら大変なことになる。

 というか本当にバランスの良いパーティーだ。

 今なら十分通用するが、少し前だったら絶対相手したくはない……。


「内戦? どういうこと?」


「最近、ズイール大陸では内戦が始まって大混乱している。むやみに行けん」


「そうなのね。人ってなんで争いなんかするのかしら……。早く平和になってほしい……」


 優しいを通り越して平和主義者ですね……。

 デスナイトに言われると、なぜか大変申し訳ない……。


「訳あっての戦争だ。善悪に分けられているから仕方がない」


「それでもよくない。善悪があっても争いは争いよ」


 意外に頑固者ですね。まあ、理由を知らないからだけど、言っていることは正しい。

 多分、セイクリッドが正論を言っても中立側として変わらないだろうな。

 このデスナイト、絶対損するタイプだ。


「ムムムムム……」


 ルチルはなぜかデスナイトを睨みつけている。


「何か気になることがあるのか?」


「ずっと魔力を送っても強化できないの!」


 【同族強化】させようとしているのかよ……。

 何も接点はないぞ。


「そういえばルチル殿は石関係と繋がれば強化できるのだったな。主殿、よければ友にも名を付けてほしい」


 そんな簡単に名前を付けていいものだろうか……。ルチルに負担がかかるような気がする。

 まあ、本人が強化を望んでいるなら別にいいか。


「セイクリッドはそう言っているが、どうだ?」


「名前って、もらえるものなの? もらってどんな気持ちになるの? 教えて」


 難しい質問をしてきますね……。そこは魔物らしい反応をしていますか。

 

「気分が良くなる!」

「高揚感が増す!」


 お二方、もう少し感想はないのですか……? 首を傾げていますよ。

 それじゃあ伝わらない。


「温かい気持ちになるよ!」


「どうやって温かくなるの?」


 ルチルは無言になって固まった。

 ダメだ、このデスナイトは名前の概念はないらしい。


「わかんない!」


 あっ、難しい説明はできなくて諦めましたね。


「そう、よくわからないから今はやめておくわ。考えさせて」


 ちょっと怪しいと思いましたね。

 名前を付けても【同族強化】できるかわからない。

 そんな急ぐあれでもない。


「わかった、気が向いたら言ってくれ」


「ムムムム……」


 ルチルさん、口を膨らませて納得してないようですね。

 今回は諦めなさい。


「よろしくね。そろそろ食事の準備するからゆっくり待ってね」


「大人数だから手伝いは――」


「いらないから安心して」


「ハハハ、友はこう見えても【料理人】のスキルを持っているから作るのは早いぞ!」


 俺と同じスキルを持っているのかよ!?

 どれだけツッコミを入れないといけないのだこのデスナイトは……。

 

「ワン!」


「戻ってきたみたい、手伝いよりあの子と遊んでね」


 シノが玄関の方で尻尾を振って待っている。

 だが、フェンリルらしき魔力反応は一切ない。

 シノは嗅覚で仲間とわかったみたいだが、もしかしてマナシなのか?


「私が開けるから待ってね~」


 エメロッテは何か察したのか、玄関ドアを開ける――。

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