446話 元デスナイトとデスナイト
「お取込み中悪いが、どういう関係で……?」
「ハハハ! 兄弟とは一時期、武を極めるために共に修業した親友である! まさか主殿が連れてくるとはな!」
デスナイト同士修業するのかよ!?
知能があると人みたいな行動しますね……。
お互い戦闘狂でもあるから惹かれたのかもしれない。
類は友を呼ぶってこういうことですね……。
察しがつくが一応聞いてみるか。
「どういった経緯で一緒にいた……?」
「我は戦いに飢えて魔物の群集を狩っていたときに、兄弟も同様に狩っていた。全部狩り終わると互いに会話することなく闘いが始まった。兄弟とは互角で魔力が尽きるまで数日休むことなく続いた――結果、引き分けだったが満足した。「こやつといればもっと強くなる」と我は思い握手をし、共に武を極める旅をしたのだ!」
「ハハハ! あの頃が懐かしいな! 兄弟がいてオレも成長できて嬉しかったぞ!」
ですよね……。それは素晴らしい出会いなことで……。
デスナイトが2体が旅をするとかなかなかシュールですな……。見つかったら大騒ぎだろう……。
「しかし、身体が変わったのによく気づいたな、魔力だって前とは違うぞ」
「何を言う兄弟、たとえ変わったとしてもオレはわかるぞ! ほかの仲間もそうだ、長年会っていなくてもな!」
ん? いま仲間とか言っていなかったか?
「仲間……?」
「主殿には言ってなかったが、ほかにも同族2名と一緒に旅をした仲間いてな、あの頃は本当に楽しかった!」
…………あと2体もいるのかよ!?
デスナイトが4体旅をするって……なに……?
人から見たら歩く厄災だろう……絶対太刀打ちできない……。
ダメだ……頭が痛い……。
「兄弟よ、あいつらに会いたいのか?」
「無論だ! 久々集まって何をしたか語りたいではないか!」
「なら1名知っているぞ! オレが眠っている前に会ったことがある――小屋を作って隠居生活しているぞ!」
デスナイトが隠居ってなんですか……?
しかも小屋を作れるのか……。
「なに!? そいつはどこにいる!?」
「オレが眠っている場所の山を2つ越したところにいるぞ」
「なんと!? ハハハハハ! では落ち着いたら会いに行こうではないか!」
もうセイクリッドは高笑いが止まらない。
さすがに今離れるわけにはいかないのは、わかっているみたいだ。
「まだ知能があるデスナイトが2体いるのか……はぁ……大問題だぞ……」
ヴェンゲルさんは頭を抱える。
冒険者としては見過ごすわけにはいきませんよね……。
まあ、1体は隠居しているから被害は絶対ないはずだ。もう1体はわからないが。
「また集まるのも悪くはないな、ところで兄弟、名があるとか随分偉くなったな!」
「主殿からつけられたからな! これからはセイクリッドと呼んでくれ!」
「そうか、わかったぞ兄弟、いや――セイクリッド! ところでここにずっと住む気か?」
「主殿と約束したからな! ここを守ると誓った。何よりここは居心地がよく離れる気なんてないぞ!」
「ハハハハハ! セイクリッドがそこまで言うなら本気のようだな! ならオレもここに住むか! 飽きるほど遊んで離れようと思ったが、親友がいるなら別だ!」
えぇ……住むのですか……。
まあ、流れ的にはそうなるか。
「おお、それはいいな! 主殿、どうか兄弟を住ませてくれないか? 戦闘面では我と引きを取らない強さだ、絶対に役に立つぞ!」
俺としてはこれ以上ない助っ人である。
下手したらヴェンゲルさんより強いかもしれない。断る理由はない。
「セイクリッドの親友だからな、歓迎するよ」
「おお! 感謝する主殿! よかったな兄弟、またよろしく頼むぞ!」
「ハハハハハ! 本当にありがたい! こっちこそまたよろしくなセイクリッド!」
まさかデスナイトが領地に住むとはな……。
セイクリッドと変わらないから別にいいか。
「ところで領主殿、セイクリッドに名を付けてくれたならオレにも名を付けてほしい」
そうなると思いましたよ……。




