439話 心配ない
全員集まったことで親睦会がはじまった。
みんな食うわ飲むわで賑わっている。
人数が多くなったことで料理を大量に作り厨房は大忙しだ。
そんな中、輩3人組が輪に入らずに手伝いをしてくれた。
「悪いな、来て早々手伝ってもらって、ゆっくりしてもいいぞ」
「俺らは好きでやっているので大丈夫ですぜ! また天使たちと一緒にいて幸せですぜ!」
輩3人組にとって楽園みたいなものだからな、ヤーワレさんが来ると思ったが、話によると、襲撃しているズイールとの境界近くの街――メデアコットがそろそろ占拠できるみたいで、占拠した後の手伝いとして準備しているとのこと。本当なら反乱の手伝いをしたいところだが、ここは王様命令で待機している。プレシアス大陸が加入されたと見なされて、戦争になる可能性があるからだ。慎重に見極めているところ。やっとか……。相手も粘りに粘ったが冒険者が一枚上手だったな。これで王子が帝王になる日が近づいた。
そしてクレメス辺境伯の復讐への道も近づく。王様もさぞかし喜んでいるだろうな。
「それならいいが」
「へい! それに……天使が増えてやる気が上々ですぜ!」
ヤーワレ軍団と一緒にユニコーンの子どもを拝んでいたしな……。
特にシルキーは人気でグイグイ話しかけられ、おどおどして困っていた。
やましいことはしていないがほどほどにしてくれ。
その隣にはオルリールさんとエミーニャがイチャイチャしていた。
かなりオープンになられた様子で……。
2人は今後のことで相談してきた――エミーニャはここの環境を気に入り、ここで出産したいと言い、体調を見ながら手伝いすることになった。
オルリールさんは心配で一緒にいることになり、用事がなければ王都――ギルドには戻らない話となった。
もちろん、俺は喜んで歓迎した。オルリールさんがいれば戦力がだいぶ変わる。
ヴェンゲルさんにも了承を得て無事に暮らすことになった。
「ハハハハハ! エミーニャは細いからいっぱい食べないとな! オイラが肉を獲ってくるぞ!」
「母ちゃん、オレも行く!」
途中でヴィクトリアさんとフェンリが抜け出して狩りに行く。
とは言ったが2人は勝負をお預けされて我慢できなかったようです……。
寝る前には帰ってくるように……。
――――◇―◇―◇――――
――翌日。
みんな朝食を終えて本格的に見張りをする。
魔王軍と王国騎士は共同で各配置に着き、冒険者は周囲――領外での見張りお呼び魔物の討伐をすることになった。
禁忌野郎が来ても心配はいらない、たとえ邪石付きの魔物や賊を呼んでも怖くはない。
いつ来ても対処できる。
当番ではない人はゲストハウス作りをする。
「ハハハハハ! 早く終わらせて勝負するぞ!」
「オレも頑張って早く終わらせるぞ!」
結局、2人は朝まで帰って来なく、一睡もしないでそのまま手伝いをしています。
疲れているそぶりもなく元気です……。
「まったく……早く帰って来いよ……」
いつもどおりオルリールさんは呆れていました。
そう思いつつ、エミーニャと2人きりになれてよかったのでは?
それはいいとして、俺も手伝うか――。
「主ちゃ~ん、ちょっと大変~」
エメロッテが苦笑いして駆け寄ってきた。
「どうした? 何か問題でも?」
「そうだよ~、案内するから一緒に来て~」
そう言うと無理やり俺を抱きかかえて【飛行】で高く飛び出した。
「ちょ、俺も使うから離してくれないか……?」
「そうもいかないのよ~、そろそろ主ちゃんもわかるよ~」
わかる? いったい何がある?
そして変わらず力が強くて離れることができません……。
しょうがない、このまま移動するか。




