435話 魔王軍、到着
さて、ライカとソウタに報告するか。
ソウタは夕飯までイチャイチャしていることだしまずはライカから――。
「タイミング悪すぎだ……。王様はもう少しゆっくりさせないのか……」
当然だが、耳と尻尾が垂れ下がり落ち込んだ。
待ちわびていたのにまたお預けされるとな……今後、支障がでなければいいのだが……。
さっそく起きてしまった――下を向いて元気がないライカを見た小人たちは不安な顔をして心配していた。
もうしょうがないとはいえ、早めに気持ちを切り替えてほしい……。
夕飯になり、いつもどおり干からびているソウタにアマーニに会うように言うと――。
「わかった……3日後に行くから連絡してくれないか……?」
まあ、会ってくれるならよしとするか、今回は連絡するが、次からはないぞ。
夕食後、スカーレットさんとルージュさんがメアに相談をしている。
「お兄さんの監視よろしくね」
「また変なこと起こしたらお仕置きお願いね……」
「フフフフフフ……わかりました……」
監視するのかよ……。なぜか3人とも楽しそうなのは気のせいか?
この件はもう関わらないから好きにしてください。
――――◇―◇―◇――――
――翌日。
今日は魔王軍が来る日になった。
予定では近衛兵隊長のワイルナ―さん率いる兵士と面識があまりない魔導兵副隊長のノーゼン・ノーマ率いる魔導士が来るようだ。
まさか隊長であるワイルナーさんが来るのは予想外だ……。普通なら副隊長くらいにすればいいのになぜだ?
決めたことなら別に文句はないが。
集会場で待ち、迎えに行ったメアが戻ってくる――。
鎧を着た近衛兵とロープを着た魔導兵――数百名ほど到着する。
前にいるのは高笑いしてテンション高めのワイルナーさんに、その隣にいるメガネをかけた小柄の金髪男性エルフがお辞儀をする。
この人がノーゼンか。
「来たか、ワイルナー、ノーゼン、みんなをしっかりまとめてユニコーンを守ってくれよ」
「ガハハハ! 任せてくれ魔王様!」
「お任せください魔王様」
ノーゼン、さわやかな顔をして意外に声が渋めなのが大変驚いています……。
会ったエルフのなかで一番声が低いかもしれない。
「レイよ、魔王軍が来たから安心しろ、オレたちはゆっくり寝れるからさ」
「オレたちって、アンバー……魔王城に戻らないのか……?」
「この件が終わらないかぎりここにいるつもりだ。魔王の手も借りたいだろう?」
禁忌野郎が気になって帰らない様子ですか……。
いや、現界シャーロさんに会わないためでもある。
心配してしつこく言われるのが嫌かもしれない。
まあ、地上の管理人がいれば何かと対処できるのは助かりますけど。
「魔王様、この場所早く教えてくれよ! 全員強者ばっかりで身体がウズウズする! 誰でもいいから手合わせ願いたい!」
ワイルナーさんは尻尾を振って大興奮しています……。
この人、戦闘狂ってことを忘れていました……。
「いつもの発作がはじまったか。仕方ない、こうなると止められんしな、悪いが誰か相手してくれないか?」
呆れることなく納得している……。発作で片づけるとは、もう諦めていますね。
「ハハハ! では我が手合わせしようではないか。魔王軍の強さを知る必要はある」
セイクリッドは喜びながら前に出る。
戦闘狂には戦闘狂で相手してくれるなら大助かりだ。
「おお、結晶騎士がやってくれるのか? ワイルナーには手加減無用だ。好きにやってくれ」
「承知した。では外でやろうではないか」
「ガハハハッ! 久々に退屈しなくて済むな! ここは最高の場所だ!」
セイクリッドとワイルナーさんはこの場から離れて領外に行く。
いきなり来て一戦交えるのは想定はしていなかったが、気が済むまでやらせればいいか。
というか、近衛兵のみんなもついていっているが……、もう好きにしてください……。
近衛兵組の案内は後にして、魔導兵組の案内を…………なぜか全員泣いているのだ……?
「どうした……?」
「申し訳ありません……ピア隊長から解放されましてつい……」
「わかるぞ、その気持ち……ピアは小言ばっかりで辛かっただろう……」
アンバーは頷いて同情している。
ピアさんってそんなに厳しいのか……。泣くほどいったいなにが……?
「はい……隊長がいないとこんなにも気持ちが晴れるとは思いませんでした……」
「そうかそうか、ピアがいたら自分の力が発揮できないしな、ここでは自分の好きなように力を使ってくれ」
「ありがとうございます……」
魔導兵組も落ち着くまで無理だな……。
まあ、急ぎではないし今日は好きなようにさせるか。




