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434話 生徒に謝る


 終わりの鐘が鳴り――生徒たちは校庭に集まる。

 急なことで周りは何があったのか戸惑っている。


 俺が前に出ると、驚いてざわつく。

 まあ、事情で戻ったのに急に現れるとそうなるよな。


「みんな悪いな、俺の領地――ユグドラシルで緊急事態が発生して、大至急戻らないといけなかった。何も言わずにすまなかった。熱心に授業を取り組む人もいれば、放課後、自分を向上させようと努力した人も、楽しみに待っていた人もいる……。最後の最後まで約束を守ることはできなかった。本当にすまなかった……」


 頭を下げると、さらにざわつく。何を言われようがいいさ、ケジメがつければそれで――。


「頭を上げてくれ賢者殿! 私たちも謝らないといけない――賢者殿にお礼の一言も言ってないのだぞ!  忙しい中、私たちのワガママに付き合ってくれるなんてあり得ないことだ。感謝しきれないほど教えてくれた皆もそう思わないか?」


 突然、王子が大声で言い、俺をフォローする。

 王子は事情を知っているし、理解はしている。まさか周りを気にせず大声言うとは……。

 まあ、それが長所でもある。


 すると――生徒たちは拍手をして讃えてきた。

 

「皆、賢者殿に感謝を言おうではないか――」



「「「ありがとうございました!」」」



 まさかお礼を言われるとは思わなかった。

 無理やり雇われて大変だったが、最終的には楽しかった。

 講師も悪くはないものだな。続けると言ったら嘘になるが……。


「皆さん……良い生徒で助かります……」


 ローズさんは大粒の涙を流して感動しています。

 いろいろありましたし、泣きますよね……。 


「みんな、ありがとう。もう俺は領地に戻らないといけない、まだ解決していない……。だが、これだけは言わせてくれ――もし解決したらぜひ俺の領地――ユグドラシルに遊びに来てくれ、歓迎するぞ」


 俺の発言で生徒は歓喜する。

 宣言したからには禁忌野郎を絶対倒してやる。

 この約束は絶対に守ってみせる。


 こうして解散して領地に戻る――。


 戻るとアンバーがため息をついて悩んでいた。

 今朝、あのクズ野郎(ユニコーン)の様子を見にマイヤのゲートを使って行ったが、帰っていたか。

 この様子だとクズ野郎に何か言われたみたいだな。


「また罵倒されたか?」


「違うぞ、アイツの姿がなかった……」


「姿がなければ移動したわけでは?」


「普通ならそう思う……。だが、アイツは角が折れて力が弱まっている状態だ。魔物は避けられん、そこら辺探しても気配もなにもなかった」


「うまく避けて移動したってことは?」


「そう思いたいが、ブラッドモスキートがいて餌食にされるぞ。それに……アイツのことだから元に戻り怒り狂って駆け回っていると思ったが暴れた後がなかった。どうも引っかかる……」


 そんなに悩むことなのか? たまたま魔物を避けることができて移動したと思う、クズ野郎にかぎって悪運は強いと思う。


「考えすぎでは? いないならいないで放って置けば? ユニコーンだが、結局はクズ野郎に過ぎない。野垂れ死んでもしょうがないぞ」


「オレの考えすぎか……。そうだな、もうアイツとは関係ない、これ以上考えても疲れるだけだな。はぁ~そう思ったら気が楽になった。お菓子でもゆっくり食べるとするか」


 そう言いながらクッキーを鷲掴みして頬張る。ゆっくりとはいったい……。

 やることはまだ山積みだ――明日から魔王軍が来て用意がある。その数日後にはヴェンゲルさんが選んだ冒険者がやってくる。

 親睦会に合同練習などあり、休めるときに休まないと大変だ。

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