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433話 すれ違い


「来てくれてありがとう、だけどもう少し早く来たらすれ違いにはならなかったけど」


「すれ違いですか?」


「うん、この前レイ君が言っていた子――チヨメちゃんが訪ねてきたよ」


 このタイミングでチヨメが来たのかよ!?

 ここ数ヶ月経っている、王都に十分歩いてでも着くよな。

 しかし、もう出ていったのか……。


「ゆっくりしなかったのですか……?」


「それがね、お父さんとお母さんに親切にしたお礼に泊まっていくよう言ったのだけど、「自分なんかの身分が恐れ多い」と言われてね、断られちゃった。少しだけ話して城を出てしまったよ」


 ああ……城に泊まるとか島暮らしをしていた人からしたらハードルが高いだろうな……。

 言われて落ち着かないし早く出ていったか。


「ちなみに俺たちのことは言いましたか……?」


「もちろん、母親の故郷は住めなくなってレイ君の領地に移住したことを言ったよ。詳しいことは移住した人に聞いてと言って記しした地図を渡したから安心してね」


 とりあえず領地に来るのは良かった。

 城で会えることはできなくて残念だが、しょうがない。

 王都からだと1ヶ月以上は待たないといけないか。

 禁忌野郎ののこともあるし、片づけて気持ち良く歓迎するのもありだな。

 タイミングとしてはいい感じなのかもしれない。

 ただ、ライカがかなり落ち込みそうだ……。

 

「ありがとうございます。ところでどんな印象でしたか?」


「礼儀正しい子だったよ、容姿もよく、騎士が釘付けになるほどね。まあ、混血でも鬼人族と姿は変わりないから珍しいと思うけど」


 容姿で察しました……本当にアイツら懲りないな……。

 まあ、今後は尻追い組が領地に来ることもないし大丈夫だと思う。

 もし来て手を出そうとするとライカが許さないだろう。


 チヨメのこともわかり、話を変えて今後のことや確認をする。


「そうかそうか、ヴェンゲルが言ったとおりだね。それでお願いがあるのだけど、僕たち――家族分のエリクサーを作ってほしい、ダメかな?」


 手を合わせてお願いされる。

 そのうち言うと思っていたが、こんなにも早く言われるとはな……。

 予想していたことだ、別に支障が出ることはない。


「わかりました、角が自然に取れたらリフィリアに作るように言います。いつできるかわかりませんがそれでいいですか?」


「ありがとう、助かるよ~。いや~これで何が起きても怖いものなしだよ~」


 禁忌以外なら大病になってもすぐに治るし、常備したいよな。

 というかかぎりはあるが普通にエリクサーを渡して良いものなのか?

 王族ならまだしも、ほかはいくら金を出そうとも絶対に渡さないことにする。

 

 まあ、大事に保管はするから大丈夫だが、ユニコーン目当てで来る輩は追い出して出禁にはする。

 

「それとね、あとででいいのだけど――ソウタ君に教会に来るように言ってもらえるかな? 毎日アマーニがソウタ君はまだ来ないかと訪ねてきて困ってね。お願い」


 急に行って心配しているのか……。

 俺の領地を守るように言って納得したが急だったしな……。

 王様にも迷惑をかけているし、しょうがない。


 話が終わり、魔法学校に向かう――。


 生徒たちはまだ授業中で職員室に入ると、教師は少数しかいない、俺に気づくと駆け寄り、心配されました……。

 ローズさんがいるか聞くと執務室に案内される。

 

 中に入ると、ローズさんもイスから立ち上がり慌てて駆け寄ってくる。


「忙しいはずなのに大丈夫ですか!?」


「えぇ、まあ、心配をかけしまして、すいませんでした」

 

「いいですよ、緊急なので謝らないでください。自分を優先してください」


「そうはいきません、ローズさんに報告をしないといけませんし――スカーレットさんとルージュさんは無事なので安心してください」


 本当ならあの姉妹が心配で行きたかったが、業務に追われて行けなかったしな、これくらい直接言わないとわからないしな。


「陛下から聞いてはおりますが、レイさんの言葉から聞けて安心しました……。姉を助けていただきありがとうございます」


 ホッとして頭を下げる。


「いえ、俺に責任があるので頭を上げてください。これからもあの2人に手伝ってもらいますので」


「そうですか……。ではこれからも姉をよろしくお願いします」


「はい、ところで生徒たちは……?」


「ご心配なさらずとも、事情は把握しており理解しています。気まぐれエルフも復帰するようでして、安心して自分を優先してください」


 リリノアさん……このタイミングで復帰かよ……。本当に気まぐれだな……。

 まあ、ほかの教師を雇うより慣れている人が就いたほうがいいか。


「よかったですね。急な申し出ですがお願いがあります――授業が終わったら全生徒を集めてくれませんか?」


「そこまでしなくていいですよ!? 十分に理解してますので謝る必要はないです!」


「予想外のことでも最後までやれなかった責任はあります。どうか俺のワガママを聞いてくれませんか?」


「はぁ……わかりました……。レイさんに恩がありますしお願いは聞きますよ……。ですがあまり無理をなさらないでください」


「ありがとうございます。無理はいつものことなので大丈夫ですよ」


 ローズさんに渋々了承を得ることができた。

 俺は後味の悪い終わり方は嫌だから白黒はっきりさせたい。

 あとは授業が終わるのを待つだけだ。

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