430話 最強で最弱の魔剣
「切ると回復する魔剣か」
「そうなの~私は攻撃できない最弱の魔剣なの~」
攻撃ができないと言っても最弱なのは違う。
今の動きはほかの魔剣と別格だ。魔剣で攻撃できなくても【武器創造・龍】があり、スキルでカバーできる。
エメロッテは自分を下げているが最強の魔剣であることは確かだ。
「最弱なのはともかく、回復できるなら万々歳だ」
「ありがとう~。だけどね~回復させるのに魔力が必要だから~。ないと使えないからよろしくね~」
まあ、そうなるよな。
しかし……さっきメアを回復させたが、全然魔力は減っていないぞ。
エメロッテ自身、魔力量が多い、ほかの魔剣より倍以上はある。
「最弱とかよく言えますこと……。あの威圧……普通の人であれば死ぬほうが楽と言います……」
【威圧】の上位互換だからそれほど強力ですね。
なるべく一般の人には避けてほしいが、変な奴がいたら使っていいけど。
「そのつもりはなかったの~ごめんね~。お詫びとしてマスターちゃんと一緒にいていいからさ~、許して~」
「はじめからそうしてください……。今回は許してあげます……」
エメロッテとメアは握手をして仲直り? した。
結局メアも一緒にいていいのかよ……。 まあ、何もしないならいいか。
とういうかアイシスとアンバーも治してください。
2人を治してアイシスに確認したところ――。
被害にあった人たちは安静にしてゆっくり休んでいること、連れてきたユニコーンたちは温泉を気に入って、ゆっくり落ち着いているとこと、サイガさんに魔王軍との連携の相談中とのことだ。
やることは多いな、ユニコーンの家、魔王軍のゲストハウスも作らないといけない。
フランカに念話で伝えると――すでに作業をしていた。
さすがだ、俺が寝ている間にいろいろと開始していた。
これなら安心してみんなに任せられる。
アイシスはみんなに指示しなければいけないと、報告が終わったらすぐに部屋を出る。
忙しいときに呼んでしまって申し訳ない……。
さて俺は完全復活するまで休むか――。
――1時間が経過した。
…………全然休むことができん……。
なぜなら念話でルチルが話しかけてくるからである……。
「『これでユニコーンの全員の名前を付けたよ! 覚えてね! わからなかったらまた言うよ!』」
ユニコーンも魔物だから名を付けることはなく、ルチルが勝手に名前を付けた……。
いきなり言われても困る……しかもあの大人数を付けるとは……。
まだ顔がわからないし、誰だか覚えられるわけないだろう……。
だが、兄妹の名前は覚えた――兄はホーツで妹はシルキーになった。
名前気に入っていればいいが。
ルチルの念話が終わると今度はヴェンゲルさんが部屋に来る。
「具合は大丈夫か? 突然倒れて焦ったぞ。まあ、忙しい中、ユニコーンを捜して魔力も大量に使ってせいかもしれないが、無茶はするなよ」
「すいません……。今度から気をつけます」
「そうしてくれ。でだ、レイが寝ている間、陛下と今後のことを相談してきた。魔王さんにも話があります」
この大陸にユニコーンが連れてきたからな……。
王様はなんて言うのだろうか……。変なことは言わないとは思うが嫌な予感しかない……。
「なんて言っていましたか?」
「オレにも話があるとはなんだ?」
「俺が率いる冒険者ギルドの連中を派遣することに決めました。理由としては禁忌を使う愚か者に対抗するためとユニコーンを守るためです。魔王軍と連携をするように言われました」
ギルドを派遣するのかよ……さすがに王国騎士は人手不足になるからギルドに頼ることになるのか……。
「オレとしてはありがたい話だがいいのか? ギルドもそんな暇ではないだろう?」
「今は落ち着いて暇です。これも命令ですので」
「そうか、現王の命令なら仕方ない、よろしく頼むぞ」
「お任せください。ということだレイ、勝手に決めたが陛下命令だ、よろしくな」
俺が決める立場ではないし、しょうがないとしか言いようがない。
というか短期間でいろいろと話が進み過ぎだ。




