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424話 ユニコーンの大移動


「それでコイツの処遇はどうする? もうオレたちには関係ない」


 魔王が言うと、ユニコーンたちは相談し始める。

 まあ、追放するのが妥当だが、かなり悩んでいるな。

 長くなるなら俺たちは戻る。


「みんなと話し合った結果、愚か者はここに残して、僕たちはここを出て新しい住処を探します」


 兄が代表して言った。

 はい? なんでここを出る必要がある?

 

「理由を聞いてもいいか?」


「はい、みんな黒い球体によって貧しい生活を送っていました。愚か者は何も考えず、食料も底ついてしまうそうです。だから移動せざるを得ない状況になりました」


 結局クズ野郎のせいで何もかもダメになったか。

 どこまで無能なんだ……。


「もう出るのか?」


「はい、愚か者が目が覚める前には」


 外は討伐組が倒したし安全確保してある。

 移動には安心できる。


「もうか……。安全な場所ならロールへイス近辺がいいが……。ユニコーンでも、ちと厳しい……」


 ここからロールへイスってかなりの距離だぞ……。

 そこまで移動しないと安全ではないのか?


「お前たちは安全に暮らせればどこでもいいか?」


「どこでもとは言えませんが、自然がある場所なら」


「自然がある場所か……」


 魔王は俺を見る。

 いやいや、まさか――。


「レイ、頼みがある。こやつらをお前さんの領地に住ませてはくれないか?」


 すごい困るのだが……。

 確かに俺の領地はマナの大樹があってユニコーンにとって最適な環境だ。

 だが――。


「今の領地は安全とは言えませんよ。ユニコーンを守れる余裕がありません」


「承知の上だ。オレの軍を派遣させる。ユニコーンは大事な存在でもある。無理に移動させたくはない、どうか盟友のお願いを聞いてくれないか?」


 そう言って頭を下げる。

 魔王がここまでやるとは大事なのはわかった。

 しかしな……ユニコーンが領地に入ると大事になる……。

 軍を派遣させると言っても責任重大だ……。

 すぐに決められない頼みだ。


「レイちゃん……お願い……みんなを住ませて……」


 リヴァ……俺をつぶらな瞳でお願いするな……。

 俺たちにメリットは…………大アリだった……。

 よく考えたらエリクサーを普通に生産できる。

 万能薬があるだけで心強いことはない。


「条件がある。生え変わりの角を住み代としてもらう。そうじゃないと割に合わない」


「だそうだ。お前たち、ここにいる盟友の領地は自然が豊かで安全だ。保証は絶対する、オレたちに身を任せてくれないか?」


 周りは頷いて納得する。

 堅苦しいとか言ってみんな素直ではないか。

 あのクズ野郎のせいであまり意見を通せなかったかもしれないけど。


「「「よろしくお願いしますボス」」」


「えっ? なんで俺がボス?」


「僕たちに住処を提供してくれる方はボスに決まっているではないですか」


 えぇ……俺、ユニコーンのボスになってしまった……。 

 

「大勢のユニコーンがプレシアス大陸に来るのか……。陛下にどう説明すれば……」


「オレがしっかり説明する。安心しろ」


 ヴェンゲルさんは頭を抱える。

 そっちはそっちで面倒事が発生しますよね……。

 最終的には俺も報告しないといけないが。


「移動のほうをお願いします」


 ユニコーンたちを近くに集めて移動する準備はできた。


「待ちやがれ……お前たち……」


 クズ野郎がよろけながら起き上がり、ゆっくりと近づいてくる。

 角が折れているせいか魔力が乱れていて魔法で攻撃することはできない。


「お前……懲りてないな……。角が折れてなにもできなくせに……。当分はここで孤独になって反省していろ。気が向いたら様子を見るからな。それまでにどけ座する覚悟をしろよ」


 クズ野郎を見に行くとか優しいな。

 まあ、強制的にどけ座させるのは全然許してはいないようです。


「ま、待て……」


 俺は空間魔法を使い――領地へ戻った。

 ユニコーンたちはほかの人に任せて、俺は急いでフランカの家――調合室に向かう。

 

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